旅行0 きままな旅の軌跡

「わああああん……ひっ!? だ、だれ!?」
「……えっ!?」

この物語は、旅に憧れる17歳の人間の少女と、旅をしている8歳の幼き王女が出会ったところから始まりました。

「何でアメリちゃんはこんな場所に居るの?」
「アメリ?アメリは今一人で旅してるの! アメリはお姉ちゃんたちに会うために旅してたんだ」

幼き王女……リリムのアメリちゃんは自分の見知らぬリリム、つまり姉達を探すために旅をしていたのですが、一人でいたところを勇者に襲われ逃げた結果、お姉さん達の居場所がわかる魔法の地図を失くし、迷子になっていました。

「ねぇアメリちゃん。お姉さん達がどこにいるかわかる?」
「わかんない。どうしよう……」
「だったらさ、私と一緒に旅しない?」
「えっ? サマリお姉ちゃんと?」

そんなアメリちゃんを人間の少女こと私……サマリは、自分と一緒に世界中を旅しながら姉を探さないかと誘いました。

「一人より二人のほうがきっと旅も楽しいよ!」
「うん!!」

アメリちゃんも一人は寂しいと、悩む事もなくその誘いに同意してくれました。

「それじゃあ……」
「「いってきます!!」」

こうして、私と幼き王女のきままな旅が始まったのです。



……………………



「ごちそうさま!! やっぱりサマリお姉ちゃんのご飯はとっても美味しい!!」
「いやあ……そこまで真っ直ぐ言われると照れるよ。ところで……この小屋? テント? ……まあいいや。これって凄くない?」
「えっそうかなあ?」

外見は普通なのに、ベッドにキッチンやトイレとシャワー完備で内部が立派な小屋並に広い魔法の『テント』で寝食しながら、ゆったりとした旅は続きます。

「それじゃあ行こっかアメリちゃん!」
「うん! テトラストにしゅっぱーつ!!」

お姉さんの居場所を、最初に辿り着いた町に居たアメリちゃんの元付き人から聞き出したので、早速そこへ向かって歩き始めました。

「そこのリリム……もう逃さないぞ……今度こそ覚悟するんだな!!」
「あ……そ……そんな……どうして……?」

その途中、私と出会う前にアメリちゃんを襲った勇者が強襲して来たりもしましたが……

「そもそも魔物だからと言って子供を殺そうとするとかなんなの? バカなの? (中略) 本当にふざけないで!! 最低よ!!」
「そんな事言われたってさ、俺だって本当は殺したくは無いよ。魔物は怖いものだって言うから頑張って鍛えたけどいざ見てみたら人間の女子と見た目も中身もあんまり変わらないんだぜ? それを殺すとか俺ただの殺人鬼じゃんか。特に子供なんて可愛いから絶対にやだよ。(中略)でも『失敗しましたー』なんて言いながら帰ったら怒られて罰受けるわ役立たずとか罵られるわで嫌な思いするし最悪裏切り者のレッテル貼られて殺されるしどうしたらいいんだよーーー!!!!」

私の怒りに任せた言葉攻めにその勇者は心が折れてしまいました。仕方ないよね。

「だったらさ、教団なんてやめちゃって私達と一緒に旅しようよ!!」
「ええっ!? な、なんで俺を!?」
「だってアメリちゃんを殺さなかった場合帰れないんでしょ? しかも本人は殺したくないと言っている。だったらいいじゃん。今後もこうして襲ってくる勇者が居ないとは思えないし、強い人がいるのは心強いと思ったからね!」

そして、私に誘われるがままにその勇者、ユウロも共に旅をする事になったのです。
流石は元勇者。少女と幼女の旅の護衛として加入した彼は、かなり心強い存在でした。

「まずは一体。次はそこのリリムです……」
「誰だお前は!?」
「私はホルミ。そこにいる魔物を倒しに来た勇者です」

途中で大きな斧を装備した勇者ホルミと遭遇しましたが……

「くぅ……今度は絶対私が勝ちます! 覚悟しておいてください!!」
「おっけー。今度があったらその時はまた返り討ちにしてやるよ。今度は俺も本気出すから。せいぜい魔物に襲われないようになー」

ユウロとアメリちゃんのお陰でなんとか撃退、逃走する事ができたのです。

「ユウロお兄ちゃんが本当は優しい人だってのはわかってるんだけど……」
「恐怖のほうが勝ってて話しかけにくい……ってことかな?」
「そうなの……仲良くなりたいけど……」

最初こそ、殺し殺されそうになる関係だった為、アメリちゃんとユウロはぎこちなくもありましたが……

「……ん? もしかして手を繋いでほしいの?」
「うん! ダメ? ユウロお兄ちゃんともっと仲良くなりたくて……」
「……ありがとうアメリちゃんっ! はいっ!!」

二人とも優しいので、アメリちゃんにとってもすぐに頼れるお兄さんになりました。

「あなた……もしかして私と同じリリム?」
「うん! あなたがアクチお姉ちゃんですか?」
「ええ、そうよ。私はア
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