旅35 エレメントヒーロー!

「ふぁ〜ふぅ……おはようございます……」
「あらおはようサマリさん、昨日はぐっすり寝られた?」
「それ言わないで下さいよ……」

現在7時。
私は昨日の昼過ぎにアヌビスのプラナさんが掛けた呪いの力で日付が変わるまでぐっすりと寝ていた。
そして起きた瞬間疲れを感じてさっきまでまた寝ていたのだ。つまり合計17時間程寝ていたというわけだ。
いくら私がワーシープだからって寝過ぎな気がする……まあどうしようもなかったうえに目覚めは最高だけど……

「ふにぃ〜〜〜〜〜♪」
「…ところでアメリちゃんはどうしたのですか?なんか8歳の子供が見せちゃいけない表情をしているんですけど……」
「ああ、昨日行った王墓で結構魔力使っちゃってたようだから私の魔力を分けてあげましたの」
「なるほど…昨日だけじゃなくておそらく少し前にも勇者とエンジェルのコンビと闘ってたのでそれもあるかも…」
「そうですか…」

起きてアイラさんに会いに行ったら、アイラさんの膝の上でまるで事情の最中とでも言えば良いのだろうか…とにかく艶っぽく目尻を下げ恍惚とした表情を浮かべているアメリちゃんが居た。
何事かと思ったらどうやらアイラさんに減っていた魔力を分けてもらっていたところだったらしい。
そういえば以前も魔力を分けてもらっていた時こんな表情をしていた気がする……それだけ気持ち良いのだろうか?

「そういえば昨日アメリちゃんってアイラさんと寝ました?」
「ええ。いつもはサマリさんと寝ていると言ってましたが、昨日はサマリさんずっと寝ていらしたので私が一緒に寝ました」
「そうですか。昨日一回0時に起きたときにアメリちゃんが近くに居なかったのでどうしたのかと思ってましたので…ありがとうございます」
「いえいえ…妹の抱き心地がこんなに良いとは思いませんでした…毎日アメリを抱っこして寝てるサマリさんが羨ましいですわ……」

今日…というか、一回目に目を覚ました時にアメリちゃんが近くにいなかった。
どうしたんだろうと思いつつもその時はもう一回寝たが、起きた時にアイラさんと一緒に寝たのかと思って聞きに行こうとして蕩けた顔したアメリちゃんを膝の上に乗せながら椅子に座っているアイラさんを発見したのだ。
やはりアメリちゃんはアイラさんと一緒に寝たらしい…抱き心地の良さは完全に同意。

「ふぁぁ〜……おはようございます……」
「あ、フランちゃんおはよう。スズは?」
「たぶんもう少ししたら……ふぁぁ……やってくるかと思います…」

アイラさんとお話していたら、いつもの可愛いパジャマを着たフランちゃんが大きな欠伸をしながら起きてきた……

「ん?なんか一昨日も似たような事があったような…」
「一昨日と言いますか…ふぁふ……アイラさんのおうちにお世話になってから毎日同じようなやりとりしてます……」
「そうだっけ?」
「ふにゃぁ……♪」

若干のデジャブを感じたのでなんとなく呟いたら、実際毎日同じやり取りをしていたらしい…まあ今日は呆けているアメリちゃんもいるけど。


「そういえば今日出発なされるのですよね?」
「はい、その予定です……と言ってもまだ次の目的地は決めてませんが…」

フランちゃんとのやり取りを終えたタイミングでアイラさんが確認をしてきた。
一昨日にラスティは案内してもらったし、昨日は近くにある王墓も探検した…なので今日辺りで再び旅路に出ようと思っていたのだ。
ただ本当は昨日の夜に次なる目的地を決めるつもりだったのだが…私がぐっすりと寝ていたので決めていなかったのだ。

「でしたら、私が言う場所に行ってみるというのはどうですか?」
「へ?」

だからどうしようか悩んでいたら、アイラさんがそう言ってきた。

「誰か他の姉妹の心当たりでもあるのですか?」
「ええ…この砂漠から北西にずーっと進んで行って砂漠を越えさらに進むとちょっとした魔界があり、そこを通り過ぎて更に魔物が多く棲む森を越えもっと進みますと、姉か妹かはわかりませんがたしかリリムが領主をしてる『シャインローズ』という街があったはずです」
「へぇ……」

アイラさん曰く、ここからずっと遠く北西の方角にリリム…つまりアメリちゃんのお姉さんが領主を務めている街があるらしい。
そうとわかれば向かうしかない。次の行き先はそのシャインローズにしよう。
ただそこに行くためには砂漠越えに魔界入り、更には魔物が棲む森を越えなければならないという……ユウロにとってはかなりの鬼門である。

「まあ他のルートもあるにはあるけど、一番簡単かつ安全なのは今言ったルートですよ。他のルートですと反魔物領を通ったり危険な山岳を歩かなければならなかったりしますからね」
「そうですか……うーん……ユウロと相談かな……」
「そうね……まあ魔界と言ってもセックスと長期滞在さえ
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