情報課の不思議で淫らな歓迎会

 気が狂いそうだった。
 毎日毎日、同じことの繰り返し。
 朝から満員電車で押し潰されて、会社に着けばただひたすらにディスプレイに向かってキーボードを打ち続ける。二、三時間のサービス残業を終えて、ようやく寝るためだけに下宿に帰る。布団に入って目を瞑れば、もう日が昇っていてまた朝からのやり直し。
 コロコロと定期的に職場は変わるが、良い刺激にはならない。
 職場が変われば仕事も変わる。場合によっては一から仕事を覚え直して、覚えるに連れて分かってくる職場の惨状に胃を痛めながら、それでも何とか持ち直したかと思ったころには次の戦場へと送られてゆくだけだ。
 IT土方を選んだ以上仕方のない事ではあったが、幾度と無く繰り返しても慣れるものでも無かった。
 そんな生活が続いているせいか、最近は精神がやばくなりかけているようだった。以前は将来のことも不安に思っていたのだが、それすらも無くなり始めていた。
 なんというか、もう色々な事がどうでも良くなり始めているのだ。
 まともな思考力は低下して、本能的な欲ばかりが膨れ上がってゆく。
 運動はしていないのに飯の量は増えているし、仕事をしていてもいつも眠い、そして何よりも性欲がやばかった。
 若い女を見かけると、誰彼かまわず胸や尻を見てしまう。胸元が空いていれば谷間が見えないかと目で追ってしまうし、ミニスカートから覗く白い太ももには涎が垂れそうになる。
 OLの見事に押し上げられたブラウスの膨らみ、タイトスカートから伸びる肉付きのいい脚。女子高生のボタンの外し過ぎの胸元や、パンツが見えそうなほど短いミニスカート。明らかに風俗嬢だろうという化粧の濃い女の胸の谷間や脚でさえも目で追ってしまう。
 触りたい、匂いを嗅ぎたい、顔を埋めたい。
 そんなことばかり考えている。もちろん考えるだけで、実行などするつもりは無いが。
 流石にどんなに追いつめられていても、現実と妄想の区別はついている。嫌がる相手に触ったらそれは痴漢だ。犯罪だ。
 自分の人生だって壊れてしまうし、相手の人生にだって傷を残すことになる。そんな事だけは絶対にしない。それくらいの理性は残っている。
 ならば金を払って風俗にでも行けばいいのかもしれないが、なかなかそれも出来なかった。
 時間も無ければ、勇気も無い。そしてそんな事に金を使ったら勿体無いという妙なプライドも邪魔をした。
 溢れるばかりの欲求不満を抱えながら、いつまでも俺はチキンなのだった。
 おまけに彼女が欲しいのかと言えばそういうわけでも無い。色んな職場の人間関係を遠巻きに見てきたが、その結論として出たのはやはり女の相手をするのは面倒そうだという事だけだった。
 女は欲しくないけれど、性欲は満たしたい。自分でも本当に最底辺に落ちかけていると思う。


 以前までの職場の派遣期間を終えて本社へと戻ると、すぐに次の顧客への派遣を命じられた。
 今度の仕事は保守の仕事だそうだ。人員はそこまで必要ないとの事で、派遣されるのは俺一人だけだった。ただし派遣の期間についてはまだ未定との話だ。仕事ぶりによっては派遣延長や追加派遣等もあるとの事だった。
 「悪いが明日から行ってほしい」と言う上司の命令に、俺は内心で溜息を吐きながらも頷かざるを得なかった。


 翌日、俺は言われたとおりに、渡された資料を頼りに新しい勤務先へと出勤した。
 派遣先の企業はアビスコーポレーションと言う名前だった。出来たばかりの会社なのか、社員は皆若く、そして女性が多かった。それもみんな美人ぞろいで、正直俺はオフィスを案内されただけでくらくらしてしまった。
 職場に着くと、すぐに仕事について説明された。どうやら俺は社内システムの保守点検の手伝いをさせられるらしい。説明を受けた限りだと思ったよりもぬるい仕事のようだった。
 同じ部署には、俺の他に五人の社員が居た。全員若い女性だった。説明をしてくれたのは、その中でも一番若い女の子だった。きっと説明するのは新人の仕事だったのだろう。
 システムの資料を読みながらも、俺は周りの社員の身体を見ずにはいられなかった。皆スタイルが良く、美人だった。そして、こんな事を言っては失礼だが、皆どことなく少し助平そうなエロい顔つきだった。
 どこを見ても胸の大きくて綺麗な女が目に入る。それだけで天国に居る気分だった。
 派遣一日目は、そんな感じで平和に過ぎていった。


 翌日。派遣二日目にして、俺の心は折れかかっていた。
 どこを見ても美人が目に入るというのは、とても恵まれた環境ではあった。けれどもしかし、目が付いているのは俺だけでは無いのだ。
 俺が彼女たちを見ている時、彼女たちも俺を見ている。
 当然、俺が胸や尻に注目していれば、その姿も見られているということだった。
 そのことに気づい
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