慈愛の天使の物語

わたしは神様の使いで地上に降りたエンジェル。

使命は…人間を堕落させる魔物、悪しき存在に対し神の名のもとに罰を与える事。

そのために教団の勇者とともに魔物達と戦っている。憎き魔物達を滅ぼすために…

わたしのレシェルお姉ちゃんを殺した魔物達を…


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「起きて下さいアフェル様。まだ夕方ですよ」
「……ッハ!」
…どうやら温かい午後の日差しを浴びていたら寝てしまっていたらしい。
ずいぶんとまぁ懐かしい夢を見ていた。そういえば地上に来たときは使命というより復讐心に燃えていたなぁ…これは天使としてどうだったんだろうか?
と、懐かしがる前に…今わたしを起こした男に言っておきたい事が…

「レイル、起こしてくれたのは感謝しますけど、口調が昔に戻ってます…」
「ん?ああすまん。寝顔の可愛らしさについ、な。それに昔っていってもまだ5カ月ぐらいだろ?」
「まあわからなくは無いですけど…様呼ばわりされると距離を感じます。寂しいです」
「そう言うアフェルだって俺に敬語じゃねえか」
「わたしは生まれつきこの口調です。今更直せと言われても無理です」
「…そーかい。まあいいわ」

この男―レイル―とわたしは今一緒に住んでいる恋人、いいえ、もう夫婦同然です。式をまだ挙げていないだけです。
もう私の中にはレイルとの子もいますし。

「ところで、可愛らしい顔をしつつもすごく苦しそうな顔もしてたが、何か嫌な夢でも見てたか?」
「そうですね…わたしが地上に降りてからこの親魔物領の街で生活を始めるまでの夢ですからね…」


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わたしはこの『ケトニフ』という村の教会にやってきました。どうやらここに勇者がいるようです。
わたしはその勇者とともに魔物を討伐するのが使命だという事。
と、剣をもったそれらしき男がいましたね。きちんと神に御祈りをしています。

「あなたがこの教団の勇者ですか?」
「あっ天使さま!そうです。私がこのケトニフの教団に所属している勇者です。名をレイルと申します」
「そうですか。レイルさん、わたしはアフェルといいます。これからよろしくお願いします」
「はい!こちらこそお願いします」
「早速ですが、どこかで休ませてもらえませんか?地上に降りたとき思ったより疲れてしまったので少し休みたいのですが…」
「それでしたらこちらへどうぞ。天使アフェル様のお部屋へ案内します」
これがレイルとの出会いだった。第一印象はさわやかな好青年だった。



「体力も戻ってきましたし、早速ですが魔物を討伐するための作戦会議を始めましょうか」
休息を取り元気になったわたしは、教会の司祭やレイルとともに憎き魔物を討伐するための作戦会議を行う事にしました。

「この近くにある親魔物領『モアニリド』を魔物達の手から解放する為にはどうしたらいいと思いますか?」
「あそこの村には大した魔物もおりませぬ。ですので一般兵でも大勢出動させれば問題なく解放できるのではと思います」
「そうですか。ではわたしとレイルの二人が先頭で強そうな魔物達を討伐、その後一般兵の皆さんで一気に攻めていく。そんな感じでよろしいですね?」
「はい、問題は無いかと」
「では早速明日の夜にでも攻めていきましょう。この単純な作戦ならばそう準備も時間がかからないでしょうし」
「少し早い気もしますが…まあ大丈夫でしょう。早速兵達にこの作戦を連絡しなければ…!」
そういってレイルと司祭は部屋を出ていった。



(これで…これでやっと魔物を滅ぼす事が出来る……お姉ちゃんの敵が討てる…!!)





わたしのお姉ちゃんは、3年前に地上に降りました。
各地の魔物を勇者と供に討伐して、その活躍は天界にいるわたしの耳にも届きました。
いつかはわたしもお姉ちゃんのようなエンジェルになって、そして一緒に戦うんだと、その時は夢見ていました。
しかし、お姉ちゃんが地上に降りて大体1年半が過ぎたころ、わたしの耳に信じられない噂が聞こえてきました。
それは…とある魔物の集落の討伐に失敗し、お姉ちゃんが魔物に殺されたというものでした。
こんな噂は嘘だと思いました。何かの間違いだと思いたかった。
けれども……それは本当の事でした。
その事件からお姉ちゃんは行方不明、魔力も感じなくなってしまったらしいのです。
魔力を感じないということは……もうこの世にお姉ちゃんはいないという事です。
それだけではありません。一緒に戦っていた勇者も帰ってきていないという事らしいのです。
もうここまでいけば誰でも殺された事がわかります。

わたしは絶望に襲われました。
もうあの優しかったお姉ちゃんに会えなくなったと思うと、涙が止まりませんでした。
それと同時に、魔物に対しての憎
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