「皆さんこちらですよ。キッド、遭難していた子達を連れてきました」
「おう、サフィア御苦労様。入っていいぞ」
現在11時らしい。
私達はシー・ビショップのサフィアさんの夫であるキッドさんがいる船長室まで案内された。
サフィアさんが声を掛けたら、船長室の扉越しに若い男の人の声が聞こえてきた…おそらくそのキッドさんだろう。
「ね、ねえユウロ…私達どうなっちゃうんだろう…?」
「さ、さあ?わざわざ助けてくれたわけだし、命を獲られたりはしないと思うけど…」
「わからないわよ?もしかしたらサフィアさんの頼みだから許可しただけで本当は気にいらないとか…」
「ああ…ま、まあもうこうなったらなるようにしかならないんじゃないか?」
ちなみに今私達が乗っている船は…大砲が沢山あり、旗には髑髏が描かれている…つまり海賊船である。
なので今から会わされるキッドさんは、この海賊の船長という事になるわけで…きっと恐ろしい人なんだろう。
なので私とユウロはこれからどうなってしまうのかとさっきから不安で一杯である。
「大きな船だな〜。アタイなんだかワクワクしてきた!」
「カッコいいお船だよね〜!アメリもワクワクしてきた!」
「ふふっ、ありがとうございます。なんせ自慢の船ですからね!」
一方スズとアメリちゃんは目を輝かせながら船のいろんな所を見ている。
まあ二人は海賊に対する知識が無さそう…というか海賊というものを知らなそうだし仕方無いかもしれないけど…もう少し緊張感は持ってもらいたいものだ。
ガチャッ!!
「おーい、入ってこないのか?」
「あ、ごめんなさいキッド。この船をじっくり見ていたようですのでちょっと待ってたんですよ」
と、声を掛けてからなかなか入ろうとしない私達に痺れを切らしたのか、キッドさんだと思われる男の人が部屋から出てきた。
「そうかい…それで、ワーシープに人間男にウシオニにまさかの子供リリムと…お前達がサフィアが言っていた遭難者でいいんだな?」
「えっと…はい、そうです…」
「そうか。あ、俺はキッドだ。このブラック・モンスターの船長をしている。そこに居るシー・ビショップのサフィアの夫でもある。リオクタに着くまでの数日の間よろしくな!」
「あ、はい…よろしくおねがいします!」
キッドさんは予想と違い、見た目及び口調は普通に優しそうで頼りになりそうな人ってところだが…はたして…
と、若干予想と違った事に戸惑っていたら、キッドさんが再び口を開き…
「それでお前達の名前は?何日か一緒に居るのだから知らないと不便だろう?」
こう言って私達の名前を尋ねてきた。
まあそうか…とりあえずお世話になるのだから名前は言わないと…
「私はワーシープのサマリです!この度は助けていただきありがとうございます!」
「俺はユウロです!これから数日間よろしくお願いします!」
「アタイはウシオニのスズ!この船すっごくカッコいいな!!」
「アメリだよ!よろしくねキッドお兄ちゃん!!」
「サマリにユウロ…それにスズ、そしてアメリか…おう、よろしくな!あと船は俺の自慢でもあるからカッコいいと言ってくれてありがとうな!」
そう笑顔で話しかけてくるキッドさんは…
「まあ無人島生活は大変だったろう?陸に着くまではこの船を自分達の家だと思ってくれて構わないからな」
「あ、ありがとうございます!」
絶対に悪い人では無いと思う。
まあ冷静に考えたらサフィアさんみたいな優しい人と一緒に居るのだから悪い人であるはずはないか…サフィアさんとお揃いの貝殻のペンダント(サフィアさんは赤、キッドさんは青)を首から下げているし仲もとても良いのだろう。
でも…なんでそんな人が海賊なんかしてるんだろう?というかそもそも本当に海賊なのか?
「あのー、キッドさん?」
「ん?えっと…サマリか。何か質問でもあるのか?」
「はい。キッドさんっていい人だと思うんですけどなんで海賊なんてやってるんですか?とても略奪とか野蛮なイメージは無いのですが…」
疑問に思ったので、たぶん聞いても怒られはしないだろうと思い質問してみた。
「いい人だと思うか…ありがとよ!それで質問の回答だが、俺は海賊と言ってもそこいらの奴とは違って一般市民や商船を狙う事は無い。俺達の標的は悪名高い領主とか襲いかかってくる海賊とか…一言で言えば悪人だ。罪の無い人に手を挙げるのは俺のポリシーに反するからな」
「ほえ〜!!そうですか!!」
つまりキッドさん達は私達の様な一般市民なんかは絶対に狙う事無く、悪い事をしている人達を狙っている海賊という事か。
悪人から略奪こそしているものの、やはりいい人であった。
「ああ、ちなみに俺達は『カリバルナ』という国の海賊だ。こういえばわかる奴もいるんじゃねえか?」
「ああ〜!
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