旅31 悪魔のような天使の笑顔再び!!

「そんで、結局どこに行くんだ?」
「そうだね…やっぱり親魔物領を目指すべきだとは思うけどね」
「ふぁ〜……勇者さんがアメリをたおしに来たりしちゃうもんね〜……」
「…なんか今アメリちゃんに攻められた気がする…」
「ふぅ〜……え?何のこと?」
「いや…なんでもないよ」

現在20時。
私達は『リオクタ』の街にある、魔物も泊まれる宿でどこに行くかを考えていた。
魔物も泊まれる宿というのは…この街は親魔物領かと思いきや、親魔物派に近い中立都市のようで…一応教団側の目もある為魔物が使用できない施設も多いのだ。
別に歩いているだけで蔑まれたり恐れられたりこそしないし、人々の目線が気になるなんて事も無いけど…何かあってからでは遅いので明日には出発しようと思い先程購入したここら辺の地図を見ながら行き先を考えていた。

「うーん…大きな親魔物領がいいかな」
「あ〜そのほうがアメリちゃんのお姉さんも居そうだしな」

とりあえずは今まで通りに親魔物領を目指す。
大きな街なのは、今までの傾向から街が大きいとアメリちゃんのお姉さん…リリムが居る可能性が高いからだ。
実際今までで大きな街に居なかったのはメーデさんぐらいだったからこの考え方はあながち大外れではないと思う。

「そうすると…ここから一番近くて大きな親魔物領といえば……ここか?」

とりあえずこの条件で一番近くにある街を地図で調べたところ、ユウロが発見した街は……

「えっと、なになに……ライン?」
「おう…どうやら貿易が盛んな街らしいぜ?」
「また花梨が好きそうな街だね…ホントタイミングが悪かったんだな…」
「だね〜。でもカリンお姉ちゃんなら自分で行ってそうだよね」
「たしかに!」

どうやら様々な貿易が盛んであるらしい親魔物派の街『ライン』だった。
商人のカリンがこの場に居たら絶対向かうって言ってたんだろうなあと想像しつつ、他に良さそうな街も見当たらないのでそのラインに向かう事に決まった。

「いや〜しかし大陸って不思議だよ!!家が全部石で出来てるだなんて信じられないよ!!」
「まあ地域によってはコンクリートやレンガだけじゃなくて木材を使った家なんかもあると思うけどね」
「本当はもっとこの街を見て周りたかったよ…いや実に残念だったよ」
「だよね。反魔物領と比べたらまだいいけど、あまり良い目で見ていない人も居るのも事実だからね」

初めての大陸で興奮醒めないスズ。
今日一日中ずっと珍しい物を見ているかのように目を輝かせていた。

「ふぁ〜……アメリねむたい……」
「おや?アメリちゃん眠くなるのいつもより早いな」
「うん…アメリ今日なんだかつかれた……」

そんなスズとは対照に半分閉じている瞼を擦りながらどうにか起きていると言った状態のアメリちゃん。
まあスズと同じくはしゃいでいたのと、今日の朝まで安定しない船の上だった事もあって疲れが出ているのだろう。

「まあ久々の地面だったし、日中もはしゃぎまくってたからな…じゃあ皆も疲れてるだろうしもう寝るか」
「そうだね…それで明日の朝起きてご飯食べたら出発しようか…じゃあ一緒に寝ようかアメリちゃん」
「うん……」

という事で私達はもう寝る事にした。
実際私もいつも以上に眠かったし、ユウロも同じなのだろう…大きな欠伸をしている。
興奮醒めぬスズはまだ眠れなさそうではあるが、明日もいろいろ見るんだと言ってベッドの上に寝転んだ。

「それじゃあおやすみー」
「おやすみなさぃ…………すぅ………すぅ………」

私とアメリちゃんは同じベッドで抱き合うように寝始めた。
眠そうにしていたアメリちゃんは、私の毛皮の効果もあるだろう…布団に入ってすぐに寝息が聞こえてきた。

そんなアメリちゃんの抱き心地は、やはり大陸でも変わらず最高であった……



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「それじゃあ出発するか!」
「そうだね!」

現在10時。
私達は起きて朝ご飯を食べた後、この街を出発する事にした。目指すは昨日決めた通り親魔物領のラインだ。
ちゃんと食材などは昨日のうちに買っておいたし、到着する頃までに無くなるなんて事は無いだろう。

「大陸ってすごいな〜!見た事も無い食べ物や道具がいっぱいあるんだもん!!」
「いやでも私達からしたらジパングのほうが凄かったよ。ね、アメリちゃん」
「うん!おさしみとかてんぷらとかおまんじゅうとかかもなべとかおいしかった!!」
「お刺身に天ぷらに饅頭に鴨鍋……ってアメリちゃん食べ物ばかりじゃねえか」
「まあたしかに食べ物の違いは大きかったね。それ以外だと家や草花も結構違ったし、魔物もこっちじゃあまり見ないのばかりだったしね」
「へぇ〜……記憶がある範囲でしか言えないけど、たしかに昨日見た魔物はジパングで見なかったのばっ
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