File.03 Birth of the HERO‐1

「さて、何が起きたのかを説明してもらいます」
「「…………」」
エドワードさんを従えて瓦礫の山と化した教会を訪れたアンリさんは、開口一番で説明を求め、元・教会の瓦礫に座る俺とシャッドは無言。
説明しようにも、先ずは絶望感に蝕まれた心を落ち着かせたい。
故に俺とシャッドは無言を貫き、アンリさん達は辛抱強く待ち続ける。

「アレスタ・リクローイと戦った……」
「「っ!?」」
漸く心を落ち着かせられた俺は静かに呟き、その呟きに二人は目を見開いた。
当然というか、やっぱり二人もアレスタの存在は知ってたのか。
「お、おいっ! お前等、アレスタ・リクローイと戦ったのか!? かぁぁっ、参ったぜ、畜生! 眉唾な噂だと思ったら、実在してたのかよ!」
「まさか、実在していたのですね……」
驚く二人に俺はポツポツと、絞り出すように何が起きたのかを説明した。
無論、包み隠さずに。

「じ、冗談だろ? 大旦那が丹精込めて作ったイヴィルバスターでも、アレスタには通用しなかったのかよ……」
「そんな……」
俺の説明に二人は落ち込むが、落ち込むのは俺達の方だ。
「二人が悪い訳じゃねぇ……悪いのは俺だ、イヴィルバスターを使いこなせなかった俺が全面的に悪い」
そう、俺が悪い……与えられた力に振り回され、ろくに使えなかった俺が圧倒的に悪い。
だから、
「……アンリさん。あん時の答えだけどさ」
俺は
「戦うよ、俺は……アイツを知っちまった以上、ノンビリした毎日を送るつもりは無い」
決意を籠めて
「だから、戦わせてくれ」
アンリさんに戦う事を告げた。

「決意、してくださったのですね」
「あぁ……俺もシャッドもアイツ等と戦うけど、条件がある」
「条件、ですか?」
条件と言われたアンリさんは首を傾げるが……何、そんな難しい条件じゃねぇさ。
「俺達は強くなりたい、アイツと同じ土俵に立てるようになりたい。だから、俺達が強くなれるように力を貸してくれ」
アイツの面に、アレスタのスカした面に拳をブチ込めるように俺達を強くしてほしい。
ソレが、俺達が協力する条件だ。
「そのくらいなら御安い御用です。貴方達が強くなる事は、それだけ正導真理会の悪行に対抗出来るようになるのと同じですから」
俺の出した条件をアンリさんは穏やかな笑みと共に快諾し、俺に手を差し出した。
差し出されたアンリさんの手を俺は握り、固く握手する。

「シャッドもガンバる。だから、ツヨくしてくれ!」
瓦礫に座ってたシャッドは何時の間にか俺の隣に立ち、握手された手に自分の手を重ねて強くなりたいと告げる。
「分かりました……共に、正導真理会と戦っていきましょう」
決意の籠ったシャッドの言葉にアンリさんは頷き、
「コレから、よろしくお願いします」
手を話してから頭を下げた。
参ったな、頭を下げたいのはコッチだって。
「あぁ、コッチこそ」
「ガンバるぞぉ!」
こうして、俺とシャッドは正導真理会と戦う道を選んだんだ。

「早速で悪いんだけどさ……」
「はい?」
「家、用意してもらっていい?」

×××

「魔術の本質は実践にあります。ですので、貴方達には実戦を積んでもらいます」
正導真理会と戦う事を決意してから数日後。
俺とシャッドはアンリに―呼び捨ては不味いと渋ったが、同年代に気遣いは不要と本人に言われて結局呼び捨てになった―呼ばれ、セラエノ大図書館を訪れた。
勿論、強くしてもらう為の指導であり、この指導はアンリ自身の研鑚も兼ねてる。
統治者たる者、領地が攻められし時は率先して戦うべし。
『英雄の血族』が一つ、『母蛇のシャルズヴェニィ』の始祖、ローラ・シャルズヴェニィが遺した領主の心構えだ。
普段は司令官として前線には出難いが、いざという時には自ら前線に出る。
前線に出たのに足を引っ張るような真似はしたくないから、というのがアンリの弁だ。
「……一つ、聞きたい事がある」
「何ですか?」
指導の前に聞きたい事があった俺はアンリに尋ね、アンリは首を傾げる。
「何故、此処?」
俺達が訪れたのはセラエノ大図書館、その屋上……何故屋上なんですか、アンリ。
「私自身の研鑚を兼ねてとは言え、学園長たる私が個人を指導するというのは依怙贔屓に見られる可能性がありますので」
さいですか。

「ソレは分かった……もう一つ、聞きたい事がある」
「まだ、あるのですか?」
うん、ある……コレは結構重要だ。
「何で、二人共そんな格好なんだ?」
屋上の床に胡坐を掻いてる俺の前には、体操服を着たアンリとシャッド。
御丁寧にも『あんり』、『しゃっど』と平仮名で書かれた名札が胸に張ってあり、アンリに至っては紅色のブルマ着用。
ブルマなんて、絶滅危惧種の漢の浪漫じゃねぇか。
「エドワードが『秘密の特訓ならコレだろ!』と、何故か熱弁していましたので」
エドワードさん
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