後編:二次元厨の俺が愛の天使と永遠の愛を誓えるはずが無い

 日曜日が終わると、当然月曜日がやってくる。
 あんなに過激な週末を過ごした次の週ではあったが、生活に何か変化が現れたかと言えばそんな事も無かった。学校の景色は先週までと何も変わらなかったし、俺は普段と同じように教室の端っこで独りだった。いつもと全く何も変わらない一週間の始まりだった。
 天野は相変わらずグループの中で談笑していて、俺の方には見向きもしてくれなかった。
 俺の方も俺の方で、天野に話し掛けに行けるだけの勇気も出せなかった。
 変わった事があったとすれば、俺が天野を目で追う回数が増えたくらいだった。
 自分でもまずい兆候だと思った。
 このままだと、天野の事を好きになってしまう。
 いや、もう好きになってしまっている。
 俺なんかが女の子を好きになったって、振り向いてくれないのは悟っているのに。話し掛けたってキモがられるのは分かっているのに、アプローチすればするほど馬鹿にされて笑われるって理解しているのに。
 その子が他の男と話しているだけで嫌な気持ちになって、笑顔を向けているだけでそいつの事が好きなんじゃないかと疑って、けど自分からは動けなくて、結局他の誰かとくっついたって言う話を聞いて、死にたくなる気持ちになるに決まっているというのに。
 それでも俺は、天野の事を好きになってしまった……。


 胸が苦しいばかりで何も起きない、変わらない一週間が過ぎ去り、そしてまた新しい一週間が始まる。
 月曜の朝、天野の眩しい笑顔を盗み見ながら、俺は決意する。
 もう、天野の事は見ない。天野の事は考えない。天野の事は想わない。天野で抜かない。
 そうすれば、この病気もきっと治る。恋という病も、落ち着いていってくれる。
 叶わない夢は見ないのが一番。
 そんな風に自分に言い聞かせながら一週間を乗り切りかけた金曜日の昼休みだった。普段はろくに着信が無い俺のスマホに、メールが一件届いた。
 差出人を見て、俺は絶句する。
 天野だった。
 アドレスを教えた覚えは無い。あの日も交換は出来なかった。可能性があるとすれば……ラブホで油断したときに、いつの間にか勝手に抜かれていた?
 教室内には天野は居なかった。確か昼休みの初めごろ、グループのみんなで今日は学食でお昼ご飯を食べようとか話していたんだった。
 俺は再びスマホの画面へ視線を落とす。
 本文には、端的にこうあった。
『今すぐ、体育館裏に来て』


 体育館裏に向かうのに迷いは無かった。結局俺は、まだ天野を好きだという気持ちが捨てきれていないのだ。
 どんな形でもいい。馬鹿にされる結末でもいいから、とにかく天野との繋がりが欲しかった。
 だが、実際に到着した体育館裏に居たのは天野一人だけでは無かった。そこには、天野が所属しているグループの魔物娘達がみんな揃っていた。
「うわぁ、ほんとに来たよ」
「すご、これもう決まりじゃない?」
「唯っちー。やったじゃーん。これで彼氏、ゲットだね」
「う、うるさい。あんた達はちょっと黙ってて」
 天野ははやし立てる周りを睨みつけながら、一歩踏み出してくる。
「天野、これはどういう事?」
「苗字呼びぃ?」
「唯って呼んであげなよー」
 何だか、女子特有の悪ふざけのようにしか思えない。この雰囲気は苦手だ。正直、こんな風に嫌なからかわれ方をした記憶しかない。
 天野は俺に近づいてくると、俺にだけ聞こえる声で囁いた。
「……ごめんね。あんたとラブホでしたって言っても、みんな納得してくれなくて」
「え?」
「罰ゲーム。続きが必要になったの。だから」
 天野は俺を見上げて、声を張った。
「ここでズボン脱いで、パンツ下ろして」
「……は?」
 女子達の間から歓声が上がった。
「ちんぽ出せって言ってるの。分からなかった?」
「ちょっと何を言っているのか……。いや、言葉の意味は分かるよ。だけど、何でそんな」
「うるさいわね。もういいわ、脱いでくれないなら力ずくで脱がすから」
「おい天野。ちょ、何してるんだよ。やめろって」
 天野が俺の腰にしがみついてくる。ファスナーを下ろされて、ズボンとパンツの隙間から天野の指が侵入してくる。
「何よ、やめろって言ってるくせに勃起しかけてるじゃない」
 天野は衣服の隙間から俺のペニスを露出させると、迷うことなく反応し始めているそれを咥え込んだ。
「やだ、ほんとにしゃぶってるよぉ?」
「凄い顔ぉ。あんな顔になってまでしてるんだから、唯ってやっぱり……」
「なんだかんだ言ってさぁ、やっぱ唯っち、あいつの事好きだったんだねー」
 女子達が口々に天野の事を茶化し始める。
「おい天野。やめろよ。こんな事する事無いだろ。それに、人が来るよ」
 俺は天野の肩を押すが、天野の身体はびくともしなかった。仕方なく頭を掴んで引き離そうとするが、全力で掛か
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