「な、なんじゃこりゃーーーーー!?」
「…やっぱり驚くよね」
現在19時。ユウロが旅に加わってから5時間程経過。
あれからノンストップで歩き続けたが、ユウロが言ったとおりやっぱりテトラストまでたどり着かなかった。
が、一応川沿いまでは着く事が出来た。まだ都市なんて微塵も見えてこないけど。
「外から見たら普通の2、3人用のテントなのに内部が豪華な小屋だったら誰でも驚くって!!」
「ね?そうでしょアメリちゃん」
「うーん…」
私たちは川沿いから少し外れた場所に広場みたいになっている部分があるのを発見したので、そこで例の『テント』でキャンプする事にした。
『テント』の外見だけを見たときにユウロが「これ、本当に俺も入れるのか?絶対無理だろ」とか言っていた。やはり初めての人間はそう思うよね。アメリちゃんはそんな私たちに対してずっと不思議そうな顔をしているが。
「それだけじゃなくて、ルーンが刻まれたスイッチを押すだけで段階調節が可能な熱を発するプレートと蛇口と電灯があって、食材を保存や保冷する事が出来る不思議な箱に、ちょっと大きめのベッドがいくつかあるし、トイレとシャワーまで完備しているという豪華な王女仕様…」
「はあっ!?マジかよ!?スゲーな!!」
これが普通の人間の反応である。間違ってもこの小屋を普通だとは思わない。
これを普通だと言い張るアメリちゃんはやはり大物か……ってリリム=魔物の王女だから大物だけど。
ユウロは目を見開きキラキラさせながら小屋中を隈なく探索している。
こうしてみると怖い勇者という印象は皆無だ。むしろ私よりも年下の男の子を見ているような気分だ。
「うわあーー!!マジなんだよこれ!?ヤベーよ!!」
「ヤベ?」
「まもののちからってすげー!」
「…なに言ってるの?」
なんかユウロが良く分からない事を言っているが、興奮している事だけはわかった。
男の子って未知の物を見ると皆こうなるのかな?それともユウロがはしゃぎ過ぎなだけかな?
「…ねえサマリお姉ちゃん、アメリ早くごはん食べたい」
「……そうだね。はしゃいでるユウロはほっといて夜ご飯の準備しよっか」
「うん…ところで今日の夜ごはんなに?」
「今日はハンバーグにしようかと。もちろんアメリちゃんにも手伝ってもらうよ!」
「うん!アメリがんばってお手伝いする!!なにすればいい?」
「それじゃあ私がボウルの中に包丁で切ったものを入れていくからそれを捏ねて平らな円の形にしていって!」
「はーい!!」
とりあえずはしゃぎっぱなしのユウロはそのままほっといて私とアメリちゃんは夜ご飯の準備にとりかかった。
…………
………
……
…
ジューーーーーー……
「……うん!良い感じに焼けた!ハンバーグの完成!!」
「わーい!!いいにおいー!!」
程良い焦げ目がハンバーグに付いてきた。
アメリちゃんが意外と手際が良くて予定よりも早く完成した。パンとスープも準備できたし早速食べる事にしよう。
「うおーー!!ここはこうなってんのかー!!マジパネェ!!」
「おーいユウロー!ご飯出来たよー!!いつまではしゃいでるのー!?」
「ん?あっ!もうご飯!?何も手伝わなくてゴメン!!」
「別にいいよ。いろいろこの小屋を見てたんでしょ?これからよく使うんだからいろいろ知ってた方が良いからね。でも明日からはちゃんと手伝ってね」
「了解!!じゃあご飯にしようか!俺朝から何も食べてないから腹へって仕方ねえんだよ!」
……ってことはお昼ご飯も食べずにアメリちゃんを待ち伏せしていたのかぁ……大変だったんだなぁ…
「……もしもーし、なんでかわいそうな子を見るような目で俺を見てるの〜?」
「ユウロはかわいそうな子だな〜と思ったからだよ」
「……………ご飯にしようぜ」
誰でもわかる位落ち込んだユウロもおとなしく席に着いた事だし、早速夜ご飯のハンバーグを食べる事にしよう。
「「「いただきます!!」」」
とりあえず真ん中で切って……うん!ちゃんと中まで火が通ってる!これなら大丈夫だ!!
「うおっ!なんだこれ!?めっちゃウマい!!下手すりゃそこらへんの店で売ってるものよりウマい!!」
「もぐもぐ……おいしーーー!!」
ユウロが大げさなリアクションをしている気がするが、おいしいと言ってくれるのは嬉しい。
いつも通りアメリちゃんもおいしいと喜んでくれている。
喜んでくれる人が居る……これだから料理は止められない。
「すごいなサマリ!実は料理の修行でもしてたのか?」
「ううん。小さいころから普通にお母さんの料理の手伝いをしていただけだよ」
「それでこんなにウマくなるものなのか!?スゲーな!!」
「ありがと!でも今日はアメリちゃんが上手にハンバーグを捏ねて形を整えてく
[3]
次へ
ページ移動[1
2 3 4 5 6]
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想[#]
メール登録