ブォォォォ……
「遠くに見えるあれがもしかして…」
「そう、ジパングだよ!」
「わあ〜!アメリワクワクしてきた!!」
現在10時。
私達はジパングまで船旅をしている…旅費をけちr…節約するために船のお手伝いをしながらだが。
しかしジパングか……いったいどんな人や魔物達がいるんだろうか…
リンゴから聞いた魔物もほとんど聞いた事無いのばっかりだからな〜…本当に楽しみだ。
「おーいサマリー!時間まだいいのか……ってあれはまさか!?」
「そのまさか、あれがジパングだってさ!」
「うおー!!マジかー!!やっとジパングに行けるのかー!!テンション上がってきた!!」
「……ユウロお兄ちゃん元気だね」
「そうだね。それだけ楽しみなんだよ」
ユウロが遠くに見えるジパングを見つけた瞬間、やたら元気にはしゃぎ始めた。
まあ無理もないだろう。ジパングに行きたいと言い出したのはユウロなのだ。
どうやらユウロの故郷に似ている部分があるらしく、勇者をやっていた頃から一度行ってみたかったらしい。
…そういえばユウロの故郷ってどこなんだろうか?一度そこにも行ってみたいな…
「…ってそうだ。サマリ、そろそろ昼飯の準備しなきゃいけない時間じゃね?」
「え?あ、そうだね。じゃあ行ってくるよ。教えてくれてありがとうね!」
「おう!いいってことよ!」
お昼ご飯の準備をするために私は船の厨房に向かった。
「…なんか最近サマリのやつぼーっとしてるってか寝ていること多くないか?まさに羊のように丸まってアホみたいな顔してグースカとさあ」
「あーたしかに。アホみたいな顔かはともかくわたし昨日もこの甲板でサマリが丸まって寝てたの見たよ」
「あれじゃない?サマリの毛が伸びてきたんだよきっと。それで船に乗ってる間は歩いて旅してないからすぐ眠くなっちゃうんだと思うよ?」
「そうだね。サマリお姉ちゃんの毛、そろそろ切らないと歩きながらねちゃうかも…」
「ははっ!そりゃあり得るな〜!つーかもう厨房で立ちながら寝るんじゃねーか?あり得るだろうなあはははは!!」
…………
「ユウロ、まだ聞こえてるんだけど…何笑ってるのかな?」
「うげっ!?まだ居たのかよ!!」
「くらえ!もこもこアタックアーンドもこもこインパクト!!」
「ちょまっ!?ごめんって……ぅぁ………ぐぅ…………」
「このままお昼まで夢の世界を旅してな!」
よし、決まった事だし厨房に向かうか…
「……まあユウロはこのままにしておこうか」
「……そうだね………ねえアメリちゃん、サマリってあんな性格だったっけ?」
「サマリお姉ちゃんってリンゴお姉ちゃんみたいに時々こわいんだよね……」
「うっ……それは言わないでアメリちゃん…」
「はははは……」
…なんかまだ言ってるけど気にせずお昼ご飯の準備の手伝いをしに行くことにした。
「ぐぅ…………すぴー…………」
…………
………
……
…
「つ」
「い」
「たー!!」
「おおげさだなぁ〜」
「って何してるの?」
現在13時。
そこそこあった船旅も終わり…とうとう…ジパングに到着した!
周りを見ても…着物だっけ?とにかくジパングっぽい恰好をしている人が多いのだ!!
…ってジパングだから当たり前か。しかし黒髪黒目の人がホント多いな…
それにこの町『双母』の向こう側は…見渡す限り山があるのだ。
山が多いとは聞いていたが…まさしく山ばかりだ。
「じゃ、早速祇臣に向かおうか。それともどこかに買いものでもしに行く?」
「うーん……そうだね……」
お昼ご飯も船内で食べたし、これから二人の故郷に行くわけだからそんなに何かを買う必要はない。
というかこの双母は船の到着場所であって町そのものには用が無いのだ。
ツバキとリンゴが言うには、この双母は時期によってはお祭りが行われて屋台が並びとても賑やかになったりするらしいのだが、残念ながらそのお祭りの時期は過ぎてしまったらしい。
しかも今はそのお祭りの反動なのか一番活気のない時期との事だ。なのでこの町ではなにか珍しいものを見掛けたら聞いてみる程度にしようと思っている。
だから早速祇臣に向かおうとは思うが……ちょっと確認しておこう。
「そうだ…ここから二人の故郷の…『祇臣』だっけ?どれくらい掛かるの?」
「そうだね…1時間後にこの町を出発するとして、何もなければここから山道に沿って歩けば夜…だいたい18時から19時にはたどり着くね」
何もなければか…こういう時って何かありそうで怖いな…
でも早く祇臣に行ってみたいしな…でも夜出歩くのはちょっと怖いな…
そう思いつつも、早くツバキとリンゴの故郷を見てみたいという想いのほうが強いので、結局今日の14時には出発することにしたのだけど…
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