《オオォォォォォォッ!!》
少々、時間を遡行しよう。
エヴァンとホーヴァスが胃袋巨蟲に飲み込まれた後、残されたフェラン達は『GE‐02』及び『GE‐02』が吐き出した超巨蟲と激闘を繰り広げていた。
超巨蟲と対峙するは竜王形態となったボイド……ボイドは地上の王者の風格を露にして、超巨蟲を圧倒していた。
普段の竜人形態なら鍛え抜かれた技術があるものの、竜王形態では骨格の違いから技術を発揮する事は難しい。
故に、ボイドは純粋な力で只管に殴打していた。
《ハアァァァァァァッ!!》
殴打、殴打殴打殴打、殴打殴打殴打殴打殴打殴打殴打殴打殴打殴打殴打殴打殴打殴打殴打殴打殴打殴打殴打殴打殴打殴打殴打殴打殴打殴打殴打殴打殴打殴打。
頑強な鱗に覆われた拳は超巨蟲の血で赤く染まり、拳の弾幕に超巨蟲は為す術無し。
サンドバックと化した超巨蟲は、抵抗する事も許されずに殴られ続ける。
吹き荒れる暴力、飛び散る鮮血、鳴り響く骨肉砕く轟音。
ボイドの姿は、まさしく地上の王者……いや、『暴君』の方が正確かもしれない。
暴君は殴打する、超巨蟲の生命を奪うまで。
「うおぉぉぉりゃぁぁぁぁぁっ!」
『GE‐02』と対峙するはフェラン、コラム、キーンの三人……三人は其々の得意分野を活用し、確実に『GE‐02』を追い詰めていた。
「『重榴塊(グラボム)』! 『重榴塊』! 『重榴塊』!」
フェランは小柄な体躯と破壊力に優れた闇属性魔法を活用し、足を止める事も無く魔法を放ち続け、『GE‐02』を攻撃する。
フェランが放つは『重塊』に似た黒い塊、その塊には疣のような小さな塊が付着している。
放たれた疣付き塊は『GE‐02』、若しくは『GE‐02』が吐き出した蟲にぶつかると、ぶつかった瞬間に疣付き塊は破裂する!
『重榴塊』……『重塊』の上位魔法であり、何かにぶつかるか、フェランが合図する事で小型の『重塊』を周囲に散布する広域攻撃魔法である。
『重榴塊』とは所謂『魔力で作られた手榴弾』、撒き散らされる小型『重塊』は小さくとも破壊力は充分である。
火力に優れた闇属性魔法の使い手たるフェランは只管に『重塊』と『重榴塊』を放ち続け、『GE‐02』を攻め立てる。
「フェラン、危ないっ! 反射結界、『因果壁(パラクス・ウォル)』!」
走るフェランを先回りするように細長い蟲共が吐き出され、迫る蟲共を確認したコラムは右腕を振るい、フェランと迫る細長い蟲共の間に透明な壁を生成する。
コラムは馬の脚力が齎す機動力と鉄壁に等しい防御力を活かし、縦横無尽に駆け巡っては『GE‐02』の攻撃を防いでいた。
生成された壁に細長い蟲共がぶつかった瞬間、壁は七色の輝きを放つ光をぶつかった蟲共へ放ち、蟲共は七色の光に貫かれて絶命する。
『因果壁』とは壁に加えられた衝撃を吸収して魔力へ変換、変換した魔力を光の矢にして放つ攻防一体の防御魔法である。
如何に苛烈であろうと生物である以上、攻撃し続ければ疲弊する。
疲弊は攻撃を鈍らせ、鈍りが焦りを生み、焦りは攻撃を単調にし、単調な攻撃は致命的な隙を何れ生み出す。
防御こそ最大の攻撃……その言葉を体現するかの如く、コラムは防御と拘束を駆使して、『GE‐02』を確実に疲弊させる。
「…………!」
キーンは『武装錬金』で生み出した一一本―複製元を含めて―の銛を駆使し、『GE‐02』の吐き出した蟲共を駆逐する。
唯一にして最強の魔法・『武装錬金』、自然の中で鍛え抜かれた肉体、己の力を最大限まで引き出し、キーンは吐き出された蟲共の相手をする。
複製された一〇本の銛は獲物狙う肉食魚の如く宙を駆け回り、正確に蟲共の脳髄を貫き、使い手たるキーンも蟲共の頭に乗っては直接脳髄を穿つ。
現状、『GE‐02』は終始蟲共を吐き出す事に徹し、その恵まれ過ぎた体躯による肉弾戦を仕掛けてこない。
キーンは直観で把握する、この無数に等しき蟲共が『GE‐02』の要であると。
無数に等しき蟲共を吐き出し、圧倒的物量で一切合切喰らい尽くす事が『GE‐02』に出来る事だと。
故に、キーンは『GE‐02』の力の根源たる蟲共を駆逐する事を選択した。
幾等無数に等しくとも、あくまで『等しい』だけであり、限界は何れ訪れる。
圧倒的物量で攻めるなら、その物量が無くなるまで削ぎ続けるまで……何れ訪れる限界を迎えれば、『GE‐02』はただの的でしかなく、討つ事は容易となる。
故に、キーンは『GE‐02』の要たる蟲共を駆逐し続ける。
「コラムッ! アイツ、蟲を吐かなくなってきた!」
「好機です! 一気にいきましょう!」
「…………!」
フェランは攻め、コラムは防ぎ、キーンは削ぐ。
己の出来る事に徹する三人は、確実に『GE‐02』を追い詰め、体内に収めている蟲が少なくなってきたのか、『GE‐02』は蟲を吐き出さずに
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