『……………………』
そして、結婚式当日、ネルカティエの大教会。
招待された教団関係者だけでも二〇〇人以上、警備の兵士を含めれば三〇〇人程の人間が集まったルエリィの結婚式は恙なく進行した、宣誓でルエリィが沈黙を貫くまでは。
一度目は緊張しているからと思ったが、二度、三度と問われてもルエリィは無言を返し、流石に彼女の様子がおかしい事に気付いた参列者達が騒めき始める。
「……ん、んんっ」
俄かに騒めき始めた参列者達を静めるように神父が大きく咳払いし、無言を貫くルエリィに四度目の宣誓を問おうとした、その時だ。
「……ふふっ♪」
「「…………?」」
ルエリィが笑った。
その笑みに彼女に最も近かった神父と新郎は怪訝な顔を浮かべる……何故なら、ルエリィの笑みは嘲笑に歪んでいた。
「すぅ…………」
嘲笑を浮かべたルエリィは大きく息を吸い、背後に並ぶ参列者達に振り返ると
「だぁれがこんなチ○コも勃たねぇようなカラッカラの枯れ木爺ぃに愛を誓うかっての、このクソッタレ共がぁぁ―――!!」
王族らしからぬ下品な口調でルエリィは大声で叫ぶ。
その叫びは教会の入口に立っていた兵士も思わず耳を塞ぐ程の大音量、スタングレネード数発分に匹敵するルエリィの叫びは最早爆音に等しい。
無論、ルエリィの爆音の如き叫びは彼女に最も近かった二人に甚大な被害を与え、鼓膜が破れてもおかしくない叫びを間近で聞いた神父と新郎は昏倒する。
「る、ルエリィ!? お前、何(バシッ!)ンがっ!?」
耳を押さえながら椅子から立ち上がったゴールディは言葉を紡ごうとするが、ルエリィが投げた何かが顔にぶつかって中断される。
飛んできたのは神父の持っていた聖書、而も丁度角がゴールディの鼻に直撃した。
「はっ! 人の事を散々要らねぇ要らねぇ言ったくせに一丁前に父親面すんじゃねぇよ、この糞親父!」
「なっ……!?」
父にして王たるゴールディに対するルエリィの言葉は乱暴極まりない。
聖書の角が直撃した鼻を押さえ、うっすらと涙を浮かべたゴールディはルエリィの暴言に言葉を失い、無論、その暴言に参列者と警備の兵士も絶句する。
「もう良い子ちゃんぶるのも止めだ、止め! 私は私の望むままに生きる、こんな腐ったゲロみてぇな臭いがプンプンする国で生きるなんざ真っ平御免だ!」
そう叫んだ後、ルエリィはウェディングドレスの胸元を掴むと、乱暴に引き千切りながら女性なら誰もが憧れる衣装を脱ぎ捨てたが、その裸体は衆目の目に晒されなかった。
ルエリィがウェディングドレスを脱ぎ捨てると同時に彼女の身体は真っ黒な影に包まれ、影が消えた後に現れた彼女の姿に全員が息を呑む。
丈の短い黒のタンクトップに真っ黒なレザーのホットパンツ、猛犬に着ける首輪のような金属鋲付きの黒いチョーカー、その両腕にはチョーカーと同じ物が巻かれている。
鋭さを主張するように金属質な輝きを放つ短いスパイクを爪先に生やしたロングブーツ、刺さったら痛い事は間違い無しの短くも鋭利なスパイクを乱雑に生やした膝当て。
一昔前のハードロックヴォーカリストを思わせる格好は周囲を驚かせるには充分だったが、黒一色の服に身を包んだルエリィ自身が何より周囲を呆然とさせている。
生命力の消え失せた青白い肌、爛々と輝く血のように紅い瞳、両腕を覆うボンヤリと淡く輝く青白い半透明の鉤爪。
その姿を持つ魔物を教団は知っている……ワイト、生ける屍達を束ね、常夜の国を統べるアンデッドの女王。
「な、何故ルエリィ様が!?」
「じょ、冗談だろ!?」
「うだうだるっせぇんだよ、このスッタコ共がぁ!!」
ルエリィが魔物に、而も魔物の中でも高位に位置するワイトと化した事に周囲が騒ぐ中、気品の欠片も無い口調でルエリィは半透明の鉤爪の指を鳴らす。
―ガオォンッ……
指を鳴らした瞬間、不気味な音と共に不可解な『波』がルエリィを中心に教会内に迸り、騒ぐ参列者達の間を走り抜ける。
「おふぅっ」
「あひぃっ」
すると、『波』に中てられた一部の者達は白目を剥いて腰をカクカクと動かし、気の抜けた声を漏らしながら次々と崩れ落ちていく。
『波』に中てられた者達は崩れ落ちても腰をカクカク動かし続けており、見ればズボンの股間が漏らしたようにジンワリと濡れ、仄かに生臭い。
「くっ……何だコレ……」
「お、俺に聞くなぁ……」
「うわぁ、イカ臭ぇ……」
『波』で崩れ落ちなかった者も辛うじて立っているという有様、崩れ落ちた者から仄かに漂う悪臭に顔を顰めている。
精の扱いに長けたワイトは触れるだけで快感を与えつつ精を奪い取る事が可能だ。
ルエリィが先程放った『波』は射精しながら気絶する程の快感を与えた上で精を奪い取る高密度の魔力だが、通常のワイトではコレだけの魔力を広範囲に散布する事は難しい。
アステラにありったけの魔力を注
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