「いやあ〜、これほんまにウチが扱ってもええんか?」
「いいよ!そのかわりちゃんと言ったとおりにしてね!!」
「ああ、それは心配せんでええよ!さすがに他人の性交を見たいとは思わんしな」
現在13時。
私達は祇臣を出発し、緑の草木が生えそろう山道を歩いていた。
「しっかしまあこれほんまにタダであげとったん?」
「まあ…別に売るようなもんじゃないし…」
だが、お昼ご飯を用意してなかったので私達は『テント』の中でお昼ご飯を作る事にしたのだ。
「アカン!!こんな高級素材をタダで配るなんてどうかしとる!!」
「えっ?そうかな〜?」
そしてお昼ご飯を食べ終わった後すぐには出発せずに…
「そうや!だからウチがこの毛を適度の値で売ったる!それを旅費にするんや!!」
「あ、うん…よろしくねカリン…」
新しく一緒に旅する事になった人間の女性…カリンに、私は最近伸びてきた毛を短くしてもらっていた。
ここのところジッとしているとすぐ眠くなってしまう事が多かったので、これ以上眠くならないように切る事にした。
その時、カリンが「ワーシープの毛って高級品やし、ウチが取り扱ってええ?」と聞かれたので、私は刈ってくれたらと言ったら即座に自分のハサミを持って私の毛を短くしてくれる事になったのだ。
ちゃんと短くし過ぎないようにって理由と供に言ってあるし大丈夫だろう。
「ところでカリン、この『テント』どう思う?」
「どうもこうも、ごっつたまげたわ!なんやのこの小屋!?反則的に快適やん!」
「カリンお姉ちゃんまで…アメリはふつうだと思うけどな〜…」
「これが普通って…金持ちすぎやろ…ウチには無理や…商人としての自信無くすわ…」
なのでまあこの『テント』の事を聞いてみたのだが、案の定な回答が返ってきた。
そしてアメリちゃんの普通発言を受け、カリンは少し落ち込んでしまった。
「おーい、皿洗い終わったけどそっちは終わりそうか〜?」
「あ、もーちょいで終わるでユウロはゆっくりしとって〜!!」
が、お皿洗いをしていたユウロが声を掛けた事により復活し、また私の毛を刈り始めた。
私の毛を短くし終わったら、私達は再び『弥雲』を目指す。
その町に何かがあるという事ではないけれど、カリンの用事があるので向かう事にしたのだ。
だがその途中…というかまさに今居る場所だが…この山には『怪物』がでるらしい。
今のところそれらしきものとは遭遇する気配もないので大丈夫だとは思うのだが…用心はしておいたほうが良いかな…
「ねえカリン…」
「ん?なんや急に…変なとこ切ったか?」
「ううん、そうじゃなくてさ…この山にでる怪物って何かわかる?」
私はとりあえずカリンに聞いてみる事にした。
ジパング人だし、商人なのでこういった話には詳しそうだったからだ。
「ん〜…確証は持てへんけど…たぶん『ウシオニ』やと思う」
「ウシオニ?それって魔物?」
「せや…てかサマリあんたも妖怪…てか魔物の一種なのに知らんのか」
カリン曰く怪物とは…どうやらウシオニと呼ばれる魔物らしい。
おとなしい魔物が多いジパングで怪物なんて言われているが…いったいどんな魔物なのだろうか?
「私は魔物に詳しくないから…元々反魔物領の人間だったからね…」
「え?そーなん?てかサマリあんた元人間なんか!?」
「あ、言ってなかったっけ。そうだよ、私はアメリちゃんに魔物にしてもらったんだ」
気にはなるが、まあ相手が魔物ならなんとかなるかな。
「ほぇ〜…驚いたわ〜…………あっ……」
「…ねえ、今の『あっ』って何?嫌な予感がするんだけど…」
「あはは……すまん…驚いとったらちょっと切り過ぎてもうたわ……」
「ちょっと!?私大丈夫かな…」
「まあそんなに短いわけじゃないし大丈夫やと信じたい」
「……」
カリンがやらかしたので、そのウシオニについての話題がどこかに飛んでいった事もあるが…この時はそう気楽に思っていた。
…………
………
……
…
「さあ!気合入れて行くよー!!ちゃちゃっとこの山を越えよー!!」
「……あれどうしたの?さっきからやたらと動きまわってるけど…」
「ウチが切り過ぎたせいや…」
現在18時。
再び毛が短くなり、急に眠気が襲ってくるなんて事は無くなったのだが…
「サマリお姉ちゃんはやいよー!!」
「ゴメンゴメン…いやあ…身体を動かしてないと変な気分になっちゃうもんだからつい…」
カリンが切り過ぎたせいなのか、じっとしていると身体が疼いてくるのだ。
だから私は今やたらと動き回っている。
そうでもしないと、なんかおかしな気分になってしまうからだ。
おそらくさほど短いわけではないから大丈夫なのだろうが、私の魔物ワーシープとしての本性が少し出ているのだろう。
「
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