File.01 I am Providence

「はふっ、あふっ、がふっ、んっ、んっ、あぐっ、ふぁふっ……」
「「…………(ポカーン)」」
俺、本洲太陽は大通りの学生食堂で飯を食わせてもらってた。
う、美味い、美味過ぎるぅっ! 空腹は最高の調味料なんて言うが、本当だな!
俺を探してたっていう二人が開いた口が塞がらないボケっとした顔で、飯を食い続ける俺を見てるが構うもんか。
兎に角、今は飯だ、飯。

「ぐぇっぷぅ……ふぅ、ごちそうさん」
「あっきれたぁ……お前、何処のグルメ格闘漫画の主人公だよ! 食うのが早過ぎるわ! お前はゾンビか! ベルゼブブか!」
ふぅ、満足、満足。
執事服の男が呆れた顔で叫ぶが、ソレも当然か……なにせ、机にぎっちり置かれてた料理の山が僅か二〇分で皿だけになったからな。
「本洲さん……貴方、一体何日食べてなかったんですか?」
「一週間」
サキュバスが何日食ってなかったのかを聞いてきて、俺が答えたら目を丸くして驚いた。
生命維持に必須な水だけで過ごす一週間はキツかったなぁ、マジで。

「さて、満腹になった所で自己紹介させてもらいます。私はアンリ・N・ウィルマース、此方は私の執事のエドワード・カーンビィ」
「どうも、お嬢の執事のエドワギャァァァァァッ!?」
食後のお茶を飲んでたら、いきなりの爆弾発言に俺はお茶を盛大に吹き出してしまった。
咄嗟に横を向いたからサキュバスにお茶を掛けずに済んだが、
「お茶が! 唾が! 顔面に! 顔射に!」
隣の執事の顔面にお茶が掛かっちまった……顔射とか言うな、顔射とか。

「ウィ、ウィル、マース……って、え、ええぇぇぇぇぇぇぇっ!? ま、まさか!?」
「そのまさか、です。セラエノ大図書館付属学園長、アンリ・N・ウィルマース……こう申し上げた方がよろしかったでしょうか」
爆弾発言再び投下、俺は驚きのあまりに椅子諸共後ろに倒れてしまう。
そう、俺の目の前に居るのはセラエノ大図書館付属学園長。
学園長=此処の領主、俺の目の前に居るサキュバスがセラエノの支配者って訳だ。
見た目―暴力的ボリュームの胸を除き―は俺と同年代なのに学園長……って、サバイバルな毎日を送ってたから、すっかり忘れてたぜ。

俺の記憶が確かなら、アンリ・N・ウィルマースは今年で一九歳だ……彼女が九歳の時、彼女の両親は正導真理会のテロに遭って死亡した。
正導真理会は『魔物の殲滅』を掲げるクソッタレ集団、そのクソッタレ共は『ある場所』を執拗に攻撃してくる。
世界の首都・アーカム、世界最大の交易都市・セレファイス。
そして、世界最大の学園・セラエノだ。

アーカムとセレファイスなら執拗に狙うのも分かる……アーカムは連中の大嫌いな魔王の居住地、セレファイスは英雄・エヴァンの生まれた地だからだ。
だが、セラエノを狙う理由が分からない。
世界最大の学園なだけの此処を攻撃する価値は低いにも関わらず、正導真理会はしつこく此処を攻撃してくる。
彼女の両親は連中のテロに遭って死亡し、彼女は弱冠九歳で学園長に就任したんだ。

「そ、そ、それでっ、貴方のような高貴で完璧超人な方が、お、お、俺のような蛆虫にも劣る社会の屑で塵で塵芥で、寧ろ生まれてきてすみませんでしたと遺書を書き残して首を括って死ね、な人間を探していたですと?」
「謙遜なのか、卑屈なのか、皮肉なのか判断に迷う言い方ですね……」
兎に角、目の前に居る若き支配者に俺はガクガクブルブル、俺の言葉に彼女は顔を顰める。
だってさぁ、この若きセラエノの支配者様が何処にでも居る民間人A的な存在である俺を探してたなんて、その理由が全く分からん。

「兎に角、私達は貴方を探していたのです……そう、貴方の力を借りたいのです」
「は? 俺の、力?」
強い意志を籠めた目で俺を見る彼女だが、その言葉は俺を更に混乱させるには充分。
浮浪者の俺の力を借りたいって、どういう事だ?
「本洲太陽、一五歳の時にセラエノ大図書館付属学園に入学するも二年で中退。中退後、学生寮を追い出されてからは行方知れず」
疑問が頭の中を駆け巡る俺を無視して、執事がレポートを懐から取り出して読み始めた。
「在学中に専攻してたのは陰秘学……つまり、お前さんは『魔術理論』を学んでた」
「……っ!?」
オイオイ、アンタ等……俺の事を勝手に調べてたのかよ!?

魔術理論……変革世代までは『魔法』と呼ばれてた技術で、『陰秘学』とも呼ばれてる。
分類が大雑把だった魔法は変革世代末期に再分類・体系化され、ソレに因って『魔法』は『魔術理論』に、『魔法使い』は『魔術師(マギウス)』へと名前を変えた。
炎・水・氷・風・地・雷・闇の七属性は紅・蒼・翠・玄・白の五属性―紅は炎、蒼は水と氷、翠は風と地、玄は闇、白は雷、といった具合だ―にまとめられた。
そして、其処から更に細かく分類・体系化し、『魔法』は『魔術
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