てのひらを闇の太陽に

むかーしむかしのおはなし。

とある小さな国に、それはそれはとても強い、太陽のような輝くオレンジ色の髪と空のように透き通った蒼い瞳を持った女性の勇者様がいました。

その勇者様が光り輝く聖剣を一振りすれば、悪い人達はみんな敵わず倒されます。

また勇者様が自慢の魔術をひと度使えば、恐ろしい魔物達はみんなおとなしくなります。

でも勇者様は、ただ強いだけではなく、とっても優しい女性でした。

優しい勇者様は、どんなに悪い人や恐ろしい魔物達が相手でも、その命を奪う事は一度としてありませんでした。

こらしめた後に改心させ、必ずその太陽みたいな朗らかな笑みと空のような広い心で許していました。



そんな優しい勇者様は国の子供達に大人気でした。

勇者という忙しく高貴な身分でありながらも、暇さえあれば国の子供達と遊んであげていました。

国の子供達に危険が迫れば、たとえ王様からの他の依頼があってもそれを投げ出してまで子供達を助けに向かってました。

勇者様は子供達が、子供達の笑顔が大好きなのです。

また、遊んでもらった子供達は、みんな勇者様が大好きでした。

危険から護ってもらった子供達は、みんな勇者様に憧れました。

勇者様は、村の子供達みんなから尊敬されていました。

そんな勇者様とずっと一緒にいたいと想う子供もいました。



ですが、そんな子供達に大人気な勇者様を良く思っていない人がいました。

それは、この小さな国の王様です。

王様からしてみれば、国で一番偉い自分の依頼を投げ出してまで子供達を危険から助けに行く事を不快に感じていました。

また、自分よりも人気がある勇者様に嫉妬していました。

なので、王様は嫌がらせとして勇者様にいろいろと無理難題を押し付けてきました。

でも、勇者様はその無理難題を難なくこなしていきました。

その活躍によって勇者様の人気はますます上がり、王様の気分はますます悪くなっていきました……


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「ふぅー……やっとここまで来ることができた……」

辺りを見渡すと、大地は乾き、草木は枯れ、家が崩壊し、あちこちに餓死した動物の死骸が転がっている。
ここには昔、村があった。けれども今は誰も住んではいない。
何故ならば、約10年前にこの元村のどこかに一般的には危険なあるものが現れそれを封印したため、住民達は皆この村から避難したからだ。

こんな生物の気配が一切無い荒れ果てた場所に、僕は1人でいる。

何故こんな場所にいるのかというと、僕はこの近くにあるその封印されたものを探しに来たのだ。
危ないから封印されているのだ。そんなものを探しに行くと他人に言えるわけが無い。だから僕は1人でいる。

ちなみに、封印されているものは、僕にとっては危ないものという認識は全く無い。
それどころか、封印されているのは僕にとっては憧れの存在、とても大切なものなのだ。
だから僕は封印を解きに来た。

それは、決して許される事ではないとわかっていながらだ。

僕は自分の力だけで封印されている場所を調べた。
そして、この村の存在にたどり着いたのである。

「えーっと、確かここら辺に緑色に光る小さな水晶があるはずなんだよな…」

どうやら大切なものは特殊な水晶から発生する結界を使って封印されているらしい。
そして、封印を解くにはその水晶を壊せばいいらしい。
なのでその水晶を見落としが無いように村の隅々まで探す。
それこそ今にも崩れそうな家の中や動物の死骸の下までもだ。

「ん?…なんだろこれ……」

村の中央広場だったと思われる広い場所の一角に、とても小さな小屋が建てられていた。
村がこんなに酷い状態であるのにも関わらず、その小屋は綺麗な状態を保っていた。
さらに、その小屋の裏側には石の壁があった…他の壁と比べるとあからさまに高さや丈夫さが違う不自然な壁が。
どうやら壁で四方を囲っているようだ。誰がどう見ても怪しい。

壁を触ってみた。触った感じでは普通の壁だった。
なので今度は小屋の中を覗いてみた。

「………あっ、あった!」

すると、中には緑色に光る飴玉のような大きさの水晶が大事そうに置かれていた。
おそらく目当ての水晶だろう。案外簡単に見つける事が出来た。

僕はその水晶を手に持って…

「………えいっ!!」

パリィィィン…

地面に勢いよく叩きつけた。

その結果、思ったよりも大きな音を出しながら水晶は砕け散った。
瞬間、小屋の裏側にあった壁全体に亀裂が走り、音もなく崩れ落ちた。やはりこの壁が結界だったようだ。

その壁の向こう側には空間があった。

その空間に、1人ぽつんと女性らしきものが空をぼーっと眺めながら『浮いて』いた。

その女性は真っ黒な長く真っ直ぐな髪に
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