「わあ〜!きれいなお花だ〜!!」
広がる青い空に、ちょっとずつ西にかたむき始めた太陽。
ドイコサルアで新たなお姉ちゃんの居場所を聞けたアメリたちは、早速その町に向かって旅をしていた。
お姉ちゃんは北にずっと進んだところにある町にいるって聞いたから、町を出た後はコンパスできちんと確認しながらずっと北に向かって歩き続けていた。
その途中、いろんな形や色のお花が咲いている野原……お花畑があらわれた。
「見たことないお花ばかりだ〜♪」
なんだか楽しくなってきたから、色とりどりのお花の中を駆け回る。
今日は風もあるから綿毛がふわふわと、まるでケサランパサランさんみたいにお空を飛びまわっている。
アメリが近くを通ると、お花のみつを吸っていた蝶々さんがひらひらと飛んで行く。
ごはんのじゃましちゃってごめんねって思いながらも、アメリはわくわくした気持ちをそのままに両手を広げながら走っていた。
「わわっ!あ……わあ〜!!」
風が少し強く吹いて、花びらもまい上がる。
赤に黄色に紫に、白にオレンジにピンク色と、いろんなお花が宙をまう。
太陽の光をまといながら縦横無尽にひらひらとまうお花が、とってもきれいだった。
「ねえねえサマリお姉ちゃんたち!あれ……」
このきれいな光景を見ていないかもしれないからと、サマリお姉ちゃんたちに教えてあげようとして振り向いたら……
「あ……そっか……」
そこには……サマリお姉ちゃんも、ユウロお兄ちゃんもいなかった。
「アメリ、一人だったんだっけ……」
それもそうだ。
アメリが一人、先に宿を出て旅をしているんだから、いるわけがなかった。
「しっかりしなきゃな……」
ようやく結ばれたサマリお姉ちゃんとユウロお姉ちゃん。
そんな二人のじゃまにならないように、アメリは一人でお姉ちゃん探しの旅を続けることにしたのだった。
お姉ちゃん探しは元々アメリの目的だ。なにも二人を巻き込むことはない。
今までは世界を回るついでにとついて来てくれていたけれど……二人が恋人になった今、いつまでもアメリにつきあわせちゃだめだ。
「さて、行こっかな……」
二人がいっしょになったらアメリはじゃまにならないように消える……けっこう前にサマリお姉ちゃんがユウロお兄ちゃんにほれてそうな様子を見せていた時からずっと決めていたことだ。
もし二人が恋人にならなかったらずっといっしょにいられたけど……恋人になったからアメリはいっしょにはいられない。
だからアメリは今日の朝、早起きして二人からまるで逃げるように飛んで移動して、こうして一人で旅をしていたのだった。
「はぁ……」
自分で旅立ったのだけど、ずっと二人といっしょだったからかやっぱりさみしく感じてしまう。
いつもしゃべっていた話し声も、いつも聞こえていた足音も、いつも感じていた温もりも、今は何一つないのだから。
「……」
たった一人の旅……ベリリお姉ちゃんがいなくなってからサマリお姉ちゃんと会うまでもしていたけど、その時以上にさみしい。
あれからずっと一人じゃなかったから……今までいた他の人の気配が、今日になって急に感じられなくなったからだろう。
でも、たぶんこれからはずっと一人での旅になるから、早くなれないといけない。
「今日は風がすずしいなぁ……」
野原に吹き抜ける風が、お花畑を見つけた時よりも冷たく感じた……
…………
………
……
…
「……」
しばらくは緑の映える草原をとぼとぼと歩いていたけど、いつしか夕方になって、夕日を反射してキラキラと輝いていた川を見ていたらお外も真っ暗になったから、アメリはテントを張ってその中に入った。
「やっぱり静かだなぁ……」
今までアメリのテントに入ったことある人はほとんど皆大きいとか広いとか言っていたけど、アメリにはわからなかった。
でも……こうして一人でいると、たしかに大きいし広く感じる……テーブルも大きいし、イスやベッドの数も多いことが余計にそう感じてしまうのかもしれない。
ぐうぅぅぅぅ……
「……おなか空いたなぁ……」
アメリのおなかが大きな音を立てた。
だれにも聞かれることはないけど、テント内にひびいた音を聞いただけでも少し恥ずかしい。
今日は朝から飛んでたし、疲れもあってとってもおなかが空いていた。
お昼ごはんは今朝ドイコサルアで買ったパンを食べたけど、それはもうないから夜ごはんは自分で作らないといけない。
「何作ろうかなー」
今ある食材を見て、夜ごはんはどうしようかなと悩む。
ドイコサルアで色々と買い込んで食材だけはやたらとそろっているから、中々パッと決められない。
今までサマリお姉ちゃんのお料理を手伝ってきたからある程度の物は作れるけど……時間のかかるものはお
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