「おはようフラニちゃん」
「おはようございますダリー先生!」
朝の8時半。クラノ先生が運転する馬車が幼稚園に到着する30分前。
私が教室に入ると、既に一人の園児が自分の席に座っていた。
家が幼稚園から近い子や、幼稚園の先生の子供の中にはお迎えの馬車を使わずにくる子もおり、そういった子はこうして早めに教室内で待っているのだ。
「フラニちゃん今日も元気だね」
「はい! 今日も朝から元気いっぱいです!」
私が担当するゆり組に朝早くからいたのは、言葉遣いが丁寧で、どこかお嬢様っぽい印象を受けるフラニちゃんだ。
それもそのはずで、フラニちゃんは頭から角を、腰からは翼と尻尾を生やしている、私と同じサキュバス……ではなく、翼や尻尾は純白で、魔王様と同じ色白の肌と髪の毛、そして赤い瞳を持ったリリムだ。
彼女はこの幼稚園の園長先生を勤めるリリムの妹さんだ。毎日園長先生と一緒に幼稚園に来ているので、皆より早く教室に居るのである。
もちろん、リリムだからと贔屓する事は無く、他の子達と同じようにお勉強してもらっている。
「ダリー先生、今日はどんな授業をするのですか?」
「今日はね、午前中は魔力の使い方で、午後からは性について、おっぱいの事を中心にお勉強をするよ」
「なるほど……お姉ちゃんにもオナニーとか性行為についてはいろいろ聞いていますが、先生の授業とはまた違うので楽しみです!」
朝は毎日、他の子が来るまではフラニちゃんと二人っきりでお話。
勉強熱心で、ちょっぴりエッチなフラニちゃん。浮かべる笑顔はまぶしくて、どんな人でも魅了してしまう。
「さてと、そろそろ皆を迎えに外に行ってくるね」
「はい。私は教室内でみんながくるのを待ってます!」
お話をしているうちに、クラノ先生が幼稚園に着く時間が迫ってきた。他のクラスの先生達も続々と門の前に集まってきていた。
なので私も教室を出て皆を迎える準備を始める。フラニちゃんはちょっとの間教室内で待機だ。
10分ぐらいは一人になるので寂しいかもしれないが、皆が来たら賑やかになるのでちょっとの辛抱。そわそわしながら待っているのだった。
……………………
「みんな、おはようございます!」
『おはようございまーす!!』
クラノ先生が園児を全員連れてきて、教室内には子供達が全員集まった。
「それじゃあ出席を取るよ。名前を呼ばれたら大きな返事をしてね!」
全員居るのは見ればわかるが、決まりなので出席を取り始める。
「アイラちゃん!」
「はいなのじゃ!」
「ウィルちゃん!」
「は、はい!」
「ぬう、のおウィルよ。そこはくすぐったいのじゃ」
「あ、ご、ごめんねアイラちゃん」
トップバッターはアイラちゃん。もふもふ尻尾にぷにぷに肉球、それでいて3歳にしては大人顔負けの強力な魔力を持つバフォメットの女の子。お母さんの真似をして、喋り方はお婆ちゃんみたいな子だ。
次は恥ずかしがり屋のウィルちゃん。体中からうねうねの触手を生やした、テンタクルの女の子。誰かに巻きつくのが好きで、今は隣にいるウィルちゃんに巻きついている。
「コーダちゃん!」
「は……はい……」
「シャーナt」
「コーダ! 声が小さいぞ!!」
「ひゃうっ!」
「こーらシャーナちゃん。コーダちゃんに強く言わないの」
「だって先生、こいつ女々し過ぎるんだもん。元男ならもっと堂々としろ!」
「あうぅ……だって私もう女の子だもん……シャーナちゃんこそ女の子ならもっと優しくてもいいのに……」
「なんだと!? オレとやるのか!?」
「はいそこ喧嘩しない! あとシャーナちゃん、返事は?」
「あ、そうだった。はい先生!」
もじもじしたサキュバスの女の子はコーダちゃん。元男の子なので、正確にはアルプだ。幼稚園生になる前にこの魔界に越してきて、その日の内にアルプになったそうだ。身体は男の子として生まれたけど、心は最初から女の子だったのだろう。
そんなコーダちゃんとは対称的に男の子っぽいシャーナちゃんは、産まれた時から純粋なサキュバスだ。こちらはお母さんが男っぽいアルプなので、喧嘩っ早かったりチャンバラ好きだったりするのはおそらくその影響だと思う。
この二人、心と種族が互いに逆なのでよく喧嘩をしてしまうのだ。とはいえ、互いに互いを嫌っているわけではないので、すぐに仲直りする。
「タフィーちゃん!」
「んっ、はい!」
「ニーノちゃん!」
「はーい!」
お次はタフィーちゃんとニーノちゃんの姉妹。姉妹と言っても、二人とも種族は別々だ。
姉のタフィーちゃんは、うねうねとした物を出している黒い魔力玉に乗っているダークマターである。まだまだ小さいながらも、身体に触手を這わせてくすぐったさを感じているようだ。
妹のニーノちゃんは、薄い羽根に小さな角と尻尾を生やし、身
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