「パパ〜♪」
「アルム〜♪パパの胸に飛び込んdぐはああぁぁぁ…!!」
「えっへへ〜♪」
家の庭でボクの夫のコードと娘のアルムが遊んでいる。
今はアルムがコードの胸に文字通り頭から勢いよく飛び込んで胸を強打したコードが苦しみのたうちまわっている。
その姿には父親としても、元勇者としても、男としても威厳が見当たらない。
コードもまだまだだなぁ…笑顔でコードに向かって走っていたアルムの尻尾がピコピコ動いてたじゃないか。
あれはアルムがイタズラを考えて実行しようとしてる合図だ。
流石ボクの娘…そういうところはボクと同じだなあ…
「こーらアルム!パパ痛がってるでしょ!ちゃんと謝りなさい!」
「はーい…パパゴメンね♪」
「は、はは…いいよ…でももうちょっと自重してほしいな…」
「うんわかった」
あ、返事が棒だ。これはまたやるな。
……………
こんな親子のやりとりを見ていると昔を思い出す。
ボクも同じような事をパパにやったなあって…
……………
パパ……
====================
「パパ〜♪」
「おーどうしたメリー?」
これはまだボクがアルムと同じ位の歳だった頃の事だ。
パパの胸に飛び込むフリをしてパパを後ろの池に突き落としてやろうと考えたボクは笑顔でパパの下に走っていた。
「パパだーいすき♪(ニヤリッ)」
「……(ニヤリッ)」ヒョイッ
「えっ!?うわわっ!!」
バシャーン!!
そして実行しようとパパに向かってボクはニヤリとしながら勢いよく飛び込んだ。
だけどパパにはお見通しだったようで、同じようにニヤリとしながらヒョイッとボクをかわした。
その結果、ボクは翼を動かすことも出来ずに勢いよく池に飛び込む羽目になった。
「うぅ…何でよけたの?パパはボクがきらいなの?」
「さっきも今もメリーの尻尾がピコピコしてたからな。メリーの尻尾がピコピコしてる時は何かイタズラしようと考えてる時だからな」
「あ、あはは…」
「さっきは俺を池に落とそうとしていたんだろ?そんで今はそう言うメリーに近付いた俺を池に引き摺り込もうとしてたんだろ?」
「むー…パパにはかなわないや…」
万が一失敗したときの為に考えておいたものも簡単に見破られてしまった。
イタズラをしようとした時に尻尾が動くのは無意識だからどうしようもない。
それに、例え尻尾を隠してイタズラしても何故かパパにはすぐバレてしまう。
だからボクは一度もパパにイタズラが成功した事が無かった。
「ほら、いつまでも池に浸かってないで濡れた服を着替えるぞ」
「はーい!」
そんなパパはボクのイタズラに注意する事はあっても怒る事はなかった。
まあボクが怒られるようなイタズラはしないようにしているのもあるけど、パパがとても優しいからだ。
そんな優しいパパがボクは親として大好きだった。
…………
………
……
…
「ねぇパパ、パパはママのことすき?」
「何度も言ってるだろ?愛してるさ!」
「ふ〜ん…」
パパはママの事が大好きだ。
どのくらい好きかと言うと、ママの事を話しているだけで頂点にあった太陽が沈みきってしまうほど好きなのである。
「でも、ボクはやっぱりママのことおぼえてないや…」
「はは…まぁ仕方ないよ…まだメリーが1歳にもなってない時に死んじまったからな…」
でも、ボクはママがどんな人なのか知らない。
パパが言う通りボクが物心つく前に死んじゃったんだって。
この時はまだママがなんで死んだのか、またどんな顔をしていたかボクは知らなかった。
「でもいいや。ボクにはパパがいるから寂しくないしね♪」
「ははは!!嬉しい事言ってくれるじゃねえか!!」
ママの分の愛情はパパからきちんともらっている。
だからボクは寂しくはなかったし、この時はパパと一緒にお話している時間がただ幸せだった。
でも、ボクは自分にとってもパパにとっても辛い真実を知ってしまったのだ。
知らなかったらずっとただ幸せのままでいれたのに、ふとした事で知ってしまったのだ…
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「ねえパパ…これって…どういう事?」
「メリー…見てしまったのか…」
ボクが10歳の誕生日を迎えてからそう日にちが経っていないある日のこと。
ボクはふとママの事が気になってしまった。
パパが良く愛を語っているママだけど、どうしてそこまで愛されているのか気になったのだ。
その出逢いや初めての交わり、ボクが産まれた時はどんな感じだったのかが気になったのだ。
ボクは女…魔物だから、いつか現れる好きな人を自分のものにするためのヒントが欲しかったのかもしれない。
でもパパはママの外見とかボク
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