ありがちな毎日

  

『弱きを助け強きをくじく』そんな英雄物語ばかりを読んで僕は育った。

自分の昔について レン=アマチ
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「つまり、貴方たちに言わせれば『魔物は悪だ』だから、ここから追い出し教会を建てると」
俺は教団からの使者の説明を聞いてうんざりしていた。
何かと間違った知識が多すぎる、そもそも魔物娘は人間を食べたりしない(性的
な意味では合っているが)それに対立しているのだって教団が一方的にだし、そ
れに……いや私的な事を含めるのはよそう。
「ここの魔物と人間はお互いが助け合っています、それにこんな所でも一応は戦力があります戦争になって多くの命が失われればそれこそ貴方たちの教えに逆らうのではありませんか?」
人間として立派に生きている教団の奴等だからこそ命と言う言葉に反応する、だからこそこの言葉でおとなしくなってくれる



とりあえずのところ教団の使者の方々は帰ってくれた、この後の俺の予定はギルド兼酒場でホットミルクを飲んで家に帰り眠ろうと思っていたのだが
「カイ、お疲れさん。」
この俺に声をかけて来たのはファルコだった。こいつは俺の幼馴染であり、悪友であり、ここの領主であるデュルラー家の次男であり、ここが親魔物派になった原因の一つであり、俺に教団の使者を追い払わせた面倒くさいやつだ。
「なぁ、これからギルドに行くんだろ?やっぱレンが目的なんだろ?」
正直、図星だった。幼馴染のセイレーンであるレンはなぜか時々ギルドで歌を歌っている、今日は丁度その日だった。
「デートに誘うなら色々と御教授するぞ。」
ファルコが左手の薬指にはめてある指輪を輝かせながら言う。
「お前は結婚したからその自慢話をしたいだけだろ。」
そう、ファルコは先月にラミアのライアと結婚した。ちなみにライアも幼馴染だったりする。
「違う、お前とレンがくっつけば面白そうだから言ってるだけだぜ。」
この男は興味本位で人を付き合わせようとしてるのか。
「大体、俺がレンに抱いてる感情は姉弟みたいな感覚だ…と思う。」
正直、自分の気持ちに確信がもてない。
「だと思う?つまり確信がもてないんだな?恋愛のプロであるファルコ様が診察してやろう。お前は恋愛の素人過ぎて『好き』って感情がわかってないんだ。」
あまりにも馬鹿馬鹿しい答えだったので俺はこいつを置いていくことにしてギルドへと足を速めることにした。



「こんっばんっわー。」
僕はギルドの扉を開けながら大声で叫ぶ
「うるせぇよ。」
なぜかいきなり叱られた、僕を叱った人はカイだった、どうやら先にギルドに来てたみたい。
「来てくれたんだ、ありがとう。」
僕は自分の素直な気持ちを声に出す。
「べっ別に俺はお前の歌を聴きに来たんじゃなくてホットミルクを飲みに来たんだよ、お前の歌はついでだよ。」
ツンデレ?的な言葉だから肯定的に受け取っておくことにしよう。
「こいつは素直じゃないから大丈夫だぜ。」
ファルコも来てた事に今気づいた。ライアちゃんからの伝言を言わなければ。
「ねぇ、ファルコさっきライアちゃんが早く帰って来いって言ってたよ。」
僕がそう言うとファルコは急いで帰っていった。
「さすが新婚さんだな。」
カイがニヤニヤしながら酒場から出て行くファルコを煽っていた。
「ねぇ、カイ?私が来るまでファルコと何を話してたの?」
僕は少し気になっていたことを口に出した。
「ん?あぁ、アイツの結婚の自慢話だよ。」
カイが僕から目をそらした。カイが嘘をつくときはいつもこうする、わかりやすい癖だ。
「そっか、じゃあ大変だったでしょ。」
僕は笑顔で嘘だとわかってる返事に答える、しつこく聞いて嫌われたくないから。
「ところで、お前の持ってる紙袋は何なんだ?」
カイが今まで僕が持っていた紙袋に興味を持ってくれた。
「えへへー、これはねーライアちゃんが私のために作ってくれた衣装なのです。」
僕はそういって紙袋の中身を取り出した。
「おー!すごいな、これは。」
出てきたのはまるでアイドルが着る様なカワイイ衣装だった。
「…これ…私に似合うかな?」
正直、こういうのは着たことが無いから不安だった。
「似合うだろ…つか貰ったときに着なかったの?」
『似合う』大好きな人にそういわれただけで僕は凄く嬉しくなった。
「したけど、まだ不安かな。」
着たときにライアちゃんはカワイイって言ってくれたけど、鏡で自分を見てみたときには、なんか違和感ばっかだったから。
「もう迷ってる暇なんか無いぞ、時計を見てみろ。」
僕は言われるままに時計を見てみた、もう僕が歌う少し前だ。
「ほら、さっさと着替えて来い。」
僕は急いで着替え、舞台にあがったのだった。



「何で俺がお前と一緒に帰んなきゃいけないんだよ。」
僕の隣でカイがブツブツと文句を言っている。

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