「相変わらず、地味だよなぁ……」
『通り魔』との戦いから一週間後、俺は開口一番、アンリに聞かれたら殴られても文句は言えない失礼な事を言った。
俺とシャッドが居るのは毎度御馴染み、セラエノ大図書館の屋上……じゃなくて、学園の敷地内にあるウィルマース邸。
学園の敷地の端っこに建てられたウィルマース邸は領主の屋敷だけあって、敷地の三割を占める程に大きいが、屋敷自体がデカい事以外は普通の民家と大差無いデザイン。
何でもアンリの爺さであるヘンリー・N・ウィルマースが老朽化した屋敷を改築する時に、『普通の民家と変わらない、質素なデザインにしてくれ』と頼んだらしい。
だから、ウィルマース邸は領主の屋敷とは思えない地味な屋敷になったそうだ。
因みに、ウィルマース邸の地下は防衛班本部と直結してて、実際俺達は何度もこの屋敷にお邪魔している。
さて、何で俺達が大図書館の屋上じゃなくて、ウィルマース邸に来ているのか?
ソレはイヴィルバスターの新兵装を受け取りに来たからだ。
『お〜い、太陽。イヴィルバスターの新兵装が出来たから、明日屋敷に来てくれや』
発端は昨日、特訓の帰りにエドワードさんが話し掛けてきたのが切欠だ。
何でも、『通り魔』との戦いで切り落とされたシャッドの角を回収し、回収したシャッドの角を加工してイヴィルバスターの新兵装を作ったそうだ。
イヴィルバスターの調整・術式追加はウィルマース邸でしか出来ない……だから、ソレを『武装生成』に組み込む為、俺達はウィルマース邸を訪れたんだ。
然し、竜の角を加工して作った武器って、何処の大人気オンラインゲームだよ、全く。
「どんなブキなのか、タノしみだな!」
自分の角がどんな武器になったのかが楽しみなのか、シャッドは朝からウキウキしてる。
はしゃぐシャッドの胸には大きな傷……『通り魔』との戦いで付けられた傷が、そのままシャッドの胸に残ってる。
治癒魔術を使えば痕を消せるにも関わらず、シャッドは消したくないと駄々をこね、何で? と聞いてみれば、『タイヨウとオソロいだぞぉ!』との事。
いやいや、小物や服のペアルックはよくある事だが、『傷痕のペアルック』は致命的に何か間違ってる気がするぞ。
女の子なんだから、こんな大きな傷痕を残しちゃ駄目だろ。
「お、来たな、お前等。んじゃ、上がってけ」
玄関まで進むと玄関には既にエドワードさんが居て、俺達はウィルマース邸にお邪魔した。
この先に起きる戦いを知らずに……
×××
「んで、コレが新兵装だ」
客間に案内され、ソファーに座った俺達の前にエドワードさんは件の新兵装を持ってきて、ソレを机の上に乗せる。
持ってきてもらったソレを俺達はジッと見つめるが……何だ、こりゃ? 何か、予想とは随分違う代物だ。
剣、じゃないよな? ソレは全体の作りが荒っぽく、野暮ったく、何より兇悪。
刀のような精密さも、剣のような美しさも無い……ただ、何かに叩き付けて『ブッ千切る』という役割に特化したモノ。
「コレ、鉈?」
そう、鉈……山刀(マチェット)と言っても差支えない武骨な鉄塊―あ、鉄じゃなくて角か―だった。
その鉈は柄を含めて大体八〇センチ程、俺は机の上にあった鉈を手に取ってみる。
「うおっ」
意外と重いな、コレ……体感だが、五キロはあるんじゃねぇか? 片手剣にしては破格の重さだろ、こりゃ。
一応、片手で持てる重さだが、軽々と振り回すには相当筋トレを積まないと。
よし、今度から特訓に筋トレを追加しよう。
「ソイツの名前は、な……」
「「名前(ナマエ)は……?」」
勿体ぶるエドワードさんに、俺達は息を呑む……今、エドワードさんの口から、この鉈の銘が明らかに
「考えてねぇ!」
「「えぇっ!?」」
ならなかった! 勿体ぶっといてソレかよ!
「この鉈は太陽、お前の武器だ……お前が名前を決めてやれよ」
あ、そういう事ですか……うぅん、俺がこの鉈の名付け親になるのか、緊張するなぁ。
「そう言えば、アンリは?」
おっと、名前を考える前にアンリはどうしてるのかを聞いておこう。
アンリとエドワードさんは特訓の時以外は二人一緒に―令嬢と執事だから当然か―居る事が多く、エドワードさんだけってのは珍しい。
「お嬢? あぁ、お嬢ならまだ寝てるぜ」
まだ寝てるって、今は昼なんだが……幾等休日とはいえ、領主を兼任する学園長のアンリが昼まで寝てるのはアリなのか?
「寝かしといてやれよ、惰眠は休日のお嬢の楽しみだからな」
エドワードさん曰く、学園と領地の運営等で仕事がギッチリなアンリの睡眠時間は短く、その睡眠時間は平均で四時間、俺より一つ上なのになんとも大変だ。
故に、学園が休みで仕事が少ない休日は寝る事大好きなワーシープ並にグースカ寝るのが、アンリの休日の楽しみだそうだ。
因みに、アンリが寝てる間はエドワ
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