Extra Report.01 俺と母蛇と過去の約束

〜交易都市・セレファイス〜
「ぶぁっかも―――――――――――――――んなのであ―――るっ!!」
「仕方ねぇだろ、あの状況じゃ……」
俺、エヴァン・シャルズヴェニィは、幼馴染であるゲイリーの大声に眉を顰めていた。
獣の吼える森の調査を終えた俺は、其処で新しく仲間―もとい、妻―になったバイコーンのコラムと共に、セレファイスに滞在している。
んで、獣の吼える森で起きた事を話したら、開口一番で馬鹿呼ばわりされた。
「仕方ないも何も、我輩は彼の禁断魔法を使うなと釘を刺しておいたのであるぞ! にも、関わらず使ったのだから、貴様は馬鹿中の馬鹿の大馬鹿者なのであ―――るっ!」
まぁ、ゲイリーが叫ぶのも分かる……『星間駆ける皇帝の葬送曲』は禁断の魔法、使えばコッチにキッチリ反動―主に性欲として―が返ってくる。

「……ゲイリーさん?」
「をおぅっ!? コラムよ……そんな視線だけで人が殺せそうな目で、我輩を睨まないでほしいのであ〜る」
人を馬鹿だ、馬鹿だと言ってたゲイリーだがコラムのジト目に気圧され、一歩後ずさる。
正直俺も、そのジト目は本気で怖い。
「親しき仲にも礼儀あり、です……幾等ゲイリーさんがエヴァンさんの幼馴染でも、ソレ以上の暴言は許しませんよ」
フゥッ…と溜息を吐くコラムだが、いい加減慣れてくれねぇかなぁ。
コレが、俺とゲイリーのやり取りなんだが。

×××

「ソレにしても、我輩の医療所に泊まるという事は、暫く此処に滞在するつもりであるな?」
「正解、暫く此処に泊まらせてもらうぜ」
俺達はジパング伝来の『チャブダイ』を囲み、待合室で昼食を食ってる最中、ゲイリーは俺に暫く此処に居るのかと聞いてきた。
改めて考えたら、よく消毒液臭い待合室で飯を食えるよな、俺達。
慣れてるけど。
基本的に俺は宿屋を利用してるが、宿泊代も地味に痛い出費、長期滞在の時はゲイリーの医療所に泊めさせてもらってる。
因みに、ゲイリーの医療所は一階が診察室と待合室、二階が居住区という構成だ。

「今回の調査で、良く分かったよ……フェランもコラムも護身程度でいいから、攻撃魔法を使えるようにしねぇと」
そう、今回の長期滞在の目的はフェランとコラムに魔法を教える事。
前回の遺跡といい、今回の獣の吼える森といい、二回連続で怪物相手に大立ち回り。
二度ある事は三度あるとも言うし、何処かを探検もしくは調査で訪れて、また怪物が出て来てもめっちゃ困る。
だから、当分は此処で二人に魔法を教える事にしたんだ。

「そうだよねぇ〜、アタシも足手まといはイヤだもん」
「確かに、私達も魔法が使えれば、エヴァンさんにばかり負担を掛けなくて済みますし」
と、二人も言ってるし、『足長おばさん』からの今回の調査の報酬もある。
暫くは、ゲイリーの医療所に居候しながら二人に魔法を教えるとしよう。
「しっかし、三人組で三人とも魔法使いというのは、キツいと思うのであ〜る」
そう言った後、チュルチュルとスパゲッティを啜るゲイリー。
其処は突っ込まないでくれ、俺もそう思ったんだから。
だけど、俺が教えられるのは魔法だけだし、二人共武器を扱えるかどうか分からん。
今度探検する時は剣を使える傭兵でも雇ってみようかなぁ、とか考えてたら

―ゴンゴンッ

「ふぶ? ひゅうほぉくひゅうひ、いっふぁいふぁへへあふふぁ?」
「ゲイリーさん、口に食べ物を入れたまま喋らないでください」
ノック音が待合室に響き、口にスパゲッティを入れたままで喋るゲイリーをコラムが注意する。
「んぐっ……今は昼食中であって、休診中なのである。緊急でもない限り、勧誘も診査もお断りなのであ〜る」
そう言った後、ゲイリーは再びスパゲッティを啜るが、扉をノックした誰かは構わず扉を開けて医療所の中へと入ってきたようだ。
誰かは知らん、だって俺は扉に背を向けてるし……ズルズルという音がするから、恐らくラミア種の誰かだろうか?

「ひゃふぁら、おふぉとブポォッ!?」
「ぎゃあぁぁぁぁっ!?」
「え、エヴァンさんっ!? 大丈夫ですかっ!?」
き、汚ぇぇっ! ゲイリーめ、いきなりスパ吹きやがった!
お陰でコイツの前に座ってた俺の顔に、唾と麺がぁっ!
コラムが手元にあったナプキンで俺の顔を拭いてくれたが、一体誰が来たんだ?
俺は扉の方に振り返り
「昼食中に済まないが、失礼するぞ」
飯を吹きはしなかったが、固まった。

「……よく、このような場所で昼食を食べられるな」
入口にはラミア種の魔物、待合室でチャブダイ囲んで昼食中の俺達を見て溜息を吐く。
うん、客観的に見れば、中々に珍妙な光景だな……って、違う!
ラミアやメドゥーサなら、親魔物派領のセレファイスで暮らすゲイリーは飯を吹かないし、探検家である俺も固まったりしない。
ラミア種はラミア種でも、医療所に入ってきたのは
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