Report.04 俺と竜と肉団子 前編

〜交易都市・セレファイス〜
「「ばっかも――――――――――――ん(であ――――る)っ!!」」
俺、エヴァン・シャルズヴェニィはゲイリーの医療所にて、ゲイリーと魔法の講師であるバフォメットのフランシス様に正座でお叱りを受けた。
んな、二人揃って馬鹿と呼ばんでも。
「馬鹿と呼ぶなというのは無理も無理無理、超無理なのであぁ――――――るっ! 貴様、本当に学習能力が致命的に欠けてるのであぁ―――るっ!」
「馬鹿って呼ばないのは、無理があるってもんだっ! アンタ、何で、あの禁断の魔法を知ってる上に使ってるんだいっ!」
まぁ、二人の剣幕も尤もで、『星間駆ける皇帝の葬送曲』を使ったのはコレで三度目。
既に知ってたゲイリーは兎も角、件の魔法を俺が使える事を知らなかったフランシス様が怒らないのは無理だよなぁ。

「それで? アンタ、何で禁断の魔法を知ってるんだい?」
小便漏らしそうな程に怖いジト目で睨むフランシス様の問いに、俺は件の禁断魔法を行使出来るようになった経緯を、嘘偽り無しに話す。
「ふ〜ん? 成程ねぇ」
全部話した後、フランシス様は一応納得してくれたみてぇだ。
みてぇだが……だから、そのジト目は本気で勘弁してください、怖いから。

「ま、そういう事なら許してやるさ……けど、絶対に人目のある場所で使うんじゃないよ。お偉いさんに見つかったら、先ず間違い無く免許証(ライセンス)を剥奪される」
だよなぁ……『星間駆ける皇帝の葬送曲』は禁断の魔法、今までは遺跡とか、密林とか、地底湖とか、人目につかない場所で使ってたから問題は無かった。
だが、人目のある場所で使えばフランシス様の言う通り、魔法使いの免許証を剥奪される。

魔法を使うには領主―セレファイスなら、ローラさんだ―に魔法体得を申請して免許証を発行する必要がある。
免許証無しに魔法を体得しようとすれば不法体得で警察に捕まるし、免許証があるからと無闇に体得出来る訳でも無い。
先ずは一番下の等級である学徒級から始まり、魔法の講師の元で修業を積みつつ、名人級、達人級、導師級、大導師級と等級を上げてく。
等級を上げるには昇級試験を受ける必要があり、昇級試験を受けずに自分の等級よりも上の等級の魔法を学ぶ事は許されない。
自分の等級より上位の魔法を行使しようとすれば扱いきれずに暴走して、下手しなくても行使した自分だけじゃなく、周りにも迷惑が掛かるからな。

俺の魔法で言うなら『風刃』と風を纏って飛行する『風翼(ビンド)』は学徒級、『旋風刃』と『風鎌』は名人級、『嵐鎚』と『大嵐刃』は達人級で体得が許される魔法だ。
あ、俺? 俺はまぁ、何というか……勝手に自分の等級より上位の魔法を体得した、所謂モグリだったりする。
と、兎に角、自分の等級よりも上位の魔法の体得も不法体得で捕まり、その際に免許証を剥奪される。
『星間駆ける皇帝の葬送曲』は調べる事も許されない禁断の魔法、ソレを体得してる上に行使してるとなれば、免許証剥奪だけじゃ済まない可能性がある。
下手すりゃ、何十年も牢屋で臭い飯を食わされる羽目になる。

「分かってるならいいさ……でも、本当に人目のある場所で使うんじゃないよ。アンタの嫁さんを守る為でも、な」
すいません、ソレは守れる自信はありません。
自覚してるが、俺は後先考えずに行動するという探検家としては致命的な欠点を抱えてる。
誰かが困ってる時や、山賊なり盗賊なりに襲われてる時、頭よりも先に身体が動いちまう。
まぁ、コレが俺だって開き直ってるけどな! ……胸張って威張る事じゃねぇな、本当に。

×××

〜三時間前・セレファイス近郊〜
「はぁ、はぁ、はぁ……」
エヴァンが説教を受けていた頃、セレファイス近郊の平原を走る影があった。
緑色の鱗に覆われた美しい身体、頭頂部に生える雄々しい二本角、逞しい尻尾と翼。
雄々しさと優美さを兼ね備え、『地上の王者』とも称される魔物・ドラゴンが只管に平原を走っていた。

「しつこい……それ程までに拙者を殺したいのか!」
平原を走るドラゴンは、時折背後を振り返りながら走り続ける。
ドラゴンであるなら空を飛べばいいではないかと思うが、今の彼女にはソレは無理だ。
彼女の翼は翼膜が破れており、翼膜が破れている状態では満足に飛ぶ事は出来ない。
そもそも、地上の王者と称されるドラゴンは何から逃げているのか?
ソレは彼女の背後にピッタリと追い掛ける、一〇体の奇妙な生物達からだ。

「あの肉団子め……友を殺すだけでは飽き足らず、拙者の命まで狙うか!」
ドラゴンに追う奇妙な生物達は、本当に生物と言えるのかという疑問が残る姿をしていた。
目算でも一〇センチ程の赤茶色の身体はブヨブヨしており、とても自重を支えられそうにない蹄のある五本の細長い脚が、その身体を支えている。
その体色と相
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