淫欲の魔獣

 底なし沼に腰まで浸かっているようだった。腕も脚も重くて動かず、意識もはっきりとせず、分かる事と言えば、ただ世界がゆっくりと揺れている事だけだった。
 あの日から、ずっと夢の中に閉じ込められてしまっているみたいだ。目が覚めていても、今ここで起こっている事がまるで現実のように思えない。
 果たしてこれは良い夢なのか、悪い夢なのか。僕にはよく分からない。いや、分かりたくないのかもしれない。なぜなら、それが理解出来てしまった時には、僕は……。


 世界が揺れている。
 いつもの事だ。あの日から僕の世界はずっと緩やかに揺れ続けている。
 息がかかりそうな程すぐそばに彼女の顔があるという事も、いつも通りだ。彼女は長いまつ毛を瞬かせて僕が目を覚ましたことに気が付くと、切れ長の目と形の良い唇を歪ませて笑った。
 無表情で居てさえもぞくりとするほどに美しい顔をした彼女。彼女はその整った顔を歪ませて、性欲にまみれたさかりの付いた雌の笑みを浮かべる。
 美しさは歪んで消え、代わりに生々しい程の女の色気が宿る。彼女の笑顔の前では、きっと長年神に仕えた聖職者でさえも一匹の獣に堕ちてしまう事だろう。
 獣欲に濁り切った橙色の瞳が、歓喜の色に染まる。
 彼女は僕の耳元に口を寄せると、吐息交じりに囁いてくる。
「あら、おはよう。今回はまた随分と長く気を失っていたわね」
 嫌だと思っても、身体が即座に反応してしまう。
 全身の毛穴がぞくぞくするような感覚と共に、下半身、自分のペニスの芯に血液が集中し始めるのが分かる。
「安心して。あなたが眠っていた間も、私はあなたを離さなかったし、あなたもずぅっと硬いままだった。
 眠っている間も欲望のまま雌を突き続けるなんて、流石は魔物娘の中で最も淫らな種族の一つ、ジャバウォックである私が選んだだけの事はあるわ」
 いつもの事ながらも、諦観を帯びた絶望感が胸の底に沈んでゆく。視線を下げると、確かに僕のペニスは彼女のヴァギナの中に沈み込んだままだった。
 僕を包み込む潤んだ膣肉も、僕の目覚めを喜ぶように震えていた。
 彼女は僕の耳を甘噛みし、そして頬を舐め上げて、僕の口を塞ぐ。
 唇に柔らかく湿った感触が押し付けられる。それが開いて、ねっとりと舌が侵入してくる。
 彼女の、発情しきった雌の甘い匂いと味が、僕の舌に、歯茎に、口の中に擦りつけられる。いくら意思で抵抗しようとしても、身体中にさざ波が走るような、背筋に鳥肌が立つような感覚を止められない。
 そして舌同士が絡み合ううち、僕は自分でも彼女を求めずにはいられなくなる。
 舌を伝って彼女の唾液が垂れ落ちてくる。僕はそれを夢中になって飲んでいる自分に気が付き、激しい自己嫌悪で胸が悪くなった。けれど、嫌悪すればするほどなぜだか身体は彼女の体液を求めてしまい、僕の舌は更に激しく彼女を求めてしまう。
 銀色の糸を引きながら彼女の唇が離れてゆく。
「こっちも。好きにしていいのよ?」
 彼女の手が、鋭い爪を備え、鱗に覆われながらも不思議な柔らかさを持ったドラゴンのような手が、僕の手を掴んで自身の豊かな乳房を握らせる。
 汗でしっとり濡れた肌が吸い付いてくるようだ。丸々と形のいい、片手どころか両手でも納まりきらない程に大きな彼女の乳房が、僕の手の動きに合わせて柔軟に形を変える。
 撫で回すだけでも幸福感を覚えてしまう。柔らかさ、弾力、肌触り。どれをとってもこれ以上の物は無いように思える。握りしめると、指が沈み込む。本当に、手の平がとろけてしまうようだ。
「いい顔ね」
 はっと我に返り、僕は彼女から顔を逸らす。
 すると彼女は追いかけてくるように顔を寄せてくる。
「もう、素直じゃないんだから。……ねぇあなたぁ。あなたがずぅっと寝てるから、私もうお腹が減って仕方がないの。このままじゃ飢え死にしてしまうかもしれない。……だからぁ、あなたの放つ美味しいごはん。いっぱい食べさせて?」
 吐息が掛かる。甘ったるい雌の、否応なしに僕を獣の雄に変えてしまう吐息が。
「気絶する前もずっと僕を犯していた癖に。ちょっと大食い過ぎるんじゃないのか?」
「いっぱい食べる女の子も魅力的でしょ」
「……嫌って言っても、どうせ無理矢理搾り取るんだろ?」
「無理矢理じゃないわよ? だって嫌だったら、あなたのここはこんなに硬く、大きくならないでしょ? 今だってしぼまずに私のアソコを無理矢理押し広げて、早く出したいってぴくぴくしてるじゃない。あなただって、シたいんでしょ? ね?」
 彼女は上半身を起き上がらせると、僕の両手をその強靭な腕でベッドに押さえつける。そして、腰を激しく上下に振り始める。
「く、う」
「ぁあん。擦れる、凄いのぉ。旦那様のちんぽ、さいこぉ……」
 彼女の艶やかな桃色の長い髪が震える。動きに合わせて豊か
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