「おーい、待ってよ〜!!」
「はぁ…まったく…遅いよ!!」
目を閉じると、大切な幼馴染との思い出がよみがえってくる。
「ゴメン…いつもと着てるもの違うから動き辛くって…」
「ああそっか…じゃあ仕方ないか…ゴメンな気付かなくて」
これは、彼と隣町の祭りに行った時の記憶だ。
「いいよ謝らなくて…祭りだってはしゃいで動き辛くても綺麗な着物を着て来たのはわたしの勝手だし…」
「それでも、男として気付かなかったのは良くないかなって…」
祭りだからという建前で、彼と一緒に隣町まで出掛けるからという本音で普段は絶対着ない綺麗な着物を着たわたしは思うように動けず、置いていかれそうになっていた。
でも、彼はそんなわたしの事情を理解し、申し訳なさそうにして待ってくれた。
彼は全く悪くないのに…優しいからな…
「ううん…悪いのはわたし。それに、一緒に行けるだけで嬉しい!」
「そうか…あのな…」
「ん?なーに?」
「……なんでもない…」
この時はまだ言ってくれなかったけれど、きっと後に言ってくれた事を言おうとしたんだろうな…
「なんでもないって…まあいいけどさ…」
「ま、それより祭り楽しもうよ!」
「そうだね!」
そしてわたし達は二人で祭りを楽しんだ…
………………………
…目を開けると、その思い出の光景も消えてしまい、綺麗な青が広がるのみ。
でも、今日はいつもと違う。
なぜなら、彼が居る場所…自分の故郷がどこにあるかわかったからだ。
これでやっと彼に会える…
そして、一緒に居る事が出来るのだ…
だから、寂しくない。
だから、嬉しい。
わくわくしながら、わたしは故郷に向けて、その足を動かした……
=======[サマリ視点]=======
「楽しみだね〜♪」
「わくわく♪」
現在20時。
今日のお昼にファストサルド領を出発した私達は、親魔物領の港町『ヘプタリア』に向かって旅をする事にした。
なぜ港町か…それは…
「ジパングに行くのがそんなに楽しみなの?」
「うん!だってアメリジパングってきいたことあるだけでじっさいに見たことないもん!」
「私も!早くジパングに行きたい!!」
そう、私達はジパングに行ってみる事にしたのだ!
何故そんな話になったのか…
それは今日の15時頃の事である。
「次はどこに行こうか?」
「うーん…そうだね…」
私達はファストサルド領を出た後、とりあえず適当に歩いていた。
適当って言っても一応親魔物領がある方向だが、どこの町を目指してって事で歩いているのではない。
まあ、アメリちゃんのお姉さんがどこに居るかわからないってのが適当に歩いている理由かな。
「ユウロはどこか行きたい場所ってある?」
「そんなの俺に振られても…そうだなぁ…」
だからユウロに聞いてみた。
特に理由は無い。なんとなく困っていたから聞いただけだった。
「うーん……ジパング?」
「へっ?」「え?」「ほへ?」
「な、なんだよ…別に変な事は言ってないだろ?」
だが、ユウロはジパングに行きたいと言い出したのだ。
それを聞いた私とアメリちゃんは…
「ジパングか…あ〜私も行ってみたいかも!」
「アメリも行ってみたい!!ジパング行こうよ!!」
乗り気だった。
だって話には聞いたことあるけど、実際行った事どころか見た事すらないからね。
「あ、でも、ツバキはジパング人だし…行っても面白くないか…」
「そんなことはないよ。僕もたまにはジパングに帰りたくもなるしね」
ジパング人であるツバキもそう言うって事は行く気はあるのだろう。
「だったらさ、ジパングに行こう!!」
「さんせー!!」
「俺も賛成!!」
「ま、いいかな。白米はあるけどあっちの料理も恋しくなってきた頃だし」
ジパングに行くという意見に全員賛成したので、次の目的地はジパングに決定!
…って感じで、私達はジパングに向かう為に港町であるヘプタリアを目指す事にしたのだ。
「で、ヘプタリアまではどの位掛かる?」
「うーん…どうだろう…ラノナスで買った地図からすると数日は掛かるかな…」
「そっか…じゃあまずはどこか近い町を目指す?ずっと歩きっぱなしは精神的に疲れるってのを経験してるから…」
ジパングまで行くのには海を渡る必要がある。船旅になるとはいえ、いろいろと準備も必要だろう。
それに長くどこの町も着かずに歩き続けるのが大変なのはジーナとテトラスト間で経験済みだ。
しかもヘプタリアに続く道は反魔物領のすぐ近くだから用心しながら行かなければならないのだ。
なのでまずは遠回りにならない程度でどこかの町に行く事にしようと思う。
「とりあえずここ目指す?ここからだと一番近いし
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