「帰ったでオトン!!大丈夫か!?」
「おお、花梨か…久しぶりだなぁ…」
「うわ…結構重症やな……でも生きとってよかったわ…」
「心配掛けたか…すまんな……」
現在17時。
カリンの家に辿り着いた私達…早速カリンは自分のお父さんの様子を見に行った。
カリンの家に行くまでの間、いったい何があったのかをカリンのお母さんである小豆(アズキ)さんに詳しくお話を聞いた。
どうやら数日前、商売の為に遠出をしていたカリンのお父さんは帰り道の途中で山の上から麓の辺りまで滑り落ちてしまったらしく、全身打撲で複雑骨折の重傷を負ってしまったらしい。
一応インキュバス化していたうえにすぐに山で生活していたカラステングさんが発見してくれたおかげか、命に別状は無かったようだけど…動けないので商売どころでは無くなってしまったらしい。
事実、今目の前にはカリンのお父さんが寝ているのだが、全身に包帯を巻いていて痛々しい状態である。
「はぁ…もう、オトンなんで滑り落ちたん?」
「いやぁ…早く小豆に会いたくて急いでいたから不注意で…」
「はぁ〜…そう思ってくれたんは嬉しいけどな…うちとしては梯梧(デイゴ)には出来れば元気な姿で帰ってきてほしかったわ…」
「う…す、すまん小豆……」
その為、今は小豆さんが一人でお店を切り盛りしているが…やはり一人では大変なのだとか。
だから今日みたいにカリンのお父さん…デイゴさんの看病で休んだりしており、お店が休みがちになってしまっているとか。
「まあ…しばらくはウチが店の手伝いするでゆっくり療養してや!」
「おう…すまんな花梨…」
なので、たまたま見つけたカリンにお店の手伝いをしてもらおうという事らしいのだ。
「礼はウチやなくてこっちに言ってや!」
「ん?その人達は…?」
「ウチと一緒に旅してた仲間や!!皆大陸行きの船が出るまで手伝ってくれるってさ!!」
「そ、そうか…ありがとうございます!!」
「いえ…困ってるようですので…」
もちろん、私達もカリンの実家のお店を手伝う事にした。
どうせ大陸行きの船は週に1回しか出ておらず、次に出るのは5日後なので、その間は私達も手伝おうという事になったのだ。
「それじゃあ明日から頼みますわ!やであんたらは今から案内する部屋を使ってな!夕飯出来たら呼ぶでそれまでゆっくりしといてな!!」
「うん、わかった!」
「あ、私手伝います!!」
「いや、ええよ。今日はお客さんってことでゆっくりしとって!でも花梨は手伝え」
「わかっとるってオカン…」
という事で、私達はしばらくの間カリンの家に泊まりつつ、カリンの実家のお店を手伝う事にした。
あ、そうだ……今までカリンのお父さんの事もあって聞き忘れてたけど、カリンには夜ご飯の時にいろいろ聞かないとな……
…………
………
……
…
「で、カリンは結局人間じゃないんだね?」
「……うん。人間やなくて刑部狸やよ……」
現在19時。
完成した夜ご飯のたぬき蕎麦を食べながら、カリンにいろいろと聞いていた。
とりあえず言える事は『カリンは人間では無く刑部狸』である。
その証拠に今カリンの頭には丸みを帯びた茶色い耳が、腰には太い狸の尻尾が生えている。
「修行のひとつでな…なるべく誰にも妖怪やってバレへんように人化の術の精度を鍛えとったんや…」
「なるほど…だからアタイ達にも秘密にしてたのか」
「そういうことや…まあ流石にリリムであるアメリちゃんにはすぐバレてもうたし、同族にも簡単にバレとったけどな…」
「同族?…ああ、あの時の刑部狸さんか…」
だからアメリちゃんとよくこそこそと喋っていたり、刑部狸さんとすれ違う時隠れるようにして歩いてたのか…
「すまんな花梨…うちのせいでサマリちゃんとスズちゃんにバレてもうたんか…」
「まあいつかは言ったほうがええかなと思っとったでええよオカン…タイミング的にもちょうど良かったんやしな…それよりなんでユウロはあの時やっぱりって言ったん?」
そういえばユウロだけアズキさんを見たときに「やっぱりか」って言っていた。
つまりユウロはカリンが刑部狸だっておおよそ見当がついていたという事だろうけど…なんでわかったのだろうか?
「ああ…まあ初めて会った時は人間だと思ってたけどな」
「えっ!?って事は旅の途中で気付いたん!?なんで!?ウチなんかミスしたか!?」
「おう、結構してたぜ?なんならいくつか言ってやろうか?」
「頼むわ…今後の参考にする」
どうやらカリンの行動や言動でわかったらしいが…なにかあったかなぁ?
「まず最初に疑問に思ったのは…というか、一番の原因は宵ノ宮での事だ。お前俺が人間の女性だと思って指差した女性の事を狐憑きだって言ったよな?」
「ああ、たしかに言
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