「…やっと辿り着いたな…」
「ほんとだね…」
「あ〜…まだごっつ頭痛い…」
現在16時。
私達は山を下りて、今『伍宮(いつみや)』に到着した。
昨日の夜の時点で小さな山の頂上に辿り着いているのに、下りるだけでこんなに時間が経っている理由、それは…
「サマリお姉ちゃんにユウロお兄ちゃん、それにカリンお姉ちゃんも大丈夫?」
「うん…なんとか大丈夫…」
「俺もまあ一応は…かなり気持ち悪いけどな…」
「ウチ辛い…吐いて良いって言うなら今すぐ吐ける気がするわ…」
私とユウロ、それにカリンは昨日のアカオニさんやアオオニさん、それにオーガといったオーガ属の魔物達の宴会で飲んだお酒が原因で二日酔いになってしまったからだ。
「てかサマリとユウロはそんな飲んでへんやろ?なんで二日酔いになっとるん?」
「しるかよ…叩き起こされた後の一杯が効いてるんじゃねえの?」
「一杯で良いって言ってたのに終わり間近で更に飲まされたからね〜…」
たしかに私やユウロはカリンほど飲んではいないが、元々お酒は弱いのに結構飲まされたからな…
「まったく…皆情けないなぁ…」
「…なんでスズは平気なん?」
しかし、カリン以上にガバガバと飲んでいたスズは全くもって平気である。
やはり種族名にオニと付くだけあってお酒に強いのか、元々お酒に強かったのかはわからないが、昨日あんだけ飲んだのに二日酔いになっていないどころか朝から元気に動き回っている。
「まあスズが平気だったからいろいろ助かったけどね…」
「スズお姉ちゃんのごはんもおいしかったよ!」
「いやぁ…サマリの指示に従っただけだし…でもありがとうアメリ!」
だから今日のご飯やその他いろんなことは全部スズにやってもらった。
まあ一応気持ち悪さを頑張って堪えながら私も料理を手伝ったから特に問題は無かった…というか、私の指示を完璧にこなしていたしスズは結構器用だと思った。
で、昼過ぎになってようやく動ける位には回復したので、ゆっくりと無理無いペースで山を下り、ようやく伍宮に到着したという事だ。
「じゃあ早速だけど宿探そうぜ…」
「えっ?もうやど行くの?」
「アメリちゃん…ウチもうこのまま歩くの辛い…」
「あ、そうだよね…じゃあ宿さがそうか!」
という事で、私達3人はトボトボとスズとアメリちゃんの後ろに付いて行くように宿を探した。
…………
………
……
…
「こちらお夕食の鴨鍋です」
「ありがと!わあ〜おいしそ〜!!」
「たしかに美味しそうだね…お〜いご飯だよ〜」
現在19時。
私達は1泊2食付きの宿を探しだし泊まっていた。
まあ…もちろん私とユウロとカリンは……
「わかった…そっち行くよ…」
「あー…俺無理…先食べてて…」
「ウチも…後で食べるから置いといて〜…」
ご覧の有様である。
宿に着いてからずっと3人仲良くお布団で寝ていたのだが…まだまだ気分はスッキリしない。
まあまだ動けるしご飯食べる気力がある分私は残り2人よりは回復していると見て良いだろう。
「まったく…本当に情けないなぁ…まあ一応2人分は取っておくから後で食べなよ!」
「うーい…」
「おおきにー…」
という事で、スズとユウロはそのまま寝る事に、私はスズとアメリちゃんと一緒に夜ご飯の鴨鍋を食べる事にした。
出汁はもう鍋に入って温められているので、鴨肉とお野菜を豪快に入れて、蓋をしてちょっと待つか…
「明日はサマリお姉ちゃんもいっしょにおんせん入ろうね!」
「そうそう、ここの温泉すっごく広かったよ!絶対入っておくべきだって!」
「うん…明日の朝、気分が良くなってたら入ろっか…」
「うん!カリンお姉ちゃんもユウロお兄ちゃんもいっしょにね!」
「…え?ユウロも?」
「ここの温泉は混浴だったからね…まあ男女間での行為をちょっとでもしたら妖怪だろうが人間同士だろうがキツいペナルティがあるらしいけど」
「へぇ…まあ私達は大丈夫だろうけど…ユウロが他の人にやられないように気をつける必要が無いってのは良いね…」
流石に二日酔い状態でお風呂に入りたくなかったので私達3人はパスしたが、スズとアメリちゃんはこの宿にある温泉に入っていた。
結構有名なものらしいので是非入りたいが…明日の朝の体調次第だな…
「さてと…そろそろいいかな?」
「そうだね…お肉も火が通ったみたいだし、お野菜もちょうど味が染みて良さそうだしね…」
「じゃあ、手を合わせて…」
「「「いただきます!」」」
ちょっとお喋りをしているうちに鍋が煮え立ってきたので、中の様子を見ると美味しそうな匂いが漂ってきた。
それに食材もいい具合になっていたので、早速食べ始めることにした。
「はむはむ……お肉おいしー!」
「これ鴨肉だっけ?めちゃくちゃ美味
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