さくら組の日常!

「おはよーございまーす!」
「おはようございます! 慌てないでゆっくりと教室に向かってね!」
「はーい!」

園児達が馬車から下り、次々と教室に入っていく。
眠そうな目を擦りながらとぼとぼと入っていく子もいれば、元気に駆けながら入っていく子もいる。
私はそんな子供達に向かって、手を振り笑顔で挨拶をする。

「おはようゴート先生。やっぱりわたしをおよめさんにして!」
「おは……えっ!? ちゃ、チャモちゃん、だからそれは……」
「チャモちゃん!! だからパパのおよめさんはママと私なの!」
「マイアまで……二人ともいい加減にしなさい。僕のお嫁さんはママだけだよ」
「こーら二人とも、そうやって毎日ゴート先生を困らせてはいけません。そんな子は嫌われちゃうよ?」
「うー……でもマリン先生の言う通りだね。困らせてごめんなさいゴート先生」
「そうだね。ごめんねパパ。じゃあ私たち先に教室行ってまーす!」
「はい。チャモちゃんもマイアちゃんも教室で大人しく待っててね」

私のクラスの子であるチャモちゃんとマイアちゃんがひまわり組のゴート先生を困らせていたので軽く叱る。
ゴート先生の事が大好きでお嫁さんにしてもらいたいというのは大いに結構だが、そこまで好きな人を困らせちゃうのはあまり良くない。
特にマイアちゃんはゴート先生の実子だ。お父さんを困らせるのはダメだと叱る。
二人ともいつも通りわかってくれたので、二人仲良くさくら組の教室へと向かって行った。

「おはよーございます!」
「おはようございます……」
「おっはよーあははは〜♪」
「はい皆おはよう。今日も一日頑張ろう!」

次々と馬車から下りて園内へと入っていく子供達。
この幼稚園にはかなりの数の園児が在籍しているが、笑顔で挨拶していたらあっという間に皆馬車から下りて園児の影が無くなってしまった。

「さーて、そろそろ教室にもどろっと」
「そうだな。園児達も準備運動が終わっただろうし、早速相手してやらねばな」
「あら? 今日のばら組はたしか午前中は算数のお勉強ではありませんでしたか?」
「出席がてらの稽古だろう? うちのカティちゃんからそんな事していると聞いているぞ」
「ああそうだ。あ、言っておくがもちろん許可は取ってある。ねえ園長先生」
「ええ。そのほうがばら組の子達も一日を元気に始められるみたいですからね」
「ロラン先生含めてばら組の皆は朝も昼休みも稽古しておるからの。種族柄身体を動かすのが好きなのじゃろう」
「まあなんでもええけど、食べ終わったお弁当は忘れずに運んでな。たまーに一部の先生は弁当箱を持ってくるのが遅れるけど、ばら組は断トツだからね」
「う……すいませんツクヨ先生……」
「私も気をつけないと……生徒達と泳いでいるとつい忘れてしまいますからね……」
「まあ何にせよ、今日も一日頑張りましょうね」
「……頑張ろー……」

生徒が馬車内に残っていない事を確かめた後、先生方と軽くお喋りを交わしながら自分の担当する教室へと戻ったのだった。



……………………



「皆さん、おはようございます!」
『おはようございますマリン先生!!』
「それでは早速出席を取ります! 呼ばれたら返事をしましょう!」
『はーい!!』

教室に入り、大人しく待っていた園児達に挨拶して、早速出欠を取る。
まあ、一教室の人数は少ないので一目見れば全員居る事はわかるのだが、元気に返事をさせる目的もあるので一人一人名前を呼ぶのだ。

「アノンちゃん!」
「はいっ!」
「ウルちゃん!」
「はーい」

まずは、毎日葉っぱで出来た髪飾りをおしゃれに着こなす白肌エルフのアノンちゃん。長い耳をピクピクと揺らしながら、身体を突き出して元気に挨拶。ちなみにエルフだけど魔物なので人間は嫌っていない。
ウルちゃんはアノンちゃんとは対照的に褐色肌のダークエルフだ。お気に入りのマイ鞭片手に女王様気分(私の言う事は素直に聞いている)で、他の皆からもウルさまと呼ばれている。
ちなみにこの二人、エルフとダークエルフだが幼馴染みであり仲も非常に良い。親御さん同士は仲が悪いしウルちゃん曰く「堅苦しいエルフは好きじゃない」らしいが、よく2人とシアちゃんの3人で仲良く遊んだりお昼寝したりしているのでお互い大好きな相手なんだろう。

「エーウェちゃん!」
「はいっ!」
「クリルちゃん!」
「ふあ〜い」

お次はゴブリンコンビのエーウェちゃんとクリルちゃん。クリルちゃんのほうが年上だからか、エーウェちゃんはクリルちゃんを慕っており、クリルちゃんもエーウェちゃんを可愛がっている。
ちなみにエーウェちゃんはちょっぴりおバカで笑顔が絶えない元気っ子……だが、おバカキャラとは裏腹に計算能力だけは全園児の中でもトップクラスだったりする。お買い物でもあっという間に合
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