01 君も、俺も、マーヴェリック?

俺たち異端児が、世界を揺るがす。
そのための序曲にすぎないことをまだ俺たちは知らない。


















…飽きた!飽きちまったよ!

毎日毎日、電車で自宅と学校を往復する毎日。退屈な講義。飯はお金が無いから良いもの食えないし。

楽しみは…まぁ沢山あるけどさ。友達との会話も、一緒にぱなす(サボる)講義もさ。
それにゲーム、漫画、アニメ、音楽…この国は実にサブカルチャーに恵まれているのは間違いないよ。
でも、その楽しみも昔に比べたら随分薄いものとなってしまった。飽きてしまった、というよりは、より高いレベルのものを求め続けるようになってしまったのかも。

電車の座席に腰掛けると、窓から見える風景。
もう間もなく、日が沈みかかる空、閑静な住宅街…ただそれだけ。この光景、もう何度目だろうか。

変わらない日常か。
それが一番の幸せだという人もいるし、或いはそうかもしれねーけど。
だけど、刺激の無い平坦な日常が続けばどうだろうか?果たして幸せだろうか。

…なーんてな。
ちょっと賢者になってしまったな。かなり寝不足が祟っているようだ。それでも今は割と満足してるぜ。
あーでもあと少しで就職か。どうなるんだろうなこの先…。

…昨日はネトゲにのめり込んで夜更かししてしまった。座席の座り心地良さと揺れが眠気を呼び起こしてくる。

…ちょっと、目を瞑って伏せていよう。
大丈夫、耳を傾けていれば、きっと起きれるはずだ。

…あ、やば眠気強

…………

………









「―――間もなく、終点―――」

あっ………あっ。

………嗚呼…やってしまった…!
大丈夫と思ったことが、つい裏目に出ちまった。
しかも、今回は終点までたどり着いてしまったときた。こりゃあ戻るのに時間かかりそうだ―――?

………

…あれ、こんなに木張りの内装だったか?ふと目を開くと、そのような風景が目に飛び込んできた。
俺が乗り込んでいたものとは明らかに違う、古くせえ電車内。

いや―――電車ですらない!
その証拠にボゥーと、汽笛の音が鳴り響く。
シュッシュッ、と蒸気の音がする。

…俺は、いつ汽車に乗り換えたんだ?
いや、乗り間違えたなんてそんな馬鹿なことあるわけがない。
まずこの時代に汽車が走っているだなんて、あまり聞いたことがない。
尚更この電車、私鉄ではないはずなんだが…

まとまらない頭がようやく目覚め、事の重大性にようやく気が付き、ハッと飛び起きて窓の外を見た。

…ボーゼンとしたねこりゃ。

―――そこには、美しい山々と森が広がる自然豊かで広大な風景。いつの間にか夜になっていたらしい空は、満天の星々。そして真ん丸い大きな月。
その雄大さに、俺は思わず息をのむ。こんな風景、写真かゲームでしか見たことねえ。

…そして見ほれていると電車―――もとい、汽車は止まる。

『終点、《グランネイル》――お出口は右側です。尚、この列車は引き続きご乗車に――』

……聞き慣れるはずのない、謎のフレーズ。
…今なんて言った?グランネイル?新しいマニキュアか何かか?
マニキュアの生産工場か?それとも本社にたどり着いたのか?
しかも凄い洋風な名前言った割にはめちゃくちゃ日本語だったぞ日本語。
ここまだ日本なのか?……な訳ないか、無いよな。

………うん、こりゃあれか。異世界に飛び込んだパターンか。

まだ夢とも現実ともわからないのに一人納得する俺。
…………身体があまりの衝撃にうまく反応できていないのだろうか。それとも、まだ眠いのか。変にクールになっていた。

車両の手動扉を開け、俺はやたら冷静に汽車を降りた。降りたのは俺一人だった。
むしろ、乗客は俺一人だった。そりゃ俺一人だ。

古びた―――というよりは古い作りの小さい駅を出ると、そこから道が真っ直ぐ伸びていた。道の先は…森だろうか?
…というか、勝手に出て良かったのか?この手のタイプの列車のマナーやらは勝手がわからない。
…まぁいいか。出れたし。

空気が頭おかしいくらい澄んでいるな。頭おかしい。いつも吸っている空気とは全く違う。
さすが広大な自然の中。うん、頭おかしい。

…いやいやいや落ち着け俺。頭おかしい。
落ち着いてる言って実のところ何一つ落ち着いて無いじゃないか。
一旦落ちつこ?ここは俺の好きな偶数でも数えて落ち着こう?

………あーいや、そりゃいきなり異世界飛ばされたら誰でも慌てるか。んじゃ仕方ない。
…仕方ない。仕方がないったら仕方ない。

………ふぅ。さ、落ち着こう。

…見た感じ、人の気配はない。駅の周りは何もない、汽車もどこかに行ってしまった。
見渡す限りの、森、山、そして夜空。この三点セット。

無駄だとは思うが、携帯を開く。
…うん、電波届く届かない以前に電池が無い。なんで開
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