ゴロゴロ……ピシャーンッ!!
ザアァァァァァァァ……
「うわっ!? この季節に雷雨かよ!?」
夏もとうの昔に過ぎ、瞬く間に秋も終わり肌寒さが目立ち始めた季節。
週末という休み前で少しテンションが上がった中での学校からの帰り道。突如季節外れの夕立に襲われた僕は、雨宿りをしようと大急ぎで雨の当たらない場所まで駆け始めた。
「あーもう、ずぶ濡れだよクソ……」
今日の朝は普通に太陽も出ていたので傘なんて持っていなかった僕は、突然の雷雨に為す術もなく、頭の先から足下まで一瞬のうちにずぶ濡れになってしまった。
どうにか高架下まで辿り着いた頃には、髪の毛も学ランも水を吸って重くなり水滴が滴り落ちていた。
ダダ下がりのテンションで思わず悪態をつきながら、僕は手持ちのタオルでできる限り水分を吸い取ろうと鞄を漁り始めた。
「タオルタオルっと……ん?」
がさごそとタオルを探していると、耳に水を切る音が聞こえたと同時に、目の前が人影で少し暗くなった。
どうやら僕と同じく突然の雷雨に襲われた人が高架下まで逃げ込んできたらしい。
別段気になったわけではないが、急に人が現れると反射でそっちを見てしまうのが人間というものだ。
という事で、僕はタオルを探す手を止めてふと顔を上げた。
「あうぅ……」
そこにいたのは、雨に濡れて寒そうにぶるぶると震えている、一人の小柄な女性だった。
着ている制服はうちの高校のもので、襟に付いているピンバッジの色からして一つ上の学年だろう。名札を見たところ、どうやら国母先輩というらしい。
全身、特に手足が白くなっており、とても寒そうだ。髪の毛は燃えるような赤色なので余計にそう感じた。
というか身体が冷え過ぎたのか歯をガチガチと慣らしている。若干涙すら浮かべているみたいで、どちらかといえば怯えているような様子だ。
「えっと……大丈夫ですか……ん?」
あまりにも寒そうにして、そして怯えた様子なので思わず声を掛けた時、彼女の頭の上に付いているものに目が行った。
彼女の頭の上には、丸くてふわふわとした物が付いていた。例えるならそう、ネズミの耳だ。
手足が異様に白いのも、よく見たら白い毛皮だ。それに、尾てい骨の辺りからは細長い尻尾も生えていた。
「……ラージマウス……いや……」
ネズミの特徴を持つ国母先輩は人間ではない。
おそらくこの世界に、特にこの国のこの街に沢山いる魔物娘と呼ばれる存在だろう。
その魔物娘の中でもネズミの特徴を持つ種族といえば『ラージマウス』や『ドーマウス』がいる。実際、同じクラスには国母閨(ねや)というドーマウスの女子がいるし、国母先輩は名字的におそらく彼女の姉なのでドーマウスなのかと思った。
だが、白くなった毛、何かに怯えた様子、そして別に眠たそうにしていない事から、また別の種族だと僕は考えた。
国母家はこの街の3大屋敷に住む家庭の一つで、エキドナの母を持つ大家族だ。その一家はほぼ全員別種族なので、同級生の国母さんと微妙に違うのもうなずける。
「ひねz」
ガラガラピッシャーン!!
「おっと」
「ひああっ!?」
ネズミはネズミでもあの種族かなと思い口を開こうとしたところで、特大の雷が近くに落ちた。
大きな音と、空気が震える感覚にビックリし、言おうとした言葉を思わず止めてしまった。
だが、目の前の彼女の驚きはそれ以上だったようで、尻尾をピンと張って跳び上がった。
「あわわわわ……」
「だ、大丈夫ですか?」
どうやら国母先輩は雷鳴に怯えていたようだ。大きく飛びあがったと思ったら、耳を伏せて小さく縮こまって震え始めた。
「か、雷こわ……」
ガラガラドゴォォォン!!
「びゃあああああっ!?」
「うわっ!?」
更に追い打ちを掛けるように、より近くに落ちた雷。振動で思わず仰け反りそうになる程だ。
これには国母先輩も我慢が出来なかったようで、大声で叫びながら大粒の涙をこぼし、なんと僕の胸元に抱きついてきてそのままガクブルと縮こまってしまった。
「うえええ雷怖いよぉぉ……」
「あ、あの……」
抱きつかれた事そのものも困った事だが、何よりも全身ずぶ濡れな為、彼女の下着が透けて見えてしまっているのだ。
特に彼女はネズミの魔物にしてはそこそこ大きい胸と、それを覆うピンクのブラが透けているので目のやり場に困る。
そしてその柔らかな胸が身体に押し付けられているのはそれ以上に困る。魔物娘はそういうのに敏感らしいので意識しないようにするのはもの凄く大変だ。
「ううぅぅ……」
ゴロゴロ……ドオォォンッ!!
「ぴえぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
雷が落ちろ毎に泣き叫びギュッと抱きついてくる国母先輩。
「お、落ち付いて下さい!」
僕は何を思ったのか、彼女を落ち着かせるために、彼
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