「やあ、おはようナハリちゃん、カティちゃん」
「おはようございますマダル先生!」
「おはようございます先生」
朝の打ち合わせが終わり私が教室内に入ると、そこにはもう二人の園児が座って待っていた。
挨拶をすると、二人とも小さな白い翼をゆらゆらと揺らしながら私のもとへと近付いてきた。
「マダル先生、今日の帽子はいつもより大きいですね」
「ああ。今日はちょっと暑かっただろ? だから大きな帽子を被ってきたのさ。魔界だから問題はなさそうだがね」
「今日も似合ってます!」
「ありがとうナハリちゃん」
二人は私のクラスの園児、エンジェルのナハリちゃんとヴァルキリーのカティちゃんだ。
ナハリちゃんは父親のギース先生がこの幼稚園の養護教員をしており、朝は一緒に幼稚園まで来る。そしてカティちゃんは寝坊しない限りはナハリちゃんと一緒にきているから二人は早いのだ。
そんな二人は幼馴染みの関係で、二人とも親が天界出身だったり元教団関係者だからかかなり礼儀正しい。
「この帽子ってキノコなんですよね?」
「ああそうさ。旦那のキノコ汁をおまんこに注がれる事で作られる私の大事なキノコだ。君達にも将来大事なキノコを見つけられるといいな」
「えっと……はい……」
「キノコって……でもそうですね。旦那さまを見つけたいです」
とはいえ、もちろん魔界のど真ん中にあるまもむす幼稚園に通っているので、二人ともしっかりと魔物である。
私がちょっと際どい発言をしても、少しは顔を赤らめるが特に問題無く会話ができるのが何よりの証拠だろう。
「さて、今日も皆が来るまでの間三人でお茶会でもしようか」
「はい! マダル先生の紅茶は美味しいので大好きです!」
「今日はどのようなお茶ですか?」
「今日はハーブティだ。魔界ハーブの一種、ストイック・ラヴをベースにキーナちゃんの魔力を混ぜてある。頭がシャキッとするし、しつこくない甘みもありお砂糖いらずだ。調整はしてあるから君達でも飲めるぞ」
「ありがとうございます!」
「おいしいです!」
時計をちらっと見たところ、他の子達が来る時間までまだ少しある。
という事で、ほぼ毎日している朝のお茶会を開く事にした。
「先生、今日はどんなお勉強をするのですか?」
「今日は数字のお勉強と、お昼からは運動のお勉強だ。今日はかけっこだが……二人とも翼を使って飛ぶのはダメだぞ?」
「わかってますよ先生。一番速く走って見せます」
「う……私速く走れるかなぁ……」
「おっ流石カティちゃん。ナハリちゃんもそんなに心配しなくてもいいよ。速くなくてもいいし、誰かより速い必要は無いからね。勝つとしたら、前の自分の記録に勝てばいいんだよ」
「はい、がんばります」
二人にも私のオリジナルブレンド紅茶を渡し、味わいながらお話をする。
今朝すみれ組のエーネ先生と飲んだ時も好評だったが、二人も気に行ってくれたようだ。
「そういえば先生、ずっと気になっていた事聞いていいですか?」
「なんだいカティちゃん」
「先生のエプロンの下に着てる服、キノコ生えてないですか?」
「ああ……そうだね」
「もしかして先生の着てる服って……キノコですか?」
「ふふ……さあ? ナハリちゃんはどう思う?」
「えっと……流石に服がキノコって事はないんじゃないかなぁ……と」
「えーでもナハリ、マタンゴさんは身体がキノコだし、マッドハッターのマダル先生だってキノコじゃないの?」
「あー、んー……カティの言う通りなのかなぁ……」
「はは、君達が卒園する頃には教えてあげよう。それまでは秘密って事で」
「「えー!」」
ゆっくりと全身に水分が染み渡る感覚……もといお茶を楽しみながら、二人の天使達と会話を続ける。
二人ともからかうとほっぺを膨らませて抗議してくる。そんな表情が可愛くてついからかいたくなってしまうのが私の悪い癖だ。
「むぅ……教えてくれないと先生のキノコ帽子食べちゃいますよ?」
「おっとそれは困るな。そんな事したらカティちゃんがお腹を痛めて1週間以上幼稚園に休まないといけなくなってしまう」
「え……で、では食べません!」
「ははは……ん?」
笑ったりむくれたりしながらお茶会を楽しんでいたら、ガララッと扉が勢い良く開いた。
「おはよーございまーす!」
「ねてるちゃんお届けにまいりましたー!」
「すぴー……おはよーございましゅ……ぐぅ……」
「やあおはよう」
入口に居たのは、さくら組のラージマウス姉妹、テミアちゃんとユクナちゃん。そしてその二人に抱えられているねてるちゃんこと、私のクラスの子であるドーマウスのキーナちゃんだった。
「おっと、もう皆着いていたのか。もう遅いかもしれないが皆を迎えに行ってくるよ。二人はキーナちゃんを起こしておいてくれ」
「はーい!」
「わかりました!」
「すぴ
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