…………
目を開けると…広がる青…
天から差し込む光が、辺りを幻想的に照らす。
ここに来てから、もう数カ月が経ったらしい…
時間の感覚がよくわからないから、『らしい』。
でも…それでもいい…
時間なんて関係なく…ただ浮いていればいいのだ。
そう…この青に身を任せ…ただ…
でも…『会いたい』…
わたしは…『会いたい』…
生きていると、伝えたい…
大切な、幼馴染みに、伝えたい…
でも、わたしが今どこに居るかわからない。
だから、会いに行けない…
会いたい…
=======[サマリ視点]=======
「もっこもこアターック!!」
「きゃー♪」
「…なにしてんの?」
現在21時。
私とアメリちゃんは『テント』で遊んでいた。簡単にいえば寝る前の運動というか触れ合いだ。
ワーシープになり、もこもことした毛皮が生えた私。そのもこもこした身体でアメリちゃんに勢いよく抱きついた。だから「もこもこアタック」だ。
ちなみに、シャワーを浴び終え出てきたユウロに何してるのかと言われてしまったが…
「ユウロにはもこもこホールドだー!!」
「ちょ!?なにするんだ…あ……ねむ………ぐぅ…………」
「うわぁ…さっきまで普通に起きてたユウロが寝ちゃった…」
「サマリお姉ちゃんすごーい!」
後ろから完全に胸や身体が密着する形でユウロに抱きついた。相手の動きを制限するように抱きつくから「もこもこホールド」である。
いくら私の毛が短めでも、ここまで密着されたらワーシープの毛皮が纏っている眠りの魔力が抱きつかれた対象に速攻で襲いかかる。つまり、相手は眠ってしまうのだ。しかも抱きついている時に身体を擦り付けるように動かしたらさらに効果が出る。
結果、ユウロはすやすやと私に抱かれながら寝てしまったのだ。
「ぐぅ…………ぐぅ…………」
「気持ちよさそうに寝てるわね〜…勇者に襲われたときにこれやってみようかしら?」
「その前に攻撃されてそうだけどね……ところで、いつまでユウロに胸を押しつけてるんだい?」
「…なんか気持ちよくて……」
なんだか自分のおっぱいをユウロに押しつけていると私まで気持ちよくて…
寝てしまうって事じゃないんだと思うけど…トロンとしてきて…
「……そのままだと魔物の本能に任せてユウロを強姦しそうだね……」
「おっと!それはマズい!ナイスツッコミだよツバキ!」
ツバキに言われて気が付いた。私今ちょっと興奮していたんだ。
私は慌てて寝ているユウロから離れた。
危なかった…このまま魔物の本能に身を任せてユウロを襲っていたらきっとユウロは怒るどころじゃ済まないんだろうな…
「ふぁ〜〜……ユウロお兄ちゃんがねてるのを見てたらアメリもねむくなっちゃった…」
「じゃあもう寝よっか。ツバキは?」
「僕も寝るけど、その前にユウロをベッドまで運ばなきゃね」
私達はユウロをベッドまで運んだあと、それぞれのベッドに入り寝る事にした。
もちろんアメリちゃんは私に抱かれながら一緒に寝る。
アメリちゃんが私の抱き心地が最高と言っていたが、それは違うと思う。
だって、アメリちゃんの抱き心地のほうが最高だもん。
異論がある人がいたら抱かせてみt…いや、アメリちゃんは誰にも譲らない!!
…………………
ぐぅ…………
=======[ユウロ視点]=======
「…で、二人はまだか?」
「さぁ…まだなんじゃない?まだ後ろには見えないし…」
昼過ぎ、というよりは夕方に近くなってきた頃、俺達はそろそろファストサルド領に到着するってところまで来たのだが…
今ここに居るのは俺とツバキの二人だけだった。
「たく…「すぐ追いつくから先に行ってて」って言うから先行ったけど…こりゃあ待ってた方が良かったか?」
「まあ仕方ないんじゃない?実際昨日ユウロも熟睡してたんだし」
「はぁ…だったらやるなよな…」
なぜアメリちゃんとサマリの二人が居ないのかというと…昼ご飯を食べ終わった後サマリがアメリちゃんにもこもこホールドだっけか?昨日俺にやったことと同じ事をやったのだ。
確かにアメリちゃんもやってって言ってたけど…あれやられると深い眠りについて簡単には起きられないんだよね。
ってことでアメリちゃんが熟睡してしまい、「なんとか起こしてから行く、すぐ追いつくから先に行ってて」って言われたので俺とツバキで先に行くことになったのだ。
だが、結局まだ来る気配が無い。こちらに向かっている最中だといいのだが…
「ま、先に領内に入ってリリムの情報でも集めるか」
「そうだね。まあ余程の事が無い限り合流は出来るだろうしね」
つーわけで、俺達はファストサルド領に入ろうと…
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