「ふふ……ありがと!」
「おわっ! 急に抱きつくなよ!!」
「おお、らっぶらぶー!」
「ひゅーひゅー!」
「おいそこ! からかうんじゃない!」
それは、何気ない日々の中で起きた疑問だった。
「……ん?」
「どした?」
「いやなんでも……」
ノフィに抱きつくと不思議な気持ちになる。
胸が高鳴るとでもいうか……とにかくなんとも言えない不思議な気持ちになるのだ。
「てか離れろリム! 暑苦しいぞ!」
「あ、ごめん……」
「あ、いや、そんなしゅんとされてもこっちが困るんだけど……」
そしてノフィに引き剥がされると、なんだかものすごく寂しくなってしまう。
お婆ちゃんに抱きついて離れてもここまで寂しくなる事なんてないのに、それが不思議でしかたなかった。
そして、未だにその不思議の正体が掴めないまま、私は日々身体も心も成長していたのであった……
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「ん〜……」
「おはようリムちゃ……おや、何か難しい顔してるけど悩み事かい?」
「あ、お婆ちゃん。おはよう。悩みって程じゃないんだけどね……」
いつもと変わらないはずの朝。
いつも通り起きていつも通り朝ご飯を食べていつも通りお仕事のお手伝いをするはずだったのに……今日はなんだが身体の調子がおかしかった。
「なんというか……落ち着かない。ぞくぞくというか、ふわふわというか……」
「そわそわするって事かい?」
「う〜ん……たぶん」
なんというか朝から身体中がそわそわする。
それに、微妙に身体が火照っている感じもする……が、風邪とはちょっと違うと思う。
別に寒気はしないし、喉も痛くない。鼻水だって出ないから風邪とは思えなかった。
「なんだろ……」
「リムちゃん……抱きついてくれるのは嬉しいけど、歩き辛いからちと離れてくれんかのぉ」
「あ、ごめんなさいお婆ちゃん……」
そわそわするだけじゃなくて、なんだか人肌が恋しく感じる。
お婆ちゃんをぎゅーってしていたらちょっと落ち着いたけど、引き離されたらまたそわそわする感じになった。
「おや? ちょっと身体が熱い気がするのぉ。風邪かねぇ」
「わかんない……私どうしちゃったのかなぁ……何か変な病気にでも罹っちゃったのかな……」
「う〜む……」
今までそんな事なかったのに、この身体の変調はいったいなんだろうか。
「ちょいとスノちゃんにも確認してみようかねぇ。熱以外は風邪っぽい症状もねえし、とりあえず朝食にしようかの」
「うん。あ、ちょっとトイレいってくる」
「そうかい。先に行っとるからの」
お医者さんと言えども、詳しく診察しなければお婆ちゃんもよくわからないようだ。
いったいなんだろうなと思いながらも、突然尿意を感じたのでとりあえずトイレに駆け込む。
「んっ……」
いそいそと穿いていた物を脱ぎ、トイレで用を足す。
漏らしたわけではないと思いたいが、心なしか生殖器が湿っているような気がする。
「……ふぅ……」
用を足し、トイレから出る。
拭いている時、心なしかむずむずするのが治まった気がするし、なんとなく気持ち良かった気もした。
試しに触れてみようと思ったが、そういえばご飯がまだだった事を思い出してやめた。
「おはようリム」
「おはよースノア兄ちゃん。今日も美味しそうだね!」
「はは、ありがとう。じゃあ席について食べようか」
ダイニングに向かい、卵の焼けるいい匂いを感じ取りながらスノア兄ちゃんに挨拶をしてテーブルの定位置に座る。
最近ちょっと皺ができて老けた気がするスノア兄ちゃんの料理は、何年経っても飽きないどころか美味しい。
美味しいけど……今日はなんだか食が進まない。
「もぐもぐ……」
「ん? なんだか今日は元気ないね。尻尾もだらんとしてるし……」
「そうそう。リムちゃんなんだか熱っぽいんじゃよ。でも風邪の症状はないしのぉ……」
「えっそうなの? どれどれ……」
食欲は一応あるのだが、やっぱりなんだか変な気分なのであまりご飯が進まない。
そんな私の様子を見たスノア兄ちゃんは、私の首筋に手で触れ熱があるか確かめようとした。
「くぅ〜ん……」
「……ちょっとリム? 何してるの?」
「ん〜なんだかすりすりするとちょっとだけ落ち付く」
そんなスノア兄ちゃんの手を、私は半分無意識のうちに変な声を出しながらほっぺですりすりしていた。
なんとなくこれじゃない感を感じるが、兄ちゃんの手でもちょっとは落ち付いた。
「もしかして……」
「おや、何かわかったのかい?」
「多分だけどね。魔物の生態にはそこまで詳しくないから確証は得られないけど……ちょっと股間がむず痒かったりしないかい?」
「ん〜……言われてみれば……」
「じゃあ可能性は高いかもね」
どうやらスノア兄ちゃんが何か気付い
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