前編

「よ、よお…げ、元気だったか?」
「うん!1週間監禁されてたけどね!」



誰か今の俺の状況を詳しく解説してくれないかなあ…
どうしてこうなっているんだろうか?



「そ、そうか。それでサキとは連絡取れなかったってわけだな」
「そうそう、ホント大変だったんだから」

突然の来訪者である女子は、気付いたら俺の部屋の中に入って居た。
とりあえず今俺の目の前にいる女子は、たぶんここ1週間も行方不明になってた幼馴染みのサキこと百瀬咲希(ももせさき)だと思われる。
どうやら本人が言うには何者かに監禁されていたらしい。
「大丈夫だったか?」とか「心配してたんだぞ!!」とか「よく無事に戻ってきた…」とか言うべきなんだろうけど…ぶっちゃけそれどころじゃない。

「と、ところで、何で俺の下宿先に来たんだよ?まだおじさん達に会ってないんだろ?心配してると思うから早く会いに行ってやれよ…」
「大丈夫!ヤる事シたらすぐ会いに行くから!!あ、なんだったらレツヤのケータイ貸して。両親に連絡するから」
「あ、いや、今充電してるから。そこの机に置いてあるから」
「ふーん…じゃあいいや」

レツヤってのは俺…笹木烈哉(ささきれつや)の事だが、今はそんな事どうでもいい。
とりあえず目の前にいるサキだと思われる女子からできるだけ離れなければ…

「ところでレツヤ…」
「な、なんだ?何か言いたい事でもあるのか?」

え?さっきからサキ『だと思われる女子』って言ってる理由?
それは…

「うん…さっきから妙に私と距離とってない?」
「さ、さあ?気のせいじゃない?」

目の前にいる女子は、確かにサキと同じ顔…というかサキそのものだろう。

「いや、私が近付こうとすると同じように後ろに下がっているよね?」
「え?あ、あはは…」

ただ、俺の幼馴染みであるサキは人間女子だったはずだ。

「も、もしかして…レツヤは私の事嫌い?」
「あ、そ、そんな事ないけど…嫌いだったら行方不明になってたサキを心配して無いし…」

だが、目の前にいるサキの顔を持つ女子は…

「だったら…シよ♪」
「な、何をだよ?」
「決まっているじゃない…食事(セックス)よ!!」
「まて!今なんか別の単語が聞こえたぞ!!」

頭に小さな角、背中側には薄桃色の小さな翼、腰から翼と同じ色の小さな尻尾が生えており、身体の大事なところに柔らかそうな桃色の体毛が生えていた。

「何言ってるの?それよりレツヤの美味しいご飯(精子)がたべたいなぁ♪」
「いや今も別の意味が聞こえたしそもそも俺はたいした料理作れねえよ!!」

そう、サキは人間を辞めていたのだった。
正確には魔物『レッサーサキュバス』になっていた。


魔物そのものは特に問題はない。
何故ならば、この世の中には魔物娘というものが普通に至る所に存在しているからだ。
事実、俺が通っている高校はここら一帯で一番魔物娘の生徒が多く、なんと各学年で約5割も在籍しているほどだ。
ちなみに各学年で男はインキュバス含めて3割ちょっと、人間女子はなんと2割未満しかいない。

で、そんな人間女子も卒業時は1割程まで減っている。
なぜなら、その間に半数程は様々な理由で人間を辞めているからだ。
だからサキが人間を辞めている事そのものも問題無い。

問題なのは、どうして行方不明になってた…本人が言うには監禁されていたサキが魔物化しているのかだ。
そして、どうして俺の家に来て、俺を追い詰めているのかということだ。


……ホントなんで!?


「別にいいじゃん!私レツヤの事ずっと一緒に居たいと想うほど大好きだし♪」
「告白のタイミングが悪過ぎて素直に喜べねえよ!!」

サキが俺を追い詰めながら好きだと言ってきた。
サキは可愛いし、幼馴染みではなく一人の男としての俺の事を好きだって言われて、嬉しくないわけがない。
実際俺も言い出すきっかけがなかっただけでいつの間にかこの幼馴染みを好きになってたし…両思いだったとわかって幸せな気分だ。


…普通ならな。


だが、今この状況でその事を言われても素直に喜べない。
レッサーサキュバス…それは魔物化したばかりの元人間だ。
つまり、もうサキは人間ではなく魔物…レッサーサキュバスだ。
レッサーサキュバスと言えば、言い方は悪いが…所謂性欲の塊だ。
先程の発言からも考えて、このままでは俺は今からサキに食べられてしまうのだろう…性的な意味で。

「もう!そんなに私とシたくないの!?やっぱりレツヤは私の事嫌いなの!?」
「いや好きだよ!俺もサキの事大好きだよ!!」
「!!…えへへ…嬉しい!!じゃあ両思いで付き合い始めた記念として早速愛の営みを…」
「それはまだ出来ない!」
「むぅ…なんでよ?」

流れで適当な感じで告白してしまい少し後悔したが、サキは嬉し
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