〜大陸最北方・常吹雪の永久凍土〜
「「…………」」
俺、エヴァン・シャルズヴェニィは糞ガキ……オリバー・ウェイトリィと睨み合ってた。
セレファイスで糞ガキと対峙した俺はゲイリーから渡された紅い宝石を使い、俺が選んだ決戦場へと転移した。
「……はっ、僕とテメェの決着を付けるには中々の場所じゃねぇか」
無言で睨み合ってると、糞ガキが沈黙を破った。
そう、俺が決戦場として選んだのは常吹雪の永久凍土……俺が将来有望と注目される切欠になった地であり、ある意味では糞ガキとの因縁が生まれた地でもある。
「だけど、ちょっと寒過ぎだよなぁ。来いよ、エヴァン……良い場所に案内してやる」
そう言ってから糞ガキは俺に背を向けて歩き出し、俺は糞ガキの後を追った。
「「…………」」
カツン、カツン…と足音だけが響く。
俺が糞ガキに案内されたのは、俺が『星間駆ける皇帝の葬送曲』の術式が記された魔法書を見つけた旧世代の遺跡。
何で、糞ガキが此処を知ってるのかが不思議なんだが……まぁ、いいさ。
兎に角、俺と糞ガキは無言で旧世代の遺跡の地下へと続く階段を歩き続けた。
「……なぁ、糞ガキ」
「……んだよ」
どれだけ歩いてきたのか、俺は糞ガキに話し掛けると糞ガキは億劫そうに反応した。
無視されると思ってたんだが、反応したんなら重畳。
俺は前から疑問に思ってた事を、糞ガキに聞いてみた。
「お前、何で魔物を憎む。何で、あんな怪物を生み出してまで魔物を滅ぼそうとするんだ」
「……はっ」
何故魔物を憎むのか、何故怪物を生み出してまで滅ぼそうとするのか……ソレを聞いてみると糞ガキは鼻で笑った。
「冥土の土産に教えてやらぁ、何で僕が屑共を滅ぼそうとしてるのかをよぉ……」
「僕は主神教の根っからの信者でなぁ……」
曰く、糞ガキは当時の教団の教会に捨てられた孤児、ガキの時から教団の教えを受けながら育ってきた。
魔物は敵だと教え込まれた糞ガキが教団に入団するのは当然、糞ガキは教団の教えに忠実に従い、当時の魔物を討ち続けた。
「テメェ、神様の夢を見たって言ってたなぁ……僕も見たんだよ、神様の夢をなぁ」
糞ガキは見た、神様の夢を……あのクソッタレな神様が夢の中に現れ、糞ガキに告げた。
『魔物と魔物を統べる魔王は、神たる我の失敗作なり。
我が創りし箱庭に住まう事許されるは、我が愛する人間と同胞のみ。
失敗作たる魔物が我の箱庭に住まう事、神たる我は許さぬ、認めぬ。
故に、神たる我は魔物を滅ぼす、魔物は一匹たりとも存在を許さぬ』
俺はその傲慢さが嫌で嫌で目を抉り抜いたが、糞ガキは違った。
根っからの信者である糞ガキはクソッタレな神様の御告げを聞けた事を喜び、より一層に魔物の討伐に尽力した。
「正直、屑共を憎いと思った事はねぇんだよ。害虫駆除に、憎悪も何もねぇだろ?」
じゃぁ、つまり、何だ?
コイツは『魔物を憎んでる』から滅ぼそうとしてるんじゃなくて、『クソッタレな神様から与えられた使命を熱心に励んでた』だけなのか?
うっわぁ、憎悪よりも性質が悪ぃぞ、オイ……憎悪ならコイツも辛かったんだなぁって、ちょっとは同情出来るし、ソレは間違ってると説得すればいい。
だが、使命感となれば話は別だ。
親魔物派の俺が『魔物は良き隣人、愛すべき存在』と信じてるように、糞ガキは『魔物は悪しき存在、滅ぼすべき敵』だと信じてる。
糞ガキは魔物を滅ぼす事が『正しい』と信じてる。
コレが正しい、コレが正義なんだと盲目的に信じてる。
一途を通り越して狂信に等しい使命感に説得は無駄だ……なにせ『魔物は滅ぼすべき存在』と盲目的に信じてるコイツからしてみれば、『何処が間違ってるんだ』って話になる。
「まぁ、あん時は殺り過ぎて危なかったけどな!」
クソッタレな神様の御告げを聞いた糞ガキは使命を果たすべく、以前よりも熱心に魔物の討伐に励み、魔物は勿論、今で言う親魔物派の人間も『魔物』と見做して虐殺三昧。
魔物と人間が結託して討伐に乗り出した事に危険を感じ、糞ガキはこの常吹雪の永久凍土に逃げ込んだ。
常吹雪の永久凍土へと逃げた糞ガキは、魔物を滅ぼす為の魔法や兵器を研究する為の研究所を造り、魔物を滅ぼす為の研究に没頭した。
『星間駆ける皇帝の葬送曲』を始めとした窮極魔法。
『魔物娘捕食者』の原型は、コレ等の研究の成果だそうだ。
「『生命創造』の応用で僕は寿命を伸ばしたけどよぉ、流石に魔物を滅ぼす前にくたばる訳にはいかねぇからなぁ」
三〇年程研究に没頭し、研究に一区切りをつけた糞ガキは一度研究所を封鎖。
研究所を後にした糞ガキは氷属性魔法を応用した超長期睡眠を使って、常吹雪の永久凍土の地下洞窟で眠りに就いた。
んで、目覚めたのが九年前で、其処から先はスティーリィから聞いた話通りだ。
「話は終わりだ……丁度良い具合に
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