「ねえスズ、その地図からすると明日には着きそう?」
「そうだなぁ…このペースなら明日の昼ぐらいには着くと思うよ?」
「なら大丈夫そうね…食材いっぱい買わないとね」
現在20時。
ちょうど夜ご飯も食べ終わり、あとどれ位で目的地に着くかを地図で調べていたところだ。
私達は『宵ノ宮』というキツネ系の魔物が多く住むという町に向かって旅をしていた。
目的はまあ少なくなった食材の買い足しだが、大きな町だというし、魔物の6割がキツネ系だという程なのでどんな町か見て周ろうとも思っているのだ。
「やっぱウチ行きたくない…妖狐はともかく稲荷は見たくもない…」
「あのさあ花梨、いつまでブツブツと言っているつもりなの?」
「あのなスズ…誰にも嫌なもんはあると思うんやけど…」
「アタイはその嫌なものもわからないんだけど」
「…それ言われるとウチなんも言えなくなるわ……」
1名嫌がっている者もいるにはいるが、どのみち行かないと食べるものが無くなってしまうので行く事に変わりは無い。
まあカリンが言っている事もわからなくは無いけどね。誰にだって苦手なものはあるだろう。
「でもさあカリン、お前は一人の稲荷が嫌いなだけだろ?」
「そうやけど…ほら、例えばある1匹の犬におもいっきりお尻を噛まれたとするやん。それで犬が苦手になる事もあるやろ?噛んだ犬はたった1種のそれも1匹なのに、その場合は犬全般が苦手になるやろ?」
「ああ…なるほどね…」
例えはわかりやすいようなわかりづらいような…とにかくカリンはキツネ系の魔物全般が苦手である事はわかった。
「じゃあカリンお姉ちゃんは町に入らないの?」
「いや…商人としても大きな町は知っておきたいしな…まあキツネしかおらんっちゅうわけじゃないからウチもちゃんと一緒に行くで」
「ホントに?なんかカリンお姉ちゃんずっと行きたくないって言ってたから町に入らないんじゃないかってアメリ思ってたけど…いっしょに行くならたのしもうよ!!」
「せやな…折角行った事無い町に行くんやもんな…楽しまな損か…ほなアメリちゃん、一緒に観ような!」
「うん!」
まあカリンもなんだかんだ言いつつも行ってはみたいようだ。
アメリちゃんと一緒に町を観光すると言ったのだし、カリンのほうは問題ないだろう。
「それじゃあ話も一段落したし、お風呂行こっか!」
なので、私はアメリちゃんとスズと一緒にお風呂に行く事にした。
「うん!スズお姉ちゃんも行こうよ!」
「う、うん…だ、大丈夫だよねサマリ?」
「…………………………………………………………………うん」
「その溜めは何!?」
だがスズは初めて一緒にお風呂に入ったときに私が散々胸を弄ったのが軽くトラウマになっているらしい。その為、凄くビクビクとしながら私にそんな事をしないかどうかを聞いてきた。
もちろん私はあの日以来スズの胸に触ってなどいない。だからいらぬ心配だろう…
…というか、そう言って私に意識させるからダメなんだよ…
…ああ、そのデカ乳が羨ましい…
「じゃあ…行こうか……」
「…なんでさっきよりもトーン低めで喋ってるの?」
「大丈夫…何もしないから…」
「え、やっぱアタイ後で花梨と一緒に…」
「アメリちゃんもスズと一緒が良いよね?」
「うん!」
「うっ…わ、わかった、一緒にお風呂に入るよ…ほ、本当に何もしないでよ!」
そして私達はお風呂に入った。
もちろん、私はスズに対して『今日は』言ったとおり何もしなかった……
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「ここが宵ノ宮か〜!!」
「大きい町だね〜!!」
「うわ……至る所にキツネ系の魔物がおる…」
「でも他の魔物もちゃんといるじゃねえか。人間だって多いしな」
「アタイの事を見ても誰も怖がらない…やったあ♪」
現在13時。
私達は朝早くから歩いていた事もあり、お昼過ぎには『宵ノ宮』に辿り着くことができた。
とりあえず見える範囲で見渡してみたが…カリンが言っていたとおりキツネ系の魔物が大勢いる。
「あの尻尾が2本生えてる人は…稲荷?」
「ちゃうな…魔力の放出具合がでたらめやで妖狐のほうやな…」
「じゃああっちの男の人と一緒に歩いている水色の着物を着た人は?」
「ちっ……あれは稲荷や……やっぱ別人でもムカっとくるなぁ…」
「まあまあ…ほら、あそこにキツネ系じゃない魔物のゴーストが…ってあれ?でも狐の姿をしているような…」
「サマリお姉ちゃん、あれは『ゴースト』さんじゃなくて『狐火』さんだよ」
「おいカリン、あの夫婦は人間同士じゃないか?」
「ユウロ…もしやあんたわかってて言ってるやろ…あれは『狐憑き』や!!」
「へぇ〜……ん?まあいいや……」
本当にどこを見てもキツネ系の魔物がいると言ってもあながち間違ってないほどい
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