File.07 The Call of "C"‐1

「夏だっ! 海だっ! 青姦だ(バキィッ!)ぼぁ!?」
「いきなり何言ってるんだ、アンタって人は!」
バスを降りた瞬間、スポーツマン風の爽やかスマイルで下ネタをほざくエドワードさんの横っ面を俺は殴り飛ばす。
全く、この人は……下ネタを平気で口にするわ、見舞いの品に精力剤を持ってくるわで、本当に名家の執事かぁ?
「おぉっ! ウミだ、ウミだぁ! シャッド、ウミはハジめてだぞぉ!」
俺の横ではシャッドがはしゃぎ、はしゃぐシャッドを尻目に顔馴染みの防衛班の方々や、見知らぬ学生達がバスを降りてく。

さて、俺とシャッドが居るのは大陸屈指のリゾート地・インスマウス。
元々は寂れた港町だったが良質な砂質と綺麗な海を目玉に町興しを行ったら見事大当たり、一気にインスマウスは大陸屈指のリゾート地に生まれ変わったんだ。
まぁ、リゾート地には不釣り合いな黒い伝承が此処にはあるんだが。
何でも、インスマウス沖にある岩礁……地元じゃ『悪魔の岩礁』と呼ばれてる場所があり、其処には神をも超える力を持った邪悪な旧世代の魔物が潜んでるとか。
まぁ、結局は伝承であり、真偽の程は定かじゃないが。
何故、俺達がリゾート地に訪れてるのか? ソレはアンリの提案が切欠だ。

『夏季合宿?』
『えぇ、毎年恒例の夏季合宿です。先日の襲撃ではお世話になりましたし、折角ですので参加してみませんか?』
ウィルマース邸襲撃から一週間後、何時もの特訓中にアンリが夏季合宿に参加しないかと誘ってきた。
夏季合宿は騎士科や陰秘学科といった戦闘系の学科を専攻する学生達から希望者を集め、インスマウスのホテルに宿泊して訓練するという六泊七日の学園行事。
もう、そんな時期かぁ……ここ最近は命懸けの毎日だったから、全然気付かなかったぜ。
だが、何故に学生じゃない俺達が夏季合宿? と思ったら、俺達の場合は慰安旅行。

先日のウィルマース邸襲撃で重傷を負った俺の苦労を労う為にはどうしようか、と考えたアンリは丁度今が夏季合宿の時期だった事を思い出した。
んで、温泉にでも浸かりながらゆっくりと疲れを癒してみては? という事で夏季合宿に参加してみないかと誘われたんだ。
大陸屈指のリゾート地でバカンスというだけでもヒャッハー! な気分になるが、代金はウィルマース家持ち、つまりタダ!
タダでバカンスとなれば断る理由も無い、俺達は即決で参加表明した訳だ。
因みに、学生達は自腹だったりする。

「暑いぃ〜、蕩けるぅ〜、デロデロォ〜」
とは言え、水着に着替え、上に普段のTシャツを着た俺はパラソルの下で団扇をパタパタ煽いで、犬のように舌を出しながらグロッキー。
夏だから仕方ないとは言え、流石にアチぃ……って、そうだ。
俺は微量な魔力を放出し、放出した魔力を身体に纏わせる。
俺の魔力は多少なりとも冷気を孕んでるからな、こうやって涼を取ろう。
うぅ〜ん、涼しい、涼しい……って、魔力の無駄遣いじゃねぇか、畜生。
因みに、シャッドは浮き輪に掴まり、シー・スライム宜しくプカプカと漂ってる。

「はぁ……だらしないですわね、太陽さん」
ピトッ…と頬に触れた冷たい感触に俺が振り向くと、俺の視界に水着へ着替えたアンリが飛び込んできた。
アンリの水着は紅いVフロントのセクシー水着……アンリさん? 貴方、サキュバスとは言え、ソレは流石に大胆過ぎやしませんかね?
細い。
水着と言うよりは最早紐、ちょっと泳げばヤ〜ン☆ なハプニングに見舞われそうだ。

「勃起したかぁ?」
「歯に衣着せろぉぉ―――っ!!」
セクシーな水着を着たアンリの隣に立つエドワードさんがドヤ顔で言うが、公衆の面前でんな事言うんじゃねぇ!
つぅか、エドワードさんは普段の執事服なのは何故に?
「執事だからな」
「人の心を読むな! それと答えになってねぇ!」
真夏の砂浜でスーツなんぞ、見てるだけで暑苦しいわ。

―テンッ、テンッ
「んぁ?」
「おぉ? コレ、ダレのだ?」
学生達の指導を行うアンリとエドワードさんを眺めつつ、パラソルの下でのんびりしてた俺とシャッドの足元にビーチボールが転がってきた。
シャッドがソレを拾い上げると、
「すいませ〜ん、ありがとうございま〜す……って、あ」
「「あ」」
直ぐに持ち主が取りに来たんだが……って、うぉい!

「ぎ、ギャアァァ!! 本洲太陽とシャッド・メル!? ボス、ボスゥ〜!」
「な、何で此処に正導真理会が居るんだ!?」
そう、転がってきたビーチボールの持ち主は正導真理会の団員だった。
海パン一丁に覆面という怪しさ大爆発な格好をした団員は、シャッドからビーチボールをひったくるとスタコラサッサと逃げる。
「追い掛けるぞ、シャッド!」
俺達は逃げた団員を即座に追うが……正導真理会め、此処で破壊活動でも始める気か?

「た、大変! 大変です、ボスゥ〜!」
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