第五章:ケプリの王(歓迎の儀・下)

「もうっ、限界ですぅー」
 一際大きく身体をひくつかせ、僕の上で腰を振っていたケプリがくたりと崩れ落ちる。
 遺跡に住んでいるケプリ姉妹による、歓迎の儀という名の盛大な夜伽の為の集い。最初は一匹一匹と交わっていたのだが、末妹のアスファルが交わりの最中に姉妹のケプリ達を呼び寄せたことにより、場は一気に性欲に狂ったような乱交の場に成り果てた。
 無数のケプリに犯されるうち、何度も正気を失って獣欲に身を任せそうになってしまったが、しかしそれもこれで一応一段落だ。
 僕の胸の上でよだれを垂らしながら幸せそうに余韻に浸る彼女が、襲い掛かって来たケプリの中の最後の一匹だった。
 僕は優しく彼女の肩に左腕を回し、空いている絨毯の上に楽な姿勢で横たえてやる。
「アスファルがみんなを呼ぶから、とんでもない事になっちゃったな」
 アスファルにとびかかられてからこっち、ずっと仰向けで代わる代わるに犯され続けた。途中からは多少慣れも出てきたが、それでも数で迫られて最後まで優位を得る事は出来なかった。
 僕の左側に身を横たえていたアスファルは小さく笑う。
「でもお兄ちゃん気持ち良かったでしょ? そんな顔してたもん」
「まったく、敵わないなぁ」
 頭を撫でてやると、アスファルはくすぐったそうに笑って目を閉じる。
「お兄ちゃんも、思ったより激しくて私びっくりしちゃったよぉ。私はちょっとお休みするね。まだまだ頑張ってね、お兄ちゃん」
 姉妹を焚きつけ僕を好き放題にしたアスファルは、そう言うなりすぐに規則正しい呼吸をし始める。
 遊び疲れた子どもそのままの様子に、思わず表情が綻んでしまう。アスファルと一緒だった周りのケプリ達も大体彼女と同じような様子だった。
 やれやれと大きく息を吐いて自分の身体を見下ろすと、体中どこもかしこも誰の物かも分からない体液でびしょびしょだった。
 自分の汗、ケプリの汗、唾液、愛液、精液。感極まっておもらししてしまった子も居たっけ。
 そんな体液だまりのような肉体の上で、僕の下半身の分身は未だに力を失う事も無く、痛々しい程に勃起しきって震えていた。
 もう勃起が止まらないどころの話では無かった。ケプリ達との乱交状態に入り、二三個の魔力球を取り込んでからというもの、射精自体が止まらなくなってしまったのだ。
 溢れる精液を舌で舐め取られ、口で吸い上げられ、膣で受け止められ。そうしているうちにようやく、今でも気を抜けばいつでも射精してしまうような状態ではあるものの、垂れ流しの状態は収まってくれた。
 その恥知らずな自身の向こうに見えているのは、まだ一度も抱けてやれていない、未だに僕を待ち続けてくれている何匹ものケプリ達だった。
 恐らく積極的な姉妹達に気後れして手の出せなかった子達だろう。だが襲い掛かって来なかったからと言って、彼女達の気持ちまで小さいとは限らない。
 彼女達とて僕に仕えてくれる事になるケプリ達だ。同じように大事にしてあげたい。そう思い身を起こそうとしたのだが、右腕が邪魔をして立てなかった。
 不思議に思ってそちらを振り向き、僕は絶句してしまう。
「あ……」
 と僕の視線に驚いて顔を伏せてしまう、前髪で目元を隠した大人しそうなケプリ。
 彼女は舐めしゃぶっていた僕の手をとっさに口から離すも、しかし手までは放したくないとばかりに自分の胸元に抱き寄せる。
 感覚が無くて意識出来ていなかったが、アズハルを抱いていた時も、アズラクと肌を重ねていた時も、アスファル達を犯し、犯されていた時も、彼女はずっと右手を舐めて癒し続けてくれていたのだ。
「アスワド」
 弾かれたように顔を上げる彼女。王の間で話していた時に、身を出せない程恥ずかしがりながらも、隠れて覗き見てしまうくらいに僕に興味を持っていてくれたケプリの一人だった。
「あ、あの。……右手、傷が酷くて、治したくて。だから、その、私魔法は下手だから、こうする事しか出来なくて」
 感覚の無かった右手が、今はアスワドの体温と鼓動をしっかりと感じ取っていた。
 手を動かした拍子に成長途中の僅かな膨らみを掴んでしまう。少し硬めの未熟な果実の触り心地は、熟した果実とは違った背徳的な喜びがあった。
「あう」
 恥ずかしそうに身をよじるアスワドの小さな体を、僕は身を起こしながら抱き寄せる。
「あっ。アミル様……」
「ありがとう。おかげで右手が何も無かったみたいに良くなったよ」
「い、いえ。召使として、当然の事を、しただけ、です」
「そっか。じゃあ僕も王として召使の期待には応えないとね」
 右手を彼女に這わせる。丸みを帯びたお尻の柔らかさ、すべすべとした背中の肌触り、さらりとした薄い翅の感触が、痺れ一つない手の平から伝わってくる。
 翅の付け根を指先でくすぐると、アスワドは身を強張らせながら猫のよう
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