控えめなノックの音が聞こえて、私はベッドから身を起こした。
あぁ、全身べっとべとだ。誰かに見られても問題ない程度にシーツで拭いて、シャツを着る。ちょっともったいないけどしょうがない。それにまたシャルルにこうしてもらえばいいんだし。
もう一度ノックされる前に私は扉を開ける。多分そうじゃないかと思ったけど、外に居たのは予想通りアンだった。
仕事道具が入っているんだろう、かなり大きなザックを背負っていた。蟻のしっかりした下半身を持つジャイアントアントじゃなかったらひっくり返ってしまいそうだ。
アンは私と目が合うと、朗らかな笑みでパンとスープの乗ったトレイを手渡してくれる。
「あ、おはようメアリーちゃん。朝ごはん持ってきたよ」
「いつもごめんね。でも朝は忙しいでしょ。別に無理しなくても」
「私はメアリーちゃんの方が心配だよ。旦那さんの看病につきっきりで、休む暇も無いだろうし。……シャルルさん、まだ良くならないの?」
「うん、まだベッドから出られなくて。……仕事にも行けなくて、ごめんね」
嘘は言っていない。最初にアンが来たときだって、私は『彼がベッドから出られないから離れるわけにはいかない』としか言っていない。アンが勝手に勘違いしているだけ。私は悪くないんだ。悪くない……。
休む間もないというのも間違ってはいない。ただし、意味は違うけれど。
アンはそっと首を伸ばして部屋の中を覗き込む。友達の夫という事で興味があるのか、落ち着きなく触角がひょこひょこと動いていた。
大丈夫。シャルルはシーツを被っているし、見られても困るものは何も無い。
ただし、匂いは別だ。部屋の中には二人の愛液の混ざりあった、淫らな交わりの匂いが満ちている。でも私達は夫婦なんだし、別にやましい事をしているわけじゃ無い。仮にえっち出来る元気はあるのかと聞かれても、それらしい怪我でも病気でも適当にでっち上げればいい。
私達の匂いに気が付いたのかは分からないけど、アンは頬を赤らめて、首を引っ込めた。
「こ、これ。厨房の人たちが元気になるから渡してって。じゃ、私行くね」
アンは私に小瓶を握らせると、自分からすぐに扉を閉めてしまった。
精力剤だ。ジャイアントアントの旦那達も、私達の事に気付いているのかいないのか。とにかく、使えるものはありがたく使わせてもらおう。
「シャルル、朝ごはんだよ」
シーツを取って、裸で横たわる彼に這い寄る。あそこに朝の挨拶をしてあげると、すぐに元気に大きく硬くなった。
指を振って唇の封を解く。でも、手足はそのまま。
「ねぇメアリー。そろそろ普通に食べさせてよ」
「だぁめ。それにそのまんまじゃ食べられないでしょ」
私は一口スープを口に含む。コンソメの野菜たっぷりのスープだった。しっかり咀嚼してから、彼の身体を這い上がるようにして顔に近づいていく。
「だから糸を解いっむぐっ」
口づけして、ゆっくりと流し込んであげると、シャルルはいつものように目を蕩けさせながら喉を上下に動かして飲み下していく。
唇を離すと、二人の間に糸が引いた。
「おいしい?」
「ん、うん」
「じゃあ、もう一口ね。ふふ、全部こうやって食べさせてあげるんだから」
最初の一度こそ嫌がっていたけれど、彼はすぐにこの食事方法にも慣れてくれた。今では食べさせるときに積極的に舌を絡めてくるくらいの余裕すらある。
パンもスープも、肉も魚も野菜も、こうやって食べれば本当の意味で二人で味わえる。
最後に精力剤を口移しで飲ませて、長い時間をかけた二人の食事が終わる。
そして彼の為の食事の後は、私の為の食事だ。
食事中、ずっと勃ちっぱなしだった彼のあそこを慰めるために口づけてから、私は彼に跨って腰を沈める。
彼が私の穴を埋める。私の深いところまで硬く突き上げて、満たしてくれる。生きてるって一番実感できる至福の時間。
「うっ、くぅ。メアリーっ」
両腕の束縛を解いてあげると、即座に胸に抱き寄せられて、髪の毛を撫でられた。
どんなに激しく腰を打ち付けても、彼は優しく髪を撫でてくれる。おっぱいを揉んだり口に含んでいる時も、決して乱暴にはしない。
「シャルルぅ。すごくっ、あっ、ぃ、いいっ」
髪を撫でる手がぎこちなくなり、寝起きの濃厚な一発目がお腹の中をさかのぼる。反射的に、ぎゅっと彼の身体に強くしがみついてしまった。
ふふ、でもまだこれは一口目だ。まだまだいっぱい食べさせてもらわなきゃね。
私達の生活は大体こんな感じだった。
疲れて意識が飛ぶまで交わって、回復したらまた交わる。アンがご飯を持ってきてくれた時だけ息抜き代わりに二人で食事を味わって、食べたらまた交わる。
初めてシャルルと出会った日から一ヶ月以上こういう生活を続けているけれど、特に何の問題も無く私達
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