旅33 幼き王女の幼馴染み!!

「暑いな……」
「まあ砂漠だしね…でもユウロはいいじゃん、毛皮とかないんだしさ……」
「そうだぞ……これ結構暑くて大変なんだぞ……」

現在14時。
私達はラインを出発し、砂漠の街『ラスティ』に向かって旅を続けていた。
なぜならその街の領主のアイラさんはリリム…即ちアメリちゃんのお姉さんだからだ。
だが砂漠の街の名の通りラスティは砂漠の中に存在するので、私達は砂漠を歩いていた。
上からの容赦無い直射日光とその反射熱でみるみるうちに水分と体力が削られているのがわかる…というか暑い……

「でもライカおじさんがさばくをわたるじゅんびをしてくれたからまだいいんじゃない?」
「まあね…これ無かったら今頃私はおいしく焼かれてラム肉になってたんだろうな……」
「縁起でもねえなぁ……つーかワーシープであって羊ではないだろ……」
「ただのジョークだよ…」

ただ、ラインの領主であるライカさんが砂漠を渡る為の用意をしてくれたおかげでまだ快適に砂漠の旅が出来ている。
具体的にいえば、魔術で中の温度が保てるようにしてある水筒…これのおかげで量こそ限られているもののいつでも冷たいお水が飲めるようになっている。
それと砂漠の強い日光や砂煙を防ぐ為にターバンやガウン状の羽織り物も用意してくれた…これがまた効果があって凄く助かっている。
この為一応そこまで大変ではないのだが…それでも暑いものは暑い。

「まあ街はオアシスにあるようだし、近くになったら少しは涼しいだろう…それにいざとなったら『テント』に入ればいいけどな」
「まあね…だからアメリちゃん、すぐに出せるようにしておいてね」
「うんわかった」

ラスティはオアシスにある街という事で…砂漠の街でも快適だそうだ。
だから到着さえすれば少しは楽になるだろう。
だがまだまだそれらしきものは見えてこない……
到着前に倒れたりすると非常に大変なので、アメリちゃんの『テント』をすぐ出せる状態にしておいてある。
だってあの『テント』…外の環境に全く影響しないんだもの…驚愕である。

「ところで…このペースだとあとどのくらいで辿り着くんだ?」
「うーん…明日のいつかには着くんじゃない?迷子にさえなって無ければだけど…」
「おい…縁起でもない事言うなよ……」

しかし、砂漠で一番困る事は…景色があまり変化無い事である。
一応迷わないよう所々目印になるものはあったりするのだが…ふとしたはずみでその目印が無くなったら笑えない。

「こっちは魔物に襲われないかビクビクしてるんだぜ?余計な心配事増やしたくないんだけど…」
「まあそうだね…一応私達が囲むように歩いてるから大丈夫かもって言われてはいるけど…」
「その『かも』が怖いんだよ…」

更には、この砂漠にも魔物は棲んでいる。
砂漠地方によく居る『ギルタブリル』とかいう魔物が厄介なうえに大勢いるらしいが…どんな姿かよくわからないしあまり気配を感じさせずに近付いてくるというからユウロ的に危険である。

「まあ…もう少ししたら少しは涼しくなってくれると信じて歩こうか…」
「うわ…それはそれで気が滅入る……」

うだうだ話していても余計に体力が持ってかれるので、話はここで一旦止めて進む事だけに集中しようとした……



したのだが……



「な、なあ皆……あれなんだと思う?」
「あれ?」


スズが遠くの方に何かを見つけたらしく、私達に呼びかけて進行方向とはおよそ90度違う方向を指差していた。
いったいなんだろうとスズの指差すほうを見てみると……

「……何だろあれ?」
「黒い……布の塊?」

黄土色の続く砂漠で、一点だけ黒く盛り上がっている場所があった。
始めは岩か何かだと思ったのだが…どこか布みたいな感じもする……

「どうする?確認しに行ってみる?」
「うーん…どうするアメリちゃん?」
「あれは……まさか……でもいないって言ってたし……いやでも……」
「アメリちゃん?」

とりあえず近付いて何かを確認するか相談しようとしたのだが…アメリちゃんの様子がおかしい。
ジッと黒い布の塊を見つめたまま何かブツブツと呟いている…どうしたのだろうか?

「……」
「アメリちゃん?」
「……たしかめてみよ……」
「あ、アメリちゃん?」

そしてブツブツと呟いたまま足早に黒い布の塊に一人で近付いていったアメリちゃん。
何か思い当たる節でもあるのだろうか?

「アメリちゃんも行っちゃったし…俺達も行ってみるか?」
「そうだね…」

とにかく一足先に近付いていったアメリちゃんを追い掛けるように私達は黒い布の塊を調べる事にした。



「……」
「おーいアメリちゃーん、どうしたのー?何か見覚えのあるものなの?」
「……」

近付いてみたらはっきりとわかったが、大きな黒い布の塊は黒いマントみたいな物
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