あと

「ふぅ……華ちゃーん?」
「はーい!」

そして、次の日曜日。

「お待たせしました!」
「今日は大丈夫? 昨日も夜遅くまでアルバイトしていたんでしょ?」
「大丈夫ですよ。終わった後すぐ寝ましたし。それに土呂さんとのデートなのに寝惚けてなんて居られませんよ!」

俺はマイカーを購入……なんて事は流石にできないので、車をレンタルして華ちゃんの家に向かった。
もちろん目的は華ちゃんとのデートだ。車で1時間ちょっと掛かるような少し遠くの街にある、色とりどりの花が咲いている大きな公園へ行く事になっている。

「それじゃあ行こうか。そういえば今日は良いお天気だけど、そっちも大丈夫? 車移動とはいえ、公園に着いてからは歩くし……」
「それも大丈夫です。これを持って行くんで!」
「これ……日傘?」
「はい。日光を完全に遮断します。普段大学で使っているので効果は保証付きです」
「そうなんだ。じゃあ大丈夫そうだね」

家に付いた俺は早速華ちゃんを呼び、出発する事にした。
まだ朝の8時と早いが、寝不足でもないみたいだ。目もハッキリと開いている。
それに、この前みたいに日光を浴びて暴走しないよう漆黒の日傘を持っていた。これなら公園デートも充分に楽しめるだろう。

「それじゃあ車に乗ってね。荷物は後ろに置いていいからね」
「はい。それじゃあよろしくお願いします」

という事で、華ちゃんを助手席に乗せ、目的地に向かって車を走らせた。

「華ちゃんってさ、普段大学でどんな勉強をしているの?」
「私は生物学部なので生物のお勉強をしています。植物が中心ですが、動物も学んでいます」
「へえ。それは華ちゃんらしいね。楽しい?」
「はい! まあ、レポートは大変ですけどね。特にいくつもの講義で同時にレポート課題が出されたら地獄です」
「はは。大学生らしいね。自分もそうだったよ。特に学期末のレポートは辛かったな……」

目的地に向かう途中、もちろん無言である筈はなく、華ちゃんと楽しくお喋りをする。

「そういえば土呂さんはどんなお仕事を? 会社の場所はなんとなく聞いてましたが、仕事内容を知らないなと思ったので……」
「そういえば言ってなかったっけ。俺はただの営業だよ。あちこち駆け回って、会社で作った商品を売り込んでる。大変だけど自分の売り込みで商品を買ってもらえた時は結構嬉しいんだ。あ、そうだ。これ出張土産」
「わああ! ありがとうございます!」

話の途中、出張で奈良まで行った時のお土産があった事を思い出したので、信号待ちのタイミングで鞄を漁り華ちゃんにお土産を渡した。
ちなみにお土産の中身は可愛らしくアレンジされた鹿のストラップだ。気に入ってくれたようで、早速携帯電話に取りつけた。

「ってその携帯電話、今気付いたけどボタン大きいね」
「はい。私のような指が大きい種族専用の携帯電話です。これじゃないと上手く番号が打てなくて困りものです。そのせいでスマホに変えられませんし……別にそれで困る事はありませんが、選択肢は多いほうがいいじゃないですか」
「ああ、スマホは無いんだね。結構特定の魔物娘用のスマホって出てた気がするからてっきりトロール用もあるものかと思ってたよ」
「ところがないんですよね……一応大きいやつに一部の通信機能アプリを入れれば近い物は使えますが、結局は裏技みたいなものですからね」
「あーそうなんだ。早く対応しているの出れば良いね」

3連休の丁度2日目なので、自分のように日帰りで遊びに行く人が多いからかちょっとした渋滞になっている。
とはいえ、それを見越してちょっと早い時間から出発しているので問題はない。それに、どちらにせよ華ちゃんとゆっくり会話を楽しむ事には変わらないのでそこまで気にする事はない。

「ああそうだ華ちゃん。朝ご飯食べた?」
「いえ。準備にかかる時間ギリギリまで寝ていたので食べてません」
「じゃあコンビニで何か買ってく? 俺も食べてないし、到着してからって思ってたけど、このペースじゃ10時前ぐらいになりそうだしさ」
「そうですね。普段日曜の朝は寝ている事が多くて食べてませんが、流石に朝から起きているのでお腹空きました」
「了解。じゃああそこのコンビニに入るよ」

そう、時間は気にする必要はない。しかし、空腹感はそうはいかない。
目的地の公園には色々と食べる物も売っているのでそれを朝食代わりにしようと考えていたのだが、この渋滞じゃ到着して少ししたらもうお昼ご飯になってしまうし、お腹が保つとも思わない。
という事で、ちょっと脱線してしまうが俺達はコンビニで軽く朝食を買って食べる事にした。

「いらっしゃいませー!」
「華ちゃんは何食べたい? 飲み物は?」
「そうですね。軽くおにぎりでも……って、おごって下さるのですか?」
「うん。流石に何十万
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