シャアアアアア……
「こんなに大きなお風呂まであるんだね…まさかアタイが入っても余裕があるなんて…」
「そうだよね…アメリちゃん、なんでベリリさんと二人旅だったのにこんなに大きいの?」
「わかんない…これがふつうだとおもってたから…」
現在20時。
スズの話を聞きながら夜ご飯を食べた後、私とアメリちゃんとスズの3人はお風呂にいる。もちろん今日の汚れと疲れを落とすためだ。
スズはいままで近くにあった川で身体を洗っていたようで、お風呂に入った記憶は無いと言っていたが…
「というかスズ…お風呂そのものは知ってるんだね…」
「ん?ああ…そういえば……なんでだろう?」
お風呂というものが無い環境で生活していたにしてはお風呂の事を知っているのだ。
他にも、ご飯を食べているときにこの鋭い爪のついたもふっとしている手で器用に箸を使っていたりと、とても山に住んでいたウシオニとは思えない部分がある。
「うーん…スズは元人間か、それとも町暮らしをしているウシオニだったか…そんなところじゃない?」
「ああ…かもしれない……けど、やっぱ何も思い出せないや…」
なんとなく言った言葉だったけども、スズは自分の記憶に引っ掛からず、何も思い出せないと落ち込んでしまった。
「あ、まあそんな暗い顔しないで!これから思い出していけばいいんだよ!!」
「そうだね……ありがとう…」
だからこの話はここで一旦切って、スズを励ます事にした…
シャアアアアア……
「ところでサマリ…」
「ん?スズ、何か言った?」
「あのさ…サマリやアメリ、それに皆はなんで旅をしているの?」
励まし終えた後、身体(というか毛皮)を洗っていたら、スズがこう質問をしてきた。
「旅の目的ね…まあ私とユウロは無いって言ってもいいかな」
「え、そうなのか?」
「うん。私は世界中を自分の足で旅してみたいと思ってたから、たまたま出会ったアメリちゃんと一緒に旅してるんだ」
まあ一緒に旅する仲間の事は知っておきたいだろう…そう思い私は質問になるべく丁寧に答える事にした。
「ふーん…花梨は?」
「商人としてより腕を上げる為に旅をしてるんだって。荷物見たからわかると思うけど、もちろん商売もやってるよ。元々一人で旅してたんだけど女の一人旅は危ないからって一緒に旅してるんだ」
これで大体あっているはず。
ちなみにカリンは一緒にお風呂に入ってはいない。
一緒に入ろうとは言ったが、「ウチはユウロの皿洗い手伝うから後で一人で入らせてもらうわ〜」と言っていた。
「へぇ〜…じゃあアメリはなんで旅をしているの?」
「アメリは会ったことのないお姉ちゃんたちに会うために旅してるの!」
「ん?会った事無いお姉ちゃん達に会いに?」
「うん!そうだよ!」
身体を洗い終わり、リンゴに勧められてからすっかり気にいった浴槽に浸かりながら、アメリちゃんが元気に答えた。
「お姉ちゃん達って…そんなにいるの?」
「いっぱいいるよ!」
「そりゃあ種族として扱われてるなら沢山いると思うけどね」
その答えを聞いてスズは驚いた顔をしている…
そういえばスズはアメリちゃんがリリムだってわかってるのかな?
「種族…そういえばサマリとアメリはなんて言う妖怪なんだ?」
やっぱわかってなかったか…というか私もか…まあ無理もないだろう。
スズには記憶がないというのもあるし、そもそも私はジパングにはそう居ない種族だろうしね。
「私はワーシープ。羊の魔物ってところ。本来はもっと眠そうにゆったりとしている種族らしいんだけど私は旅をするために眠りの魔力が籠っている毛を短くしてるからこうはっきりとしているんだ」
「へぇ…それじゃあアメリは?」
「アメリはリリムだよ!!」
「リリム?それってどういった妖怪…じゃなくて魔物なの?」
私のほうは一応どんな魔物かはわかったらしい。
だけどアメリちゃん…リリムはよくわからないらしい。まあこれじゃあ説明にはなってないしね。
「魔王様の娘の総称ってところかな」
「えっ…じゃ、じゃあアメリはお姫様なのか!?」
「そうだよ!」
なので簡単に説明したら、予想外だったのか目をこれでもかってぐらい開いて驚いていた。
「あ、だったらアタイってかなり失礼な事してないか!?アメリって呼び捨てしてるし…」
「そんな事言ったら私だってねぇ…」
スズがそう言って気付いたが、私も今までアメリちゃんは普通の子供のように接していた。
アメリちゃんは魔王様の娘だし…もっと礼儀正しく接した方が良いのかな?
とか思ったが…
「ぜんぜんいいよ!むしろアメリよりお姉ちゃんなのにアメリにけいごつかったりするほうがおかしいよ!」
「そう…なのか?」
「うん!いっしょに旅してるみんなはアメリをちゃんとふつうの子供として
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