「〜♪」
「...」
そんなに嬉しいのかな...などと考えながら機嫌良さそうに尻尾を振りながら歩く目の前の少女---イーシェを見つめる
彼女は今、弾薬等と一緒に送られて来た迷彩服(ネームまで着いていた)を着ている
裕とお揃いということがかなり嬉しかったようだが...彼女の迷彩服には若干のアレンジが加えられていた
迷彩柄のTシャツに上衣(上着)は裕と同じような見える、しかし、胴の丈が短い、腹部が見える(袖は普通の長さなので捲っている、何故か1等陸曹の階級章がついている)
下衣(ズボン)は、柄は確かに迷彩だが...何故かホットパンツ風だ
丈が非常に短いので健康的でスラリとした脚や腹部が惜しげもなく晒されているので健全な20代男子にはかなり目の毒だったが...
(遭った時は裸に近かったしな...)
などと考え思わず溜息が出そうになったが我慢した
本人は喜んでいるんだからそれでいいではないか...などと無理やり自分を納得させ手に持っている89式小銃を握り直した
送られて来た弾薬は小銃や拳銃に装填され、ようやく武器としての機能を発揮できる状態にあった
試しに弾倉を外してみれば5.56mm普通弾(NATO制式弾に準拠)が30発交互に並んでいる
半装填(弾倉を装着し薬室に弾を送っていない状態、薬室が空なので引き金を引いても弾は出ない)とはいえ射場以外で実弾を携行したまま行動するとは...と感慨深いものを感じながら弾倉を小銃に戻した
カチッと細い音を立てながら弾倉は装着された
---2時間後---
「よし、ちょっと休憩しよう」
「は〜い!」
歩き始めて3時間、さすがに疲れたので休憩することにした、ちょうど良さそうな小川を見つけたのもタイミングが良かった
「は〜...疲れた」
小川の見える木陰に座り込むとポケットからくしゃくしゃになったタバコを(もちろん防水処置済だ)一本取り出し火を点けた
紫煙を空に向けて吐き出すと3日ぶりのタバコに少しくらくらした
2日間の不眠不休での演習、イーシェとの全力バトル、そしてこの徒歩行軍、はっきり言っていかな鍛えている自衛官とてそろそろガス欠気味だ
「冷たくて気持ちいいな〜♪」
しかし、原因の一つである少女は疲れを見せるどころか小川で水遊びをしている始末
「...情けねぇな〜...」
人間と魔物の体力差があるのだから仕方ないことだが詳しく知らない裕は凹んでしまう今日この頃である
「ご主人様どうかしたの?」
気付くと目の前にイーシェがいた、タバコはフィルターだけ残して消えていることにすら気付かなかった
「いや、ちょっと疲れただけだよ」
そう言って頭を撫でてあげる
サラサラとした髪の毛の手触りは心地よく飽きなかった
イーシェにしても目を瞑って嬉しそうに撫でられていた
この男、動物が好きだ
飼ったことは無かったが動物から懐かれやすく、友達の少なさ(もちろん人相の悪さが原因)も手伝って学校の帰りには公園に寄り、野良猫や野良犬(いつも10匹以上集まった)を撫でていた
入隊してから(数少ない)友人にペットカフェというのを進められ行ったことがあった
が、店内の犬猫が全て裕に集中するという事件が発生し、出禁を喰らってしまった
そのくらい動物が好きなこの男はイーシェを撫でていると心が落ち着いた
「...ところで、村まではあとどれ位あるんだ?」
最初の段階で色々と話を聞いたのだが、こちらの世界の単位で説明されたため方角以外いまいち解ってなかった
「ん〜とね、このまま行ったら着くのは夜遅くになっちゃうかな?」
「...意外とあるね...」
腕の時計(太陽の位置からしてあっているようだ)を見ると16時を回っている、このまま行くと1時間もすれば日が落ちてしまう、さらに、先ほども述べたが体力はもう限界である
結論、今日はここで野営
---1900---
「ご馳走様!」
「はい、お粗末様」
鳥飯の缶(自衛隊では、缶詰の戦闘糧食T型(通称『缶飯』)とレトルトパックの戦闘糧食U型(通称『パック飯』)の2種類がある)を置き満足そうな表情を浮かべる少女に思わず頬が緩んだ
辺りはすでに暗くなり、焚き火だけが結一の明かりだった
「それじゃ、先に行ってくるね!」
「はいよ、暗いから気をつけるんだぞ?」
「は〜い!」
交代で水浴び(一緒に入ろうとせがまれたが流した)をすることになり、タオルを片手に小川に走って行く少女を見
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