Tale03

Tale:定例会議

ここは王城の地下深く、僅か27人-13人の王室専属魔術会室長
王国に4つ存在する騎士団の各団長、7人の大臣と国王とその息子2人-が知る秘密の場所
そこで彼らは4ヶ月に1度に集まって定例会議を行う
とは言え主な内容は予算の編成程度で特に切羽詰った話題や議題は持ち上がらなかった
何方かと言えばお偉方がグダグダとお茶会をする様な会合だった

前回までは

既に王室専属魔術会の第六の席は新参に変わった
騎士団長の1人は休暇で不在
大臣の何人かは若干そわそわしていた

兎も角、国王が会議の開始を宣言した

「では定例会議を始める、今回の議題はまず第六室長からの
新しい魔法の実験、その実験の許可と実験に対しての予算決議を行う」

「陛下、私の実験の提案を受けて貰い、感謝の極みですが
第十室長が不在の様ですが・・・」

「彼については第十三室長に一任している」

「老いたる月の魔法使いは己が居城を離れず、我が言の葉を届ける事になっている
気にせず談合を進めるが良い」

「・・・なるほど、今回の議題ですが私こと"K"が発案した
新しい魔法の実験、その実験の為の意見交換と予算決議となります」

「失礼、少し良いですか?」

「はい、何でしょうか第十一室長殿」

「私の記憶が確かなら第六室長はケテル室長だった筈ですが
・・・私がフィールドワークに出ている間に何か有ったのですか?」

「バッカ、報告書位読めよ、殉職だよ殉職、くたばったんだよ」

「五月蠅い、犬」

「何だと盲女」

「第三、第十一、黙れ、第六、話せ」

「ありがとうございます、第八室長殿、今回私が提案するのは
平たく言えば超巨大な異世界の門です、詳しい資料はお手元に」

「待った、えーっと"K"君だったね、私は大臣の1人ダーク
私は魔法に関して素人だが異世界の門を開く魔法の存在は知っているし
それが如何いう結果を齎してきたかは兎も角、それが機能している事も知っている
だから態々予算を使ってまでこんな大きな魔方陣を作る必要性を感じないんだよ
この資料によるとこの大型の異世界への門は町一つは
軽く呑み込んでしまいそうじゃないか
こんなバカデカい物を作るのにどれだけの予算がかかり失敗の際に一体何が起こるのか
私にしてはかなりデカいリスク背負ってリターンが少なそうに見えるよ」

「ご指摘御尤もです、しかし大臣、従来の魔方陣では色々と不都合が有るのです
例えば#225はあまりの大きさに門を通してこちらに持って来る事は叶わなかった
今後、そういう事が起こり得る可能性が有ります、更にこの魔方陣を発展させれば
魔方陣の内部の物を異世界へ飛ばす魔法に出来ると私は思います」

「こちらの物を異世界へ?それに何の意味が?」

「お分かり頂けませんか?この巨大な魔方陣で囲んで異世界へ送ってしまえば
今対処に手を拱いている#1500、#999は無力化出来ると考えて」

「それは駄目だよ、うん、良くない」

「ブマロ大臣、何が良くないんだ?俺は良いアイデアだと思うぞ」

サルメゾン第一王子がブマロ大臣へ疑問を投げかける
他の大臣はあっ、と言う表情で2人を見る

「サルメゾン王子はまだ若いですからね
僕も30過ぎ位だからお爺さんって程ではないけど
でもね、良くないよ、良くないよ、僕は異世界を神の世界だと思うんだ」

「・・・・・・・・・・は?」

「異世界からの人々や物はとても素晴らしく神のもたらした奇跡に違いない
崇拝されるべき聖遺物や使徒として崇めるべきだと思う
それを態々異世界へ戻すのは良くないよ」

「いやいやブマロ、それは無いわ、アレが神の使徒?ちょっと頭のネジ飛んだか?
もしそうだとしても俺達が成すべき事は決まっている
アレ等を売るなり何なりして商売に転用すべきだ、さすれば大金が手に入る
#447とか無限の資源だ、金は幾ら有っても良い」

「ダークは黙ってて、お金お金五月蠅いよ」

「ブマロ、てめぇ金が無ければ俺達如何しようも無い屑の集まりだろうが!!」

「二人とも黙りなさい、大臣ともあろう者が全く恥ずかしい」

「うるせぇよ嫁き遅れ!!女がしゃしゃ」

ダークは自身の同僚に鼻っ柱を圧し折られた

「・・・まぁ人の気にしている事を言ったダーク大臣も悪い
だがパトリシア大臣、手を出すのは行けないな」

「失礼しました国王陛下」

「話を戻そう、この巨大な異世界の門を開く魔方陣
私は良いアイデアと思う、さっきも言った危険なオブジェクトの遺棄が可能になるのなら
多少の出費は構わないだろう」

「で、ですが陛下・・・このサイズは余りにも予算が・・・」

「我ら王室専属魔術会室長一同全てこの議案に賛同致します」

ライト第一室長が何時になく真面目に口を開いた

「・・・何?何故だ、理由
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