窓から光が差し込んでくる、どうやら朝日のようだ。俺は溜め息を吐く、もう夜が明けたのか。
俺は一睡もできなかった。レンが俺に好きだと告白した、それが嘘だとも考えたがレンが俺にそんな嘘を吐いても意味が無い。
でも俺は信じられなかったんだ、レンが俺の事を好きだって事を。あの告白はレンが本気でした事はわかっている、でも俺はレンに相応しい男か?そんな考えが頭の中にあって認められない。
その答えを出すにも冷静にならなければいけない、でもスースーと寝息をたてながら無防備に寝ているレンがそばにいると冷静になるどころか暴走しそうになってしまう。
「……大好き」
俺はその言葉を聞き驚いた。紛れも無くレンの声だった。
まさか、起きているのか?俺は確認するために静かにレンのそばによった。
やはりレンはスースーと寝息をたてながら寝ている。どうやらさっきのは寝言だったのか。
こうして改めてレンの顔を見つめてみると、子供の頃とは違って魔物独特の色気も出てきている。でもレンの無邪気な寝顔は子供の頃から変わってはいないな。
そんな事を考えながらレンの顔を見つめていると、無性にレンのこの無邪気な寝顔を自分だけのものにしたい。そんな欲望が俺を動かした。
気づいたら、所謂バードキスのように俺はレンの唇を自分の唇で塞いでいた。そこから俺は一気に冷静になって今した事を考えてみると恥ずかしくなり逃げ出すように自分の家へ帰ってしまった。
僕は夢を見ていた、この前見た夢と同じ夢。
大切な人が僕の頭を撫でてくれている夢、今度は撫でてくれている大切な人がカイだとしっかりわかる。そしてそれが僕がこれが夢だとわかった理由、だって現実だったらカイは恥ずかしがってそんなことはしないから。
でも、夢だから僕も恥ずかしがらずにカイに「大好き」って言える。そして、今まで撫でていてくれたお礼に今度は僕がカイの頭をを撫でてあげようとした、だけどそれはできなかった。
カイに押し倒されたから、そしてそのまま僕とカイの顔の距離が縮まっていく、カイが僕にキスをしようとしていることが、なんとなく分かった。
僕は目を瞑る、自分の心臓が何時もよりも速く、激しく動いている。僕はこんなにも緊張しているのか、夢なのに現実でキスをしようとしている訳じゃないのに。
そして、僕の唇とカイの唇が触れ合った。その時、うるさい位に動いていた心臓が止まったかのように思えた。数秒もしてないキスが数十秒に感じた。
キスをした後、僕は愛しいような、寂しいような、色々な感情が混ぜこぜになったような気持ちになり、胸が締め付けられたように苦しくなった、そして僕は泣き出してしまった。
目の前に見えたのは見慣れた自分の部屋の天井だった。でも何かモヤモヤする、カイと一緒に居る良い夢だったはずなのに。
なんで僕は夢の最後で泣き出してしまったのだろう?悲しいから?嬉しいから?それとも意味も無く泣いてしまった?分からない、でも実際にキスをしてみれば分かるかもしれない。そうと決まったら実行あるのみ、カイにキスをしよう!っと思ったのだがすでに僕に部屋にカイの姿は無かった。
僕はカイが先に朝ごはんを食べてるのかと思い階段を下りていった。
「おはよう、もうご飯食べたの?」
僕は、すでに食卓に座り丁度ご飯を食べ終わって片付けをしている両親に聞いた。
「もう食べたの?ってもうお昼過ぎてるわよ、あなた達がもしかしたら昨日に楽しんで疲れて寝てるんだろうと思って起さなかったけど。」
お母さんが僕をからかってくる、それと「あなた達」って事はカイがまだ僕の部屋に居ると思ってるみたいだ。どうやらカイは皆が起きる前に帰ったみたいだ。
「『楽しんで』ってまだカイとはそんな関係じゃないよ。全くからかわないでよ。」
「あら、じゃあ昨日の『愛しています』って告白の答えは貰えたの?」
「!!昨日の聞いてたの?」
「聞いてたんじゃなくて、聞こえたのよ。あんな大声で言うから。」
昨日のが聞こえていたとなると僕は一気に恥ずかしくなった。
「その反応を見るとまだ貰って無いみたいね。今からでも貰ってきなさい。良い答えだったら今日は帰ってこなくてもいいわよ。」
「元々今日に返事を貰う予定でした。それとまだそんな関係じゃないって言ってるでしょ。」
僕はお母さんにそう言いながらご飯を食べずに家を出て行った。
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