「あとちょっとでヘプタリアだね!」
「そうだね!その後はジパング…凄くわくわくするな〜」
現在13時。
私達はヘプタリアに向けて和気藹々としながら進んでいた。
とりあえず山を越えてからは誰にも襲われてないし、特に危険な事もなかった。
このままヘプタリアまで何事もない事を願おう。
「ところで、ジパングにも魔物っているの?」
「いっぱいいるよ。ジパングでは妖怪って言うんだけどね」
「へぇ…共存とかは?」
「結構しているんじゃないかな?退魔師っていう大陸の教団みたいなのもあるけど、妖怪見たら即退治なんて人はほとんど居ないし…それに僕の故郷は水神様を…魔物の一種である『龍』を信仰してるしね」
「ほぉ…それはすごいね…」
話を聞けば聞く程早くジパングに行きたくなる。
いままで見たことも聞いたこともない世界が広がっているのだ。ワクワクしないほうがおかしい。
「とりあえずまずはツバキの故郷を目指すって事で案内は任せるぞ!」
「うん、任せてよ!」
自然と私達の足は、普段よりも速く動いていた。
…………
………
……
…
「さて、ここを越えたらヘプタリアが見えてくると思うけど…」
「うわぁ…うっかり足を滑らせたりすると大変だね…」
あと少しで町に着くという場所まで来たが…
急な斜面…というか崖がある道を通らなければいけないとは……
見た感じディナマのアジトの近くの崖より高そうだし…嫌だなぁ…
「うーん…まあ大丈夫だろ。一応内側歩いてれば誰かに突き落とされたりしない限り落ちる事無いだろうし」
「そうだよ!アメリ10人分位あるほど道広いんだもん!わざとおちようとしなかったらもんだいないよ!!」
「まあ…そうだけどさ…」
そう言うけど…一回落ちて死にかけた経験がある私としては怖いんだけど…
今回はアメリちゃんは飛べるから良いとして、残り二人及び私が落ちたらと思うとね…
「まあ余計な心配だと思うよ?あのときみたいにゴチャっとしてるわけでもないしそうそう落ちはしないかと」
「……そうだね。じゃあ行こうか!!」
いつまでも心配して進まないのはよくないので、不安を振り切って出発しようとしたら…
パシャーーン!!
「うっひゃあ〜〜〜〜!!」
突然何か冷たいものが私に飛んできて顔面に当たった。
この感覚的に飛んできたものは……水?
え?なんで水?ここまだ山なんだけど…?
「え!?何!?」
「水?何で!?」
「たぶんあそこにいるお姉ちゃんがとばしたんだよ!!」
「へ?」
そう言ってアメリちゃんが指した場所を見てみると…
「……」
黒い瞳に黒いロングの髪をした、ジパング人みたいな女性が一本の木にもたれかかっていた。
「えっと…今のはあなたが?」
「……」
私が話し掛けたら、その女性はかなり怖い顔で私達のほうを見てきて…
「…久しぶりだね椿…元気そうね……」
こう、かなり低い声で言ってきた。
私の質問に答えてくれてない…のは別にいいや…でもこの人誰なんだろう?
ジパング人っぽいし、ツバキの名前が出ていたし知り合いかな?
そう思いツバキのほうを見ると…
「あ……ああ………あ…」
もの凄く驚いた顔をしながら固まっていた。
いったいどうしたというのだろうか?
「どうしたのツバキ?」
「あ、あ…り……りん………」
「ありん?おーいツバキ〜、落ち着いt…」
ツバキが壊れた人形よろしく固まって何か呟き続けている。
このままじゃ知りたい情報を得られないので、身体を揺さぶって落ち着かせようとしたら…
「もこもこ白おんなぁああ!!椿に触るなああああ!!」
「ひゃいいっ!?ごめんなさい!!…ってもこもこ白女って私の事!?」
もの凄く怖い顔と恨みを乗せた声でその女性に怒られた。
本当になんなのだろうか?
「生きて…いたんだな……」
と、表情は驚いているままではあるがようやくツバキが動き始めた。
「うん……生きていたよ……人間じゃ無くなってるけどね……」
「え…?」
そういった彼女の姿が…見る見るうちに変化していった。
まず、肌色だった皮膚は青色に変わり、腕や足、腰は鱗に覆われていった。
次に耳が伸び先端が尖り、頭から深青色の角が4本対になるように生えてきた。
そして腰からは綺麗な魚の尾みたいなものが現れた。
この姿は…どうみたって人間じゃなくて魔物…鱗や鰭からしてたぶん水辺に棲む魔物だろうけど…なんて魔物だ?
「ネレイス…」
「え?」
「あのお姉ちゃん、『ネレイス』さんだよ…足だけ人間さんのものにしているけど…」
アメリちゃんが言うには、彼女はネレイスという魔物らしい。
この前聞いた話だと海のサキュバスだって言ってたからてっき
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