File.03 Birth of the HERO‐2

「行くぜぇぇっ!」
一斉砲撃を避け、翼を広げた太陽は『武装生成』を発動し、両腕に純白のガトリング砲を顕現させる。
顕現した二門のガトリング砲は銃身を高速回転させ、太陽はガトリング砲を目前に屯する妖精型の群へと突き出す。

妖精型……その可憐な名称とは裏腹に蜂の如き姿をしたバルバロイであり、胸には一丁のアサルトライフルを抱えている。
その頭部には近接戦を考慮したと思しき鋭い杭が嘴の如く装備されており、突き刺されば重傷は免れないだろう。
月明かりに照らされた灰色の装甲は金属特有の輝きを放ち、紅く輝く複眼がガトリング砲構える太陽を見据える。

太陽を敵と認識した妖精型は銃口を彼に向けるが、彼のガトリング砲が魔力の弾丸を放つ方が早く、放たれた魔力の弾丸は射線上に居た妖精型を撃ち抜く。
射線上の妖精型の何機かは蜂の巣になると同時に凍り付き、凍り付いた妖精型は地上へと落下して硝子の如く砕け散る。
ガトリング砲の洗礼を免れた妖精型は散開、太陽を包囲してアサルトライフルを連射する。
「甘い!」
周囲から連射される弾丸に太陽は『障壁』を展開、展開された『障壁』に阻まれた弾丸は軽い金属音と共に弾かれる。

「術式選択、広域攻撃……!」
『障壁』を維持しつつ太陽は右腕のガトリング砲を魔力に分解し、元に戻った右腕からは氷で出来た槍が現れる。
「くらっとけぇ!」
現れた氷の槍を掴み、掴んだソレを真上に投擲する太陽。
真上に投擲された氷の槍は頂点で自壊、自壊した氷の槍の破片は小さな槍と化して太陽を包囲している妖精型の群に降り注ぐ!
『氷結槍雨(ラキ・ベリイン)』……嘗てアレスタが見せた魔術を模倣して編み出した太陽独自の魔術であり、物量で押してくるバルバロイ用に編み出した広域攻撃魔術である。
降り注がれる氷の槍に貫かれた妖精型は瞬く間に凍結、氷の槍は豪雨―正確には霰か―の如く地上にも降り注がれる。

「タイヨウ、アブない!」
「あ、悪い」
目算で二〇機程を一掃した事に太陽は心中でガッツポーズをとるが、地上からシャッドに抗議されてバツが悪そうに頭を掻いた。
太陽は左腕をガトリング砲からリボルビンググレネードへと変更し、残っている妖精型のアサルトライフルを避けながら氷のグレネード弾を次々と発射して妖精型を撃墜する。
空いている右腕はそのまま『刃雪』と『氷結槍』を交互に放ち、放たれた雪の結晶と氷の槍は妖精型を切り裂き、貫いていく。

「うおっと!」
アサルトライフルでは太陽を仕留められないと判断したのか……残存する妖精型は射撃を止めて、頭部の嘴じみた杭で貫こうと太陽に迫る。
杭を突き刺さんと四方八方から迫る妖精型に、太陽は回避行動に専念する。
太陽は近接格闘特化のシャッドとの連携を前提に、『武装生成』で生成する銃火器と魔術に因る遠距離攻撃を重点的に特訓していた。
一応アンリに仕込まれた近接格闘の心得はあるが、二週間程度の特訓では素人よりはマシ程度であり、高速且つ四方八方から迫る妖精型に近接格闘を挑むには分が悪い。

「うへぇ、もうちと真面目にアンリから教わってりゃ良かったぜ!」
それでも、太陽はすれ違い際に魔力で覆った拳で妖精型の胸部を殴り、少しずつ妖精型の数を減らしていく。
妖精型の胸部には動力兼頭脳である魔術文字が刻まれており、魔力に覆われた太陽の拳は魔術文字ごと胸部を破壊する。
胸部を破壊された妖精型の鋼鉄の身体は瞬く間に『錆びつき』、地上へと落下していく。

以前、バルバロイは拿捕して転用する事が不可能と語ったが、その理由はコレである。
ゴーレムの一種たるバルバロイは動力兼頭脳の魔術文字が削られた瞬間、金属製の身体が一瞬で錆びついてしまうからだ。
また、魔術文字が敵に削られた時以外にも、戦闘不能に陥ったバルバロイは自殺するかの如く自ら魔術文字を削り取り、自ら錆びつく事も確認されている。
身体が錆びついたバルバロイは非常に脆く、戦闘は勿論の事、新たに魔術文字を刻む事も出来ない程に身体を構成していた金属が脆くなる為、転用が不可能なのである。
ゴーレムを動かす為の魔術文字には命令内容や所有者情報等が含まれており、バルバロイもゴーレムの一種である以上、その魔術文字には生産工場の位置情報も含まれている。
身体が錆びつくのは生産工場の位置特定を避ける為の細工ではないか、というのが魔王軍技術班の推測である。

「おりゃぁぁ―――っ!」
太陽が空中で妖精型と戦っていた頃、シャッドは地上で鬼人型を圧倒していた。
その名の通り鬼人型は人間に近い姿をしており、肩には小型キャノン砲を一門、脚部には三連装式小型ミサイルポッド。
その手には無骨で巨大な戦斧(バトルアックス)が握らており、術衣を纏った者でも直撃すれば精神衛生上良くない事になりそうである。
だが、シャッドはソレ等の脅威
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