File.04 Time paradox panic

「ふぅむ、懐かしき我が故郷なのである」
愛用の大型バイクに跨るドクター・カーウィンは、ある都市の街門を見上げつつ呟いた。
現在、ドクター・カーウィンが居るのは世界最大の交易都市・セレファイス。
英雄、エヴァン・シャルズヴェニィ生誕の地であるのと同時に、ドクター・カーウィンの故郷でもある。
「さて、感慨に浸る暇は我輩にはナァッシング! さっさと用事を済ませて、本洲太陽をコテンパンにするのである!」
そう言いながら、ドクター・カーウィンは今回の目的地へとバイクを走らせる。

「ふぅ……漸く辿り着いたのである。そして、ただいま愛しき我が家(マイ・ホーム)! なのである!」
ドクター・カーウィンは額の汗を拭い、目前に建つ建造物に『ただいま』と告げる。
此処に辿り着くまで、ドクター・カーウィン駆る大型バイクは走る狂気と化していた。
信号無視は当然、交通法規も何処吹く風、何十台ものパトカーを引き連れて道路を走り、追い縋るパトカーを振り切って漸く目的地に辿り着いたのである。
「さて、警察に見つかる前に目的のブツを手に入れるのである」
御存じの通り、ドクター・カーウィンは正導真理会の団員であり、警察に見つかって団員だと知られれば即刻逮捕、そして洗脳からの解放及び刑罰として処刑される。
交通法規をブッチギリで無視した運転で警察に目を付けられているのだ、此処でモタモタしていれば、太陽との決着を付けられないまま人生が終わってしまう。
大型バイクから降りたドクター・カーウィンは周囲を警戒しながら、そそくさと建造物の裏手へ回り、『目的のブツ』が仕舞われている場所へ向かった。

ドクター・カーウィンが『ただいま』と告げた建造物はセレファイスで……いや、世界的にも有名な病院であり、その門に掲げられた表札には、こう書かれていた。

『カーティエッジ総合病院』

×××

「「………………」」
「せいっ、とぉっ、たりゃぁっ!」
さて、俺がシャッドと一線を越えてから早くも三ヶ月が経った……現在、俺はシャッドとアンリと共にいつもの特訓。
俺とアンリは座禅を組み、精神集中させて魔力練成。
シャッドはアンリが魔力で作った木偶人形と模擬戦、気合の入った声が精神を集中させる俺達の耳に入る。
シャッドの声と殴り合いの音をBGMに、俺は魔力練成に励みながら自身を取り巻く状況を簡単にまとめる事にしよう。

まず、ここ最近に於けるセラエノの状況。
俺とシャッドに二度目の敗北を喫したのが相当悔しかったのか、ドクター・カーウィンは週に一度のペースで襲撃してくるようになった。
勿論、襲撃の度に新作のドラム缶を用意して、だ。
ドクター・カーウィンのドラム缶が出現する度に俺とシャッドはアンリの要請で出動し、旧市街地まで誘い込んでは返り討ちにしている。
んで、俺達とドクター・カーウィンの小競り合いはアイツがバルバロイを引き連れてくる事もあって建物ブッ壊しまくり、旧市街地は徐々に瓦礫だらけの荒野と化している。

『旧市街地の再開発に着手しようと思っていた所ですし、太陽さん達のお陰で取り壊しの費用が安く済みますわ』
なんて、アンリは言うが、俺達は建築物破砕用の鉄球じゃねぇぞ。
兎に角、セラエノは俺&シャッドVSドクター・カーウィンと愉快なバルバロイ達の所為で、何かと物騒になってる。
まぁ、弛まぬ特訓のお陰で、バルバロイが相手なら滅多に後れを取る事は無くなったし、ドクター・カーウィンも戦いに関しては馬鹿だから、それ程苦戦する事も無くなった。

次に俺自身。
弛まぬ特訓とシャッドとの交わりで、俺の魔力はどんどん増えてきてる。
一週間程前に調べてみたら、俺と融合したイヴィルバスターが元々魔王に匹敵するだけの魔力を保有してただけあって、魔力保有量だけは魔王を若干上回る程にまで増えた。
然し、その魔力を使いこなしてるとは言い難いのが現状だ……俺の戦法は『武装生成』で弾丸をバラ撒くか、それなりに得意である蒼属性魔術で猛攻する、所謂手数勝負。
溢れる魔力をそのまま垂れ流してるだけで繊細なコントロールとは無縁、何時かは繊細なコントロールが出来るようになりたいが、何時になる事やら。

コレは余談だが『魔王に匹敵する』という比喩表現、正確には『存命するリリム達全員に匹敵する』が正しい。
新世代を迎えてから世界を維持するようになった魔王と俺の魔力保有量は天地の差がある。
具体的には俺を『一〇』とするなら魔王は『一億』、それ程までに俺と魔王の魔力保有量の差が開いてる訳だ。
だから、魔力保有量の差を測る為の基準は魔王の愛娘たるリリム達……俺の魔力保有量は存命のリリム達全員の魔力保有量の合計より、少しだけだが上回ってると言う事だ。
何ともややこしいが、『世界で一番魔力が高いのは?』と聞かれれば全員一致で『魔王』と答えるから
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