旅29 よい子達の無人島サバイバル生活!!

「それじゃあバイバイカリンお姉ちゃん!!」
「またなカリン!絶対大陸に来いよ!!」
「花梨…この角飾り、大事にするからな!!」
「じゃあねカリン!!私の毛、欲しくなったら会いにきてよね!!」
「おう!皆…またな!!絶対会おうな!!」


現在10時。
私達は大陸行きの船に乗る……前に、倭光の実家に残るカリンとお別れの挨拶をしていた。
お別れと言っても…いつかまた会う事を前提にしたものではあるが。

「しかしカリン…もうお店のほうは始まっているんじゃないのか?」
「ああ…オカンがちょっとならええって言ってくれたんや…やで船が出るまでは皆を見送るよ」
「そうか、ならいいけどさ…無断だったらアズキさんに怒られるんじゃないかと思ったぜ…」
「まあ無断やったら確実にオカンの説教ルートやな!」
『はははは!!』


お別れの挨拶がてら、皆で他愛の無い会話を交わして…




ブォォォォ……




「お、もう出発なんか…」
「そうだね…やっぱりカリンが居ないとちょっと寂しいな…」
「まあ…絶対ウチはまた旅に出る!!そん時はまた一緒に旅しような!!」
「うん!絶対だよカリンお姉ちゃん!!」

船の汽笛が高々と鳴り響き、出発時間だと知らせてきたので船の中に入る事にした…


そして…



「カリンお姉ちゃーん!!またねー!!」
「おー!!アメリちゃんまた会おうなー!!」
「味噌汁もっと上達させとくから、絶対だよー!!」
「わかったー!!サマリの味噌汁楽しみにしとくわー!!」
「カリン!!大陸で墓穴掘って反魔物領で捕まったりするなよー!!」
「忠告おおきにー!!んな失敗せーへんようにするわー!!」
「カリンとの旅は楽しかったよー!!アタイ絶対忘れないからー!!」
「おー!!今度会う時はスズの記憶が戻っとるとええなー!!」



船の甲板から、互いの声が届かなくなるまで叫びながら言葉を交わした……


「……もう姿も見えないし聞こえないか…」
「そうだね……ジパングたのしかったね!!」
「ああ…また機会があったら絶対行こうぜ!まあその時はどこが目的でも倭光や祇臣に寄ってさ!」
「うん!もしかしたらまだアメリちゃんのお姉さんがいるかもしれないしね…その時は皆にも会いに行こう!!」


私達はジパングでの思い出を語りながら、大陸での新たな旅を楽しみにしていた……


これから何が起こるのかを、いろいろと想像しながら……





「…行ってもうたか……」
「なんや…そない寂しそうな顔するんやったら一緒に行っても良かったんやで?」
「いや、ええ…たまには親孝行でもせーへんと…ってオカン!?なんでここにおるんや!?」
「今日は11時開店にした。あの子達の見送りも大事やからな…ところで花梨、あんたユウロ君に惚れとらへんのか?」
「惚れとらんよ。本人達は自分でわかっとらんようやけどユウロにはすでにええ相手がおるしな…」
「そう…うちはいつになったら花梨の男を紹介してもらえるんやろうな…」
「さあな。あ、そうだオカン…今度大陸に商品届けなあかん事があったらウチにやらせてな」
「まあそうやな…そん時次第では考えたるわ。そんじゃ今から店の準備や。帰るで花梨」
「おう!……ん?ちょっと待ってオカン……あれは…」
「ん?どないした花梨?海なんか見つめて……なんかおるな……あれはネレイスか?」
「おう…しかも知っとるやつかもしれん……どないしたんやろ?」




……………



…………



………



……








「う〜…なんか気持ち悪いな…」
「何ユウロ?船酔い?」
「かもしれん…ジパングに行く時は全然問題無かったんだけどな…」

現在12時…といっても、倭光を出発してから1日経過している。
私達は大陸に向かって船旅を続けていたのだが…どうもユウロが船酔いしてしまったらしい。

「情けないなあ…また寝不足か何かなのか?」
「いや…昨日は普通に眠れたぜ?というより、なんか船の揺れが昨日より大きくないか?」
「え…あ、言われてみればそうかも…」

ジパングに向かう時は全く問題無かったので山登りの時みたいに寝不足だったりしたのかと思ったけど、どうやらそうでは無く船自体が結構揺れているみたいだ。
ふと海を部屋の窓から見てみると…波が昨日と比べ非常に高い気がする。
どうやら船の揺れはこの波が原因のようだ。

「うーん…海が荒れてるなぁ…」
「あらしでもくるのかな?」
「アメリ…そんな恐ろしい事言わないで…本当に来たら嫌だな…船も沈むだろうし……」
「まあお船が沈んでも海にすむ魔物のお姉ちゃんがたすけてくれると思うよ?ユウロお兄ちゃんはもってかれちゃうかもしれないけどね…」
「本気でシャレにならねえ……まあ遠くの様子を見に甲板に行ってみるか」
「そうだね…
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