旅59 結んだ想いが実らせた形

「ベッドが一つ……だと……!?」
「大きいベッドだね……二人で寝られるぐらいにね」
「まあたしかにそうだけど……してやってくれたなアメリちゃんめ……」

サマリからの告白を受け、晴れて恋人となったその日の夜。
サマリに引きずられる形……というかもはや担がれた状態でドイコサルアのとある宿の泊まる部屋に入った俺とサマリ。
その部屋は少し広めで、鏡や衣装掛け、化粧台なんかがあり、トイレとシャワーも付いている……が、何故かベッドは大きいものが一つしかなかった。
まあ『テント』の物より大きいので二人一緒に寝られる大きさではあるが……いきなりサマリと二人くっついて寝ろと言われても焦らざるをえないだろう。

「さあユウロ、いきなりだけど……始める?」
「え、いや……出来ればもうちょっとだけ待ってほしいかなと……心の準備が出来てないというか……」
「もう……仕方ないなぁ……今ならあまりないけど私のおっぱい触り放題なのに……」
「え、あ、いやまあ……それはそれとしてな……」

たしかに俺はサマリの告白に応えた。そして、今俺達は恋人となった。
まあ……正直なところ本当に傷付けてしまわないかという不安は未だにある。
でも、サマリに大丈夫だって言われて落ち着いたし、それに、本当に大丈夫な気がしてきた。
それと、旅をしているうちに俺の方もサマリに惚れていたのは事実だ……初めはただ気が強くて家事が出来る女の子ぐらいにしか思っていなかったけど、旅を続けているうちにいつしかサマリという女に惹かれていた。
何時頃からサマリに惚れていたのかは自分でも思い出せないけど……特に最近はサマリと触れ合う度にドキリと鼓動が揺らいでいたほどだ。まあ変なプライドもあって表に出さないように頑張っていたが。
そんな感じに好意を寄せている女の子にあそこまで言われてしまっては断る事なんか出来なかった。

「まあ荷物は隅に置いておいて……じゃあとりあえずベッドに座ってお話でもしようよ」
「ああそうだな……よいしょっとうわっ!?」
「ふふ〜ん、捕まえた♪」

ただ現在そんなサマリが珍しく魔物の本性をむき出しにして俺を誘っている。
そういえばサマリの告白を受ける際に子供がほしいって強く強調して言ってたし、それにもう我慢できないなんて言ってた気もする。そりゃあそういう事が出来る仲になった今であれば誘惑もするだろう。
だがしかしいくらなんでも今からすぐ性行為をしようだなんて言われても俺の方の心の準備が出来ていない。
魔物だと人間と比べて極端に子供は出来にくいとは聞いたが、それでも出来ない事はないわけだ。
だから……正直言ってまだ抵抗はある……のだが、そんな事はお構いなしにサマリは普通に話しをする風に装って俺をベッドに座らせたと思ったら押し倒してきた。
よっぽど俺が暴力をふるったりしないという自信があるのか、それともただセックスしたいだけなのかは知らないが……顔を若干赤らめてにやけている様はまさに魔物のそれだった。

「お前、そんな事して良いと思ってるのか?」
「うん!だって私達恋人だからね。いずれは夫婦になるし、それに……」
「それに?」
「こうでもしないと絶対ユウロ逃げるもん」
「……否定できません……」

服を脱ぎ、ベッドの上に倒れた俺の上にのしかかってきたサマリ。
さほど重くはないが、ベッドが俺達の重みで少し沈み軋む音が部屋内に響く。

「むふふ〜♪ユウロの匂い〜♪」
「俺の匂いって……汗臭くないか?」
「まあちょっとはね。でも、それが私には愛するユウロの匂いを強く感じていい匂いだよ」
「そ、そうか……」

俺の胸元に顔を寄せ、大きく息を吸ってそんな事を言うサマリ。
今日は暑かったし、それにサマリの告白を受けてる時も冷や汗をかいてたりしてたので汗臭いんじゃないかと思っていたのだが……それはそれで良いらしい。
匂いでふと思ったが、そういうサマリもなんだかいい匂いがする……お日様の匂いというか、ふんわりとした牧草の匂いというか、どこか落ち着く匂いが漂う。
これもワーシープの特徴だったりするのかな〜なんて思いつつ、なんとなくそんなサマリの頭を撫でた。

「ん〜♪」
「なんだ?撫でられるのが良いのか?」
「うん。気持ちいいしなんだか落ち着く」

先程とは違いやんわりとした笑顔を浮かべるサマリ。頭を撫でられるのがそれほど心地良いのだろう。
そのまま撫でていると角に手が当たってしまったので、ついでに頭から生えている角を触ってみた。
今まで気にはなっていたけれど触るのを躊躇していたので、この機会に触ってみようと思ったのだ。

「んんっ、なんか不思議な感じ……」
「へぇ……角ってこんな感じなんだな……」

やはり見た目通り硬くごつい……事もなく、たしかに芯はしっかりしているが、意外と表面はすべすべしてい
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