現世で最も硬いモノは何ぞ?
ある者は金剛石と答え
また、ある者は信念と答え
また、ある者は正義と答える
あらゆる答えは是であり、否である
答え無き問いに、我は敢えて答えよう
ソレは、愛情と……
―怪物の愛は金剛石の如く砕けない―
「此処が、母さんの実家かぁ……」
俺、礼牙一堂(ライガ・イチドウ)は目前にあるデカい屋敷に圧倒されていた。
なんというか、デカい……それしか言えない。
なにせ、左を向けば先が見えない程に塀、塀、塀。
右を向いても、同じく先が見えない程に塀、塀、塀。
どんだけ、塀が長いんだよ、この屋敷?
んでもって、屋敷自体もデカいのなんのって。
俺の住んでた街の領主様の屋敷もそれなりにデカかったが、この屋敷と比べるとアレだ。
領主様の屋敷が一般家屋に見えちまう程この屋敷デカくてさ、コッチの方が歴史の重みを感じさせる分、威圧感が半端無い。
「はぁ……ちゃちゃっと用事を済ませて、家に帰りたいなぁ」
半端無い威圧感に溜息を吐きながら、俺は懐から手紙を取り出し、ついでに身嗜みに何か問題あると困るから、そっちも整えちまおう。
俺の服は大陸風男性お手伝いさん用の制服、所謂執事服……だが、俺は執事じゃない。
俺の仕事上、動き易いように作られた無駄の無い服を試行錯誤しながら選んだら、自然とコレになっただけだ。
因みに、俺の着ている執事服は全身夕陽みたいに真っ赤で、本来は黒とか灰色とか地味な色が伝統なんだが、俺の趣味じゃないんで、特別に赤くしてもらった。
余談だが、大陸にいた時はしょっちゅうミノタウロスに喧嘩を売られた。
うん、身嗜みは一応俺視点で大丈夫だ。
俺は深呼吸した後、目前にある門―これも充分にデカくて、大陸でも背の高い方の俺でも、首が痛くなる程に見上げなくちゃなんねぇし―をドンドンと叩く。
『……どちら様でしょうか?』
扉越しに聞こえたのは、年季とドスの入った声は警戒心溢れ過ぎ、棘出まくりの冷てぇ声。
「あ、どうも……俺は」
『帰れ』
早っ! まだ名乗ってないよ、俺!
「ちょ、ちょちょ、ちょっと待ってくださいよ! 俺は」
『帰れと言ってんのが分からんのか、このキチ○○が』
酷っ! よりにもよって、○チガ○かよっ!
何度か名乗ろうとしたけど、門の向こうの人は聞く耳を持たんようで、帰れの一点張り。
「………………」
『漸く、帰りおったか。全く、○○ガイの相手は疲れるわ』
「………………(プッツ――――ン)」←大事な何かが切れた音
幾等温厚な俺でも、これ以上キ○ガ○呼ばわりされると、キレるぞ。
つぅか、もうキレた。
「門の向こうの人、アンタが悪いんだからなぁぁぁっ!」
俺は魔力を体内で循環させ、充分に高めた魔力を拳に纏わせる。
「オラ、オラオラオラ、オララオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!」
怒り爆発な俺の感情のままに、如何にも分厚そうな門を滅多打ちに殴りまくる。
魔力を纏わせた両拳を叩きつけられた門はあっという間にヘコミだらけ、ヘコミだらけになったと思ったら、気持ち良い位に大・粉・砕して、俺が通れる位の大穴が開いた。
門が破られるとは思ってなかったのか、門の向こうの人は驚きで腰を抜かしちまった。
「そ、そんな!? 剛の者でも破れん門を破るとは、貴様何者じゃ!」
「やっと、自己紹介出来る。俺は一堂、礼牙一堂。礼牙一条(イチジョウ)の一人息子だ」
「お前が、一条の息子か……魔導拳を使えるのなら、本物だな」
漸く、屋敷の中に入れてもらえた俺は、真っ先に頭首のいる部屋へと通された。
その部屋にいたのは、一言で言うなら美中年……あと二十歳程若けりゃ、声掛けただけで面食いの女―若しくは同性愛嗜好の男―が容易く釣れそうな顔立ちだ。
「して、一条の息子が何用だ? 儂は我が娘、一条に用があったのだが?」
そう、俺の前にいる美中年は俺の母さん・礼牙一条の父、俺から見れば祖父ちゃんになる礼牙一族現頭首・礼牙一徹(イッテツ)だ。
「話す前に……ちょっと、いいですか?」
「……何だ?」
「俺にとっては、貴方は祖父なんだ。だから、『祖父ちゃん』って呼んでもいいですか?」
「畏まらんでいい。一条の息子ならば、儂は祖父にあたるからな、そう呼んでも構わん。それにしても、儂が『祖父ちゃん』か……光陰矢の如しとは、まさにこの事よ」
ぎこちないけど、穏やかで和やかな家族の会話に、俺と祖父ちゃんはどちらからでもなくクスッと笑った。
「んじゃ、本題。何で母さんじゃなくて、俺が来たのかなんだが……」
畏まらなくていいって言われて、いきなり遠慮無しの砕けた喋り方になっちまった俺だが、コレばっかりは砕けた喋りでも真面目に話さなくちゃなんねぇ。
「実は、さ……母さん、二年前に流行り病で死んじまってさ、代わりに来
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